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2025年2月17日付 3014号

10~12月の業界景況感は10ポイント以上の改善に 実車率プラス圏に 全ト協

 全日本トラック協会は10日、2024年10~12月期の景況感(第128回速報)を公表した。実働率や実車率の向上で輸送効率が改善し、輸送数量も増加したことから、業界の景況感はマイナス18.2と7~9月期の前回調査より10.9ポイント改善した。

 今後の見通しは、引き続き人手不足や物価高の影響が予想されることから、景況感はマイナス26.6と8.4ポイント悪化する見込み。

 実働率はマイナス0.6と前回調査に比べ19.1ポイントの大幅改善。実車率は0.6で21.7ポイント改善し、マイナス圏を脱した。

 運転者の採用動向は、マイナス4.5で17.0ポイント上昇、雇用状況(労働力の不足感)は84.4で5.0ポイント上昇し、依然として業界全体で人手不足が続いている。

 所定外労働時間は、マイナス35.1で5.3ポイント増加、貨物の再委託(下請け運送会社への委託割合)は、マイナス1.9で15.1ポイント増加した。

 経常損益は、マイナス2.6で8.2ポイント改善。

 一般貨物の運賃・料金の水準は47.1で0.1ポイント悪化したものの、輸送数量は1.3と16.9ポイント改善したことから、売上高は3.3で0.9ポイント改善した。営業利益は、原価の上昇が影響しマイナス9.2とで3.1ポイント悪化している。

 特積み貨物の輸送数量は6.5で6.5ポイント改善、運賃・料金の水準は38.7で8.7ポイント改善した。売上高は3.2で1.8ポイント悪化、営業利益はマイナス3.2で1.8ポイント改善した。

商船三井のプログラムに参画 国際海上輸送でカーボンインセット NXHD

 NIPPON EXPRESSホールディングスは13日、商船三井が開始した海上輸送カーボンインセットプログラム「BLUE ACTION NET―ZERO ALLIANCE」へ参画し、NXグループが提供する海上コンテナ貸切輸送で顧客のScope3排出量削減に貢献するサービス『NX―GREEN Ocean Program』を開始すると発表した。

 NXグループが開始するサービスでは、商船三井が運航する船隊で実施した特定の低炭素航海に関して、その環境属性とデジタル証書をNXグループが調達し、Scope3のGHG排出量削減に取り組む顧客へ割り当てる。デジタル証書の割り当てを受けた顧客は自社の統合報告書などのレポートへ反映することも可能。

 NXグループがB/L(船荷証券)発行する世界各地発着の全ての海上コンテナ貸切輸送を対象として、利用船会社を限定することなく利用可能。

 NXグループは、気候変動への対応として2030年までに13年比でグループ全体のCO2自社排出量(Scope1・2)の50%削減を目指し、23年5月にはScience Based Targets initiative(SBTi)の認定取得に向けコミットメントレターを提出している。50年までにカーボンニュートラル社会の実現への貢献(Scope1・2・3)を目標として掲げ、鉄道や船舶を利用したモーダルシフトの推進や、持続可能な航空燃料を活用した「NX―GREEN SAF Program」の提供など、サステナビリティ経営に貢献するさまざまなサービスの創出に取り組んでいる。

 商船三井は24年2月に、アジア太平洋域の海運会社として初めて、オランダのスタートアップ企業123Carbon B.V.と協働して構築したプラットフォーム上で、代替燃料を使用した低炭素海上航海の環境属性をデジタル証書として取引可能な形とし、そのスキームを活用して25年2月から海上輸送カーボンインセットプログラム「BLUE ACTION NET―ZERO ALLIANCE」を開始した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流総合効率化法の認定一覧(2024年2~12月国交省本省集約分、社名公表分のみ)
    ☆ウオッチ(165)「中国の国際鉄道貨物輸送 『中欧班列』の現状と国際ルートの開発について」

  • ☆国交省、物流情報標準ガイドラインを標準貨物自動車運送約款改正などを盛り込んだ「ver.3.00」に改定
    ☆SGHDの松本社長、台湾モリソン社買収について「既存事業との重複がなく大きなシナジーが期待できる」と強調
    ☆三菱倉庫、米国連結子会社がノースカロライナ州にGMP対応の医薬品専用倉庫を開設
    ☆福山通運、いばらき五霞支店に精度とスピードの両立可能な「荷物自動仕分け装置」を設置
    ☆北海道運輸局と同開発局主催の「HOKKAIDO 物流フォーラム2025」、物流マッチングイベント「ロジスク」の成果を初公開
    ☆センコー、再生可能エネルギー比率41%を目指し「湾岸弥富PDセンター」に太陽光パネルを設置
    ☆佐川急便、飛脚宅配便1個当たりのカーボンフットプリント(CFP)の算定を実施
    ☆JR貨物がグループ監査役連絡会、輪軸組み立て作業における不正行為などで意見交換
    ☆物流業界の2024年12月期通期連結決算と2025年3月期第3四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼引越繁忙期が近づいてきた。新たな生活への夢や希望も運ぶ引越だが、作業を手掛ける運送事業者は、昨年4月の新たな改善基準告示適用後最初の繁忙期を迎え、これまで以上にシビアな調整が求められている。
    ▼こうした状況を踏まえ、中野洋昌国土交通大臣は12日の記者会見の冒頭、分散引越への協力を呼び掛けた。
    ▼大臣は、3月15日~4月6日に引越依頼が集中することが予想されていると説明した上で、可能な限り混雑時期を避けるよう求めている。
    ▼年度の替わる節目に人事異動や進学などが一斉に行われ、引越運送事業者への負荷が過度に集中する状況を変えるために、企業など組織単位での協力も不可欠だ。

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