物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2024年10月28日付 3000号

グーグル・クラウドとDXの活用で協定 総合物流機能を強化 佐川急便

 佐川急便とグーグル・クラウド・ジャパンは24日、DXの活用による総合物流機能の強化に向け、戦略的パートナーシップ協定を締結したと発表した。両社の強みを組み合わせて、物流業務の自動化・省人化を推進し、提案領域の拡大や顧客ニーズに対応、新サービス創出につなげる次世代物流システムの開発を目指す。

 物流業界では、EC市場の拡大に伴う荷物量増加に加え、ドライバー不足や再配達の増加による非効率な配送が深刻化。特に配送拠点から顧客へのラストワンマイル配送では、時間やコストの増大、環境負荷の増加が課題となっている。

 佐川急便では、これらの問題に対応するため、DXを活用した省人化や効率化に取り組んでいるが、将来的な労働力不足を見据え、さらなる改善が急務な状況にある。

 今回のパートナーシップ協定を機に、佐川急便が持つトータルロジスティクス機能を支えるデジタル基盤と、Google Cloudのデータ分析やAIなどの最新テクノロジーを組み合わせ、次世代物流システムを構築する。

 第1弾として、ラストワンマイル配送におけるAIソリューションを活用した業務効率化に取り組む。従来は繁忙期・閑散期に合わせた物量の増減や、集配作業に要する時間を加味するなど、これまで積み重ねてきた経験から集配エリアを設定していたが、「まだ改善の余地がある」と判断した。

 佐川急便が有する配送のデジタル基盤をもとに、Google CloudやGoogle Maps Platformを活用し①AIによる集配エリアの最適化や過去のデータに基づく将来の集配予測②必要な人員リソースの適正化―について検討を行う。

 トライアルで導入したDXを通じて、総配達時間の短縮や車両台数の削減も検証。効率的な配達ルートに変更したことによるCO2排出量の削減効果を確認していく。

 今後は、佐川急便とグループ各社の機能を融合し、顧客企業に提供する物流ソリューション「GOALビジネス」の一環として、Google Cloudのデータ分析プラットフォームの活用や、AIとIoTデバイスを使った物流の可視化を通じたサステナブルな物流の実現など、各種施策の検討も行っていく。

広島で通運事業フォーラム 共配事例の紹介などで協業の重要性を確認 通運連盟

 全国通運連盟は23日、広島市南区のホテルグランヴィア広島とオンラインの併用で、第6回通運事業フォーラムを開催。フィジカルインターネットなどに関する基調講演を行うとともに、共同輸配送に関する2件の取り組み事例を紹介した。

 冒頭あいさつした齋藤充会長は、国が鉄道モーダルシフト推進策を打ち出していることに触れた上で「通運連盟は今後も国の施策やJR貨物の計画に協力し、鉄道貨物輸送の発展に向けて努力していく」と語り、会員の協力を求めた。

 基調講演では、ローランドベルガーの小野塚征志パートナーが『物流情報の標準化とフィジカルインターネットの実現に向けた取り組み』をテーマに説明。「持続可能な物流を実現するためには、荷主企業も物流企業もマインドチェンジが不可欠」と指摘し、荷主企業は競争・独自・専用重視から協調・標準・共用重視へ、物流企業は対応力・売り上げ重視から提案力・利益重視へ志向を変えることの重要性を強調した。

 事例発表ではまず、NECの梅田陽介スマートILM統括部ロジスティクス事業企画グループ主任が『新しいつながり方で運ぶ力を創り出す。業界・業種を超えた共同輸配送プラットフォーム(PF)の推進と展望』をテーマに講演。

 記事全文は電子版から。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ(161)「中国の貨物ネット配車サービスを考察」
    ☆人物ウィークリー-日本物流団体連合会・河田守弘理事長

  • ☆西濃運輸、2024年問題への対応で9月から石川・富山両県で運行便の一部を集約
    ☆ロジスティード、オランダのグループ会社がスペインのバルセロナ近郊に物流センターを開設
    ☆日本通運とJR貨物、大成ユーレックと共同でクレーンによる積卸作業可能なオープントップ仕様の20フィート鉄道用貨物コンテナ開発
    ☆アート引越センター、兵庫県のふるさと納税返礼品として「ようこそ兵庫へ!五宝美引越パック」の提供始める
    ☆国交省のドライバーシェア推進協が第2回会合、配車アプリ事業者がライドシェア登録運転者の貨物運送での活用提案
    ☆JR貨物、グループ社員55人が参加し福島県大玉村の「ふくしま県民の森」で第3回植樹活動を実施
    ☆三井倉庫、インドネシア現地法人運営の倉庫4拠点がハラール認証取得し保管サービスを開始
    ☆日本郵便、楽天グループなどと共同で11月から静岡市奥静岡地域を対象に買い物支援サービスの実証運用開始へ
    ☆セイノーHD、タイの合弁会社「セイノーサハロジスティクス」と連携しバンコク北側に新倉庫オープン
    ☆国交省、11月15日から全国10ヵ所で軽トラック運送事業の安全規制に関する説明会を開催
    ☆日本3PL協が「第3回経営塾」、ヤマト運輸の鹿妻専務が「協業」をテーマに講演
    ☆三井倉庫ロジ、T2とパナソニックグループと共同で来年1月からレベル2自動運転トラックを使用した実証実験を開始
    ☆F-LINE、T2とともにレベル4自動運転トラックでの幹線輸送実現を目指し来年2月から実証実験を実施
    ☆三菱倉庫、福島県南相馬市と物流・宇宙関連産業はじめとする次世代産業の開発で協定を締結
    ☆セイノーHDと西濃運輸、2025年大阪・関西万博の公式荷物預かり所として配送サービスなど提供へ
    ☆JR貨物、山陽線西部の「輸送障害に対するBCP策定に向けた官民一体検討会」の確認事項概要を発表

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省は、貨物と旅客の運転者を相互に活用する仕組みなどを検討するための協議会を設置しており、21日の第2回会合ではタクシー配車アプリ事業者から、ライドシェアのスポット運転者を貨物運送に活用する提案がなされた。
    ▼現在でも期間や台数などを限って白ナンバーによる貨物運送は認められており、その枠を広げて、スポット運転者を活用するというのは妙案にも思える。
    ▼一方で、高い安全管理や教育を受けているプロドライバーのシェアリングについて検討を深める前に、白ナンバーの活用拡大という安易な担い手確保を前提にした仕組みの検討や実験などが行われないよう注視していく必要がある。

戻る