グーグル・クラウドとDXの活用で協定 総合物流機能を強化 佐川急便
佐川急便とグーグル・クラウド・ジャパンは24日、DXの活用による総合物流機能の強化に向け、戦略的パートナーシップ協定を締結したと発表した。両社の強みを組み合わせて、物流業務の自動化・省人化を推進し、提案領域の拡大や顧客ニーズに対応、新サービス創出につなげる次世代物流システムの開発を目指す。
物流業界では、EC市場の拡大に伴う荷物量増加に加え、ドライバー不足や再配達の増加による非効率な配送が深刻化。特に配送拠点から顧客へのラストワンマイル配送では、時間やコストの増大、環境負荷の増加が課題となっている。
佐川急便では、これらの問題に対応するため、DXを活用した省人化や効率化に取り組んでいるが、将来的な労働力不足を見据え、さらなる改善が急務な状況にある。
今回のパートナーシップ協定を機に、佐川急便が持つトータルロジスティクス機能を支えるデジタル基盤と、Google Cloudのデータ分析やAIなどの最新テクノロジーを組み合わせ、次世代物流システムを構築する。
第1弾として、ラストワンマイル配送におけるAIソリューションを活用した業務効率化に取り組む。従来は繁忙期・閑散期に合わせた物量の増減や、集配作業に要する時間を加味するなど、これまで積み重ねてきた経験から集配エリアを設定していたが、「まだ改善の余地がある」と判断した。
佐川急便が有する配送のデジタル基盤をもとに、Google CloudやGoogle Maps Platformを活用し①AIによる集配エリアの最適化や過去のデータに基づく将来の集配予測②必要な人員リソースの適正化―について検討を行う。
トライアルで導入したDXを通じて、総配達時間の短縮や車両台数の削減も検証。効率的な配達ルートに変更したことによるCO2排出量の削減効果を確認していく。
今後は、佐川急便とグループ各社の機能を融合し、顧客企業に提供する物流ソリューション「GOALビジネス」の一環として、Google Cloudのデータ分析プラットフォームの活用や、AIとIoTデバイスを使った物流の可視化を通じたサステナブルな物流の実現など、各種施策の検討も行っていく。