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2024年10月21日付 2999号

地産地消型の再生エネルギー100%使用 高津千年営業所で運用開始 ヤマト運輸・川崎市など

(左から)福田市長、鈴木支店長、井田社長

 ヤマト運輸は16日、川崎市高津区の同社高津千年(ちとせ)営業所において、官民連携で地産地消型の再生エネルギーを活用して営業所の電力を全て賄う運用を開始した。全車両をEV化している同営業所の電力について、同市で発電した再エネ電力を100%使用することで、環境省が定める脱炭素先行地域に選定され、2050年の二酸化炭素排出実質ゼロを目指す川崎市の取り組みを後押ししていく。

 川崎市は20年に脱炭素戦略『かわさきカーボンゼロチャレンジ2050』を策定、50年に二酸化炭素排出実質ゼロを目指す目標を掲げている。22年には環境省の脱炭素先行地域の第1回選定地域の一つに選ばれ、ヤマト運輸などの民間企業と連携して、同市の交通の要衝である溝口地区を中心に集中的に取り組みを進める方針を打ち出した。

 その後23年10月には、市内の再エネ電力の地産地消を進めることを目的に、同市とNTTアノードエナジー、東急など7事業者が出資して川崎未来エナジーを設立。今年4月から市民の家庭で排出される普通ごみの焼却により生み出される電力を、学校など市内の公共施設に供給する事業を開始した。

 溝口地区に位置するヤマト運輸の高津千年営業所は全車両25台を全てEV化しているほか、営業所の屋根に太陽光パネルを設置するなど、同社が目指す50年の温室効果ガス自社排出量実質ゼロに向けた取り組みを展開している。反面、電力使用量の増加で施設内の設備では全体の26%の電力量しか賄えず、夜間に集中するEVの一斉充電でピーク時の電力使用量が増加し、電力コストが上昇するなどの課題があった。

 記事全文は電子版から。

横浜本牧→宇都宮タを40フィートコンテナで輸送 出発式を開催 日本通運・神奈川臨海鉄道

テープカットの模様

 日本通運と神奈川臨海鉄道は16日、横浜市中区の神奈川臨海鉄道・横浜本牧駅構内で、横浜本牧→宇都宮タを40フィートコンテナで運ぶ「国際海上コンテナ鉄道輸送」出発式を開催した。

 日産自動車の輸入自動車部品を鉄道用コンテナに積み替えることなくダイレクト輸送する。1日当たり40フィートコンテナ2個を積載し、週5日を基本に運行する。

 2024年問題に対応するための一環として実施されるもので、日産自動車栃木工場で生産されるEVクロスオーバー「日産アリア」の生産用自動車輸入部品を運ぶ。これまで、日産自動車では栃木工場までトラックで輸送していた。積替作業が不要となり輸送効率が向上するとともに、年間CO2排出は140トン削減されると見込んでいる。

 40フィートコンテナは長さが原因で、多くの貨物駅では取り回しが難しく、コンテナ留置スペースに限りがあることから、これまで一部の区間を除いて鉄道輸送が行われていなかった。このため、港から内陸部への輸送はトレーラーによる陸送か、鉄道輸送の場合は鉄道用コンテナに積み替えが必要で、輸送効率の低下やコストが課題になっていた。

 こうした課題解決のため、日本通運と神奈川臨海鉄道は連携して対応を進め、JR貨物が実施した24年3月ダイヤ改正で新設された横浜本牧~宇都宮タ間の海上コンテナ輸送ルートを活用する検討を本格化させた。その後、トライアル輸送を経て、本格運用を開始することになった。

 記事全文は電子版から。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集-「第56回全国トラックドライバー・コンテスト」
        全国から143人が参加 磨き上げた腕前披露

  • ☆三井倉庫BP、紙・電子文書の一元管理が可能な新サービス「なんでも書庫」の提供開始
    ☆近畿・中国・四国・九州の4運輸局、大阪市内で実施したトラックGメンによる合同パトロールの結果を公表
    ☆NX労連が第25回定期大会、都道府県連の廃止など2024年度運動方針を決定
    ☆鴻池運輸、インドグループ会社が車両9編成を順次投入し鉄道コンテナ輸送事業を拡大
    ☆JR貨物の犬飼社長、輪軸組み立て作業における不正行為巡り「年末繁忙期前までに輸送力の完全復旧を目指す」との考え示す
    ☆日倉協、11月15日にデジタル変革などをテーマに「第21回物流フォーラム」開催
    ☆NXロジフィリピン、創立25周年記念イベントで総勢80人が参加し植樹活動を実施
    ☆関東地方整備局、中継輸送に関する意向調査で各都県トラック協会を通じ協力を要請
    ☆JR貨物・通運連盟・鉄貨協、11月30日まで「コンテナ輸送品質向上キャンペーン」を実施
    ☆丸運が「セーフティドライバーコンテスト」を開催、札幌営業所の今井雄介選手が優勝
    ☆トナミHD松寿会が「福祉車両・助成金贈呈式」、3福祉団体に「ホンダN―BOX」車いす仕様の福祉車両を寄贈
    ☆センコーGHDが「センコーグループ技能コンテスト2024」を開催、新たに女性部門新設し総勢79人が出場
    ☆JR貨物が「2024年度効績章表彰式」、勤続25年の社員125人が表彰受ける

今週のユソー編集室

  • ▼先月開催された国際物流総合展には、約8万4千人が来場するなど盛況だったという。物流の2024年問題への社会の関心の高さがうかがえる。
    ▼会場で目についたのは、DXによる省力化ソリューションの数々だ。日本の労働人口そのものが縮小していく中で“人手をかけない物流”の実現は極めて重要なテーマであり、それらの効果を大いに期待したい。
    ▼同時に大事なのが人手の確保だ。現状では“人手のいらない物流”は実現不可能であり、人手を確保するには労働条件を改善していく以外の道はない。荷主には物流の省力化が、必ずしもコスト削減に直結しないことを、理解してもらわなければならない。

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