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2024年10月7日付 2997号

2024年問題に対応し「物流革新元年」に 第29回全国事業者大会を開催 全ト協

事業者大会の模様

 全日本トラック協会は3日、熊本市の熊本城ホールで第29回全国トラック運送事業者大会を開催。会員ら約1300人が参集し「2024年を『物流革新元年』に」と題するシンポジウムを通じて、直面している物流の24年問題への対応方策などについて認識を共有するとともに①物流革新に向けた政策パッケージに基づく「2024年問題」への対応②改正標準的な運賃・料金約款の活用等による適正なコスト収受等転嫁対策の推進③トラックGメンと調査員との連携による荷主対策の深度化推進④飲酒運転の根絶徹底―などを盛り込んだ大会決議を採択した。

 大会の冒頭あいさつで坂本克己会長は、地方適正化実施機関の指導員が「トラックGメン調査員」として新たな役割が与えられ、国のトラックGメンと連携した調査を伴う活動を行うことができるようになったことを説明した上で、「情報が寄せられなければ開店休業」になってしまうとし、悪徳な荷主に関する積極的な情報提供を呼び掛けた。

 シンポジウムでは、藤井聡京大大学院教授をコーディネーターに、三輪田優子国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課長、佐々木達也読売新聞東京本社編集委員、成田幸隆運輸労連委員長、坪田郁子全国消費者生活相談員協会専務理事、馬渡雅敏全ト協副会長が討議を行った。

 シンポジウムの後、本郷和人東大史料編纂所教授による記念講演会を開催した。次回は25年10月15日に新潟市内で開催される。

ヤマト運輸の知見活用しEV導入を包括支援 計画立案から廃棄まで YAW

ヤマト運輸の知見を活用する(写真は全車両をEV化した京都・八幡営業所)

 ヤマトオートワークス(YAW)は1日、芙蓉総合リースと連携して、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー供給までを一元的に提供する「EVライフサイクルサービス」を開始した。
 すでに多数のEVを導入・運用しているヤマト運輸の豊富な知見を活用したワンストップサービスを提供することで、運送事業者等のGHG削減を後押しする。
 ヤマトグループは、ヤマト運輸が今年9月末時点で約2300台のEVを運用しており、太陽光発電設備も105基を導入するなど豊富な知見を持っている。約1700社のトラック運送事業者等の会員に対して車両・施設・設備の管理から保険販売などのトータルサポートを行っているYAWでも、すでにメーカーを問わないEVのメンテナンスを行っている。
 EVライフサイクルサービスでは、これらのヤマトグループが培ったグリーン基盤を活用し、EVを扱った経験がない事業者でも円滑に導入・運用できるだけでなく、バッテリーの価値を考慮した残価設定や補助金の活用などにより、脱炭素と経済性の両立を実現。顧客の脱炭素目標達成に向けて、経営層・購入担当者・ドライバーまで幅広く支援することで、サステナブル社会実現へ貢献をすることを目指している。

 記事全文は電子版から。

今週掲載トピック一覧

  • ☆NXHD、グループ会社が米国インディアナ州にある既存倉庫の一部エリアを医薬品専用施設に改修
    ☆国交省、自動物流道路について民間から意見を募集する「マーケットサウンディング」を年内実施へ
    ☆ヤマトHD、ふるさと納税支援事業展開のレッドホースグループと業務提携契約を締結
    ☆セイノーHD、新たに「再生可能エネルギープロジェクトチーム」を設置し10月から活動を開始
    ☆セイノーHD、連結子会社化に伴い三菱電機ロジスティクスの商号を「MDロジス」に変更
    ☆NXHD、ヘルスケア産業向け物流事業展開のドイツSimon Hegeleの全株式取得で合意
    ☆日本通運、物流ウェブアプリ「DCX」のアウトソーシングでEC企業向けに冷蔵・冷凍サービスを開始
    ☆全ト協の坂本会長、4期にわたり務めた会長職を来年退任し後任に寺岡副会長を指名
    ☆NX台湾、台湾中部地区の彰化県に税関認可の保全倉庫機能を持つ総合物流センター「NEXT7倉庫」を新設
    ☆三菱倉庫、中国現地法人の上海菱華がネットゼロへの取り組みでEVトラックを初導入
    ☆三菱倉庫がパーパス「いつも支える。いつかに挑む。」を策定、グループの存在意義を明確に
    ☆サカイ引越センター、日本クリエイト提供の「電子入居申込サービス」と引越サービスを連携し引越手続きを簡素化
    ☆国交省物流・自動車局の鶴田局長、トラック運送業の多重下請構造巡りアンケート調査を実施していることを報告
    ☆物流連、就職活動を控えた大学生を対象に物流業界の基礎知識が学べる「セミナー&座談会」を新たに開催
    ☆西濃運輸、東亞合成が名古屋市港区に竣工させた物流施設内に「名古屋物流倉庫」を開設
    ☆ヤマト運輸、全国の観光施設向けにスマホで送り状の発行ができる「簡易伝票発行ツール」の提供始める
    ☆SBSHD、NSKロジスティクスの普通株式66.7%を取得し社名を「SBS NSKロジスティクス」に変更
    ☆鴻池運輸、インドグループ会社の社名を「Konoike India」に変更し同国内の現地法人束ねる統括会社に
    ☆物流連が今年度第1回物流環境対策委、第25回物流環境大賞を受賞したF-LINEの関係者を講師に講演会を開催
    ☆トナミHDが北陸および東海地区の子会社をそれぞれ合併、北陸トナミ運輸と東海トナミロジスティクスが存続会社に
    ☆JR貨物がグループ社長会議、輪軸組み立て作業の不正行為巡り犬飼社長「安全教育の充実を図る」と強調
    ☆センコー、愛知県小牧市に危険物倉庫併設の新センター「小牧北第2PDセンター」を開設
    ☆NXHD、サウジアラビア運輸・物流サービス省のラヤン・アルバクリ副大臣ら一行12人が来社
    ☆SBSロジコム、ドライバー募集強化の一環でドライバー職専用の支援サイトを開設

今週のユソー編集室

  • ▼10月1日の臨時国会で、石破茂内閣が誕生した。斉藤鉄夫国土交通大臣は再任され、同日に物流業界の担い手確保や生産性向上に取り組む旨のコメントを発した。
    ▼物流業界の視点から岸田文雄内閣の3年間を振り返ってみれば、働き方改革関連法への対応、いわゆる「物流の2024年問題」を背景に、深刻化する一方の人手不足対策を目的とした政策パッケージの発表など、大きな転換期だった。
    ▼世間的な評価はともかく、物流業界にとって間違いなく大きな功績を残したと言えるのではないか。とはいえ、改正物流二法の真価が問われるのはこれからだ。持続可能な物流の実現に向けて、新政権にかかる期待は大きい。

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