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2024年9月2日付 2993号

改正物流二法施行に向け大幅な増額求める 来年度予算概算要求 国交省

 8月27日に国土交通省が公表した2025年度予算概算要求では、2月に物流革新に関する関係閣僚会議で決定された「2030年度に向けた政府の中長期計画」を踏まえた取り組みを進めるため、物流関連で24年度予算比56%の増額要求を行っている。

 国交省の25年度一般会計概算要求額は、18%増の7兆330億円で、「物流の革新や持続的成長に向けた中長期計画を踏まえた取り組みの推進」では56%増の168億円を要求している。

 具体的には物流の効率化として①モーダルシフト等の強力な促進に向けた大型コンテナやシャシー等の導入支援②モーダルシフト等に向けた物流効率化法に基づく計画策定や運行に対する支援③多様な輸送モードのさらなる活用に向けた新規需要調査等に対する支援④物流GXに向けたAI等を活用した実証事業や自動運転トラック・ドローン物流の実証に対する支援⑤物流標準化のための標準形式に基づくデータ連携の促進や標準仕様パレットの導入に関する支援⑥中小物流事業者の業務効率化や働き方改革のための機械化・自動化・デジタル化に対する支援⑦貨物駅・ネットワークの災害対応能力を含む機能強化⑧中継輸送の普及促進や自動運転の推進等、道路分野での物流効率化に向けた取り組み―などを行うほか、改正物流効率化法の施行に向けた荷主・物流事業者に対する規制的措置の執行体制の整備や、悪質な荷主・元請け事業者への是正指導を的確に行うための調査等の実施などを行う。

 これらの施策の多くを所掌する物流・自動車局の概算要求額は、一般会計、自動車安全特別会計(安全特会)、財政投融資特別会計(財投)を含め10%増の892億円となっており、このうち物流関係は58%増の208億6100万円。

記事全文は電子版から。

価格転嫁に応じた荷主全体の約7割占める 会員事業者対象にアンケート調査 日倉協

 日本倉庫協会は8月26日、会員事業者に7月に実施した「価格転嫁(値上げ)の状況に関する実態調査」を公表した。価格転嫁の状況を把握するためアンケートしたもので、回答数は155件。価格転嫁に応じた荷主の割合は5~10割で、全体の約7割を占めた。

 荷主に価格転嫁を求めたのは90・8%、うち交渉テーブルに付けたのは97・7%。価格転嫁に応じた荷主の割合は「10割」20・6%、「8割」28・7%、「5~8割」23・8%、「2~5割」18・3%、「2割以下」8・6%。

 求めた項目とその結果は『保管料』で「できた」は65・9%、『荷役料』で「できた」は73・0%、『運送料』で「できた」は78・6%。

 価格転嫁できたことで達成可能になること(複数選択)は「賃上げ」104件、「設備投資、新規開発」57件、「環境対策、社会貢献活動」24件など。価格転嫁できなかった場合の影響(数選択可)については「収益減少」122件、「賃上げを控える」54件、「投資を控える」50件、「従業員の採用を控える」24件など。

 価格転嫁できなかった理由については次のとおり。

 ◎輸送部門からの値上げ交渉を行ったため◎他社がさらに安い価格で交渉して来る◎先方が価格転嫁をできないため◎コスト増になるため、運用面の改善をお互いに検討する◎保管料は設備の経年劣化により値上げするのは難しいと感じる。光熱費等は別項目で値上げ◎運送費と保管費の改定をお願いしたので全てをお願いできなかった◎高水準の要求だったため◎一部できているケースもあるが具体的な目標値などは未設定◎運送料は不着に困るユーザーは承諾。作業・保管系は先延ばしとのこと◎同業者間競争があるため◎荷主が多いので営業担当の交渉の準備に遅れが出ている◎当方交渉力不足、先方の懐具合◎荷役料を優先したため◎焦点が乗務職の労働時間。燃料高騰は理解された◎保管料に関しては地域的な価格が根付いているため、交渉はするものの厳しい状況。

 日倉協では今回の調査結果を踏まえ、引き続き行政機関等と連携して価格転嫁が進む環境改善に向けた対応策を検討していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆NXHD、ドローン自律飛行システム開発のスタートアップSpiral社に出資
    ☆「2024年問題対策協議会」が成田空港の輸入荷待ち問題改善で11月に予約システム導入へ、事業者向けにシステムの概要など説明
    ☆宅配便取り扱い実績、2023年度の取扱個数は50億733万個で14年度以来9年ぶりに減少
    ☆国交・経産・農水省合同会議、トラック事業者に対する規制的措置の施行に向けて全ト協など関係団体からヒアリング
    ☆日本通運、エムオーツーリスト社と業務提携に関する基本合意書を締結し「NX海外赴任ワンストップサービス」を強化
    ☆政府、国家戦略特区制度を活用し成田空港周辺の物流拠点で外国人材を含めた航空物流人材を確保する方針固める
    ☆運輸労連東京が第57回定期大会、24年度活動方針を決めるとともに安藤書記次長を書記長に新任
    ☆アート引越センター、ヤマトホームコンビニエンスの全株式を取得し来年1月に完全子会社化
    ☆国交省、高速道路の時間変動料金制巡り2025年度以降にモデル箇所で試行へ
    ☆日本通運、「誰にもやさしい倉庫」プロジェクト第1弾として次世代型モビリティを埼玉支店加須倉庫に導入
    ☆ボックスチャーター、11月から小ロットで荷物が輸送できる新商品「JITパレットチャーター便」を順次発売
    ☆福山通運とニトリグループが物流効率化で協業、関西~九州の長距離輸送にダブル連結トラック導入
    ☆NXドイツ、ハンガリー・ブダペストの自社倉庫内で医薬品の一部保管などに関するGDP認証を取得
    ☆ヤマト運輸、10月から中国・四国地方から関東圏へ配送する宅急便など対象に配達日数と指定可能時間帯を繰り上げ
    ☆西濃運輸、オプティマインドとともに一部配達店所での配送ルート作成自動化の実証実験始める
    ☆KRSとNLJ、ダブル連結トラックで江崎グリコの菓子と異業種荷物の同時配送を開始

今週のユソー編集室

  • ▼先週の小欄でも取り上げているが、台風10号が日本列島を縦断している。
    ▼国土交通省のトラック荷主特別対策室の関係者は先週、異常気象時における輸送の強要は、トラックGメンによる是正指導の対象となる違法原因行為に該当する場合があるとして、メールで注意を呼び掛けた。
    ▼国交省が通達している異常気象時の措置の目安を見ると、1時間当たり50ミリメートル以上の豪雨、または秒速30メートル以上の暴風時は「輸送することは適切でない」としている。
    ▼働き方改革に伴い検討が進むリードタイム延伸の動きと合わせ、トラックドライバーの命を直接的に守るためにも、真荷主には柔軟な輸送指示をお願いしたい。

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