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2024年5月27日付 2981号

物流マッチングで新会社 共同輸配送を展開 ヤマトHD

(左から)髙野社長と福田執行役員

 ヤマトホールディングスは21日、あらゆる荷主企業や物流事業者の参画が可能な、共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社を設立した。
需要と供給に合わせた物流のマッチングを展開し、標準パレットの混載や中継輸送により、業界の垣根を越えた物流の標準化と効率化を目指す。

 物流業界は輸送能力不足が懸念される2024年問題や、気候変動への対応などさまざまな課題に直面している。一方で、業種・業界ごとにシステムや規格、商慣習などが異なるため、一部の荷主企業や物流事業者の取り組みでは限界がある。

 新会社「Sustainable Shared Transport(サステナブル シェアード トランスポート、SST)」はヤマトHDの完全子会社として発足。資本金3億5千万円。東京都中央区のヤマトHD本社内に事務所を置く。24年度中に第三者割当増資を予定しており、荷主企業や物流事業者に限らず、幅広いステークホルダーから出資を募る。

 同日、国土交通省内で開いた記者説明会でヤマト運輸の福田靖執行役員(グリーンイノベーション開発、サステナビリティ推進統括)は「特定の物流事業者同士、荷主同士の取り組みではなく、あらゆる商流・物流が一体となった、サステナブルなサプライチェーンの商慣習に変えていく取り組み」との認識を示した。

 SSTの社長にはヤマト運輸の髙野茂幸グリーン物流事業推進部部長が就任。髙野社長は「宅配便に関しては標準・効率化が進んでいるが、法人間のBtoB輸送におけるパレット荷姿の荷物の標準・効率化は海外と比べ圧倒的に遅れている」との見解を示した。

 ヤマトグループが宅急便で培った約160万社の法人顧客や、4千社以上の物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウをBtoBの領域に活用。安定した輸送力確保と、環境に配慮した持続可能なサプライチェーンの構築を目指す。

記事全文は電子版から。

パーツ配送と特定信書便を組み合わせ 自動車販売業界向け専用サービスを開始 日本通運

 日本通運は23日、パーツ配送と特定信書便を組み合わせた自動車販売業界向け専用サービス「NXディーラーサポートサービス」の販売を開始した。

 日本全国には2万店舗以上の自動車販売店が存在し、2024年問題に起因して自動車パーツ等の輸送方法の見直しが求められるとともに、車検証等の信書便物を多く取り扱っており、コンプライアンスの遵守が必要不可欠となっている。こうした課題に対応するため、持続性の高いパーツ配送と、特定信書便輸送によるコンプラアンス遵守を組み合わせた新サービスを開発した。混載輸送とルート配送と特定信書便輸送の組み合わせにより、持続可能な物流サービスの実現をワンストップで提供する。

サービスの特徴は次のとおり。
①自動車販売業界向け専用商品=自動車販売業界の課題にワンストップで対応する専用商品。持続性・コンプライアンスに対応した持続可能な物流サービスの実現を提供②特定信書便輸送=特定信書便事業者である日本通運が信書を適切に輸送③輸送コストの適正化=混載輸送とルート配送と特定信書便輸送を組み合わせることでコスト最適化に貢献。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各証券取引所上場陸運系企業の売上高・営業利益・営業利益率・時価総額・ROEランキング

  • ☆NXHD、文科省選定の教材セットを全国1012の中学校に無償配布
    ☆SBS東芝ロジスティクス、横浜市戸塚区に電子部品向け物流拠点「中央セミコンダクターロジセンター戸塚倉庫」を開設
    ☆千葉ト協など8者からなる「24年問題対策協」が第3回会合、成田国際空港の荷待ち問題解消に向け予約システム導入へ
    ☆NXHDの2024年12月期第1四半期の国際事業実績、欧州リージョンは2桁の増収増益に
    ☆NEXT DELIVERY、1人のパイロットが複数のドローンを運行・監視する「複数機運航」の実運用を12月までに実現
    ☆サカイ引越センター、近畿大学文芸学部の学生が大阪府堺市の本社を訪れ引越体験
    ☆日本MH協会が通常総会、木村吾郎副会長の会長昇任とともに24年度活動方針を決定
    ☆資源エネルギー庁の省エネ法に係る事業者評価制度、最高位Sランクに佐川急便など
    ☆JILSの2023年度物流コスト調査、売上高に占める比率は2年連続の減少に
    ☆全軽協、業界の健全な発展を目指し「軽貨物フォーラム2024」を開催
    ☆JR貨物が7月1日付で営業組織体制を見直し、全国43営業所を「駅営業課」に変更
    ☆NX中国、北京物資学院で奨学金授賞式を実施し学生10人に「NX奨学金」を授与
    ☆ハマキョウレックスが2027年度までの3ヵ年新中計を策定、物流センター事業での毎期15件新規案件獲得など盛り込む
    ☆物流企業の2024年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼今月14日、埼玉県内の首都高速で渋滞の列に大型トラックが追突し、3人が亡くなるという痛ましい事故が発生した。
    ▼警察の取り調べに対して事故を起こしたドライバーは「かぜ薬を飲んでいた。事故時には意識がなかった」と供述しているという。このドライバーは前日の勤務後に会社へ「体調が悪い」と申し出ており、当日の出発前点呼では体調の確認は行われなかったらしい。
    ▼体調に不安を抱えながら運転しているドライバーは、今も多数いるのだと思う。交代ドライバーの確保を容易にするには全体数を増やすしかない。悲惨な事故を1件でも減らすために、やはりドライバーの処遇改善は待ったなしの状況にある。

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