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2024年5月6日付 2978号

参議院で可決・成立 17項目の付帯決議盛り込まれる 改正トラック法など

参議院本会議での採決の模様(参議院インター ネット審議中継から)

 国会で審議されていた貨物自動車運送事業法と流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律の一部を改正する法案が、4月26日の参議院本会議で賛成多数で可決され成立した。法案には国土交通委員会での採決を踏まえ、17項目の付帯決議が盛り込まれた。

 本会議に先立って開かれた23日の参議院国交委員会では、馬渡雅敏全日本トラック協会副会長、成田幸隆運輸労連委員長、足立浩建交労副委員長の3氏が意見陳述を行った。

 馬渡副会長は、物流の2024年問題への対応として、トラックドライバーの働き方改革を進め、待遇改善を図ることが不可欠であることを強調。

 成田委員長は、2024春闘では、運輸労連加盟組合の平均で、27年ぶりの高水準となる単純平均6077円の賃上げを実現したことを報告する一方で、他産業との格差が広がっていることを説明し、ドライバーの働き方改革につながる「賃上げ力」を向上させる必要があるとした。

 足立副委員長は、トラックドライバーを対象にしたアンケートで、36・8%が前年より年収が「減った」と回答しており、減収額の平均が41万9千円に上っていることなどを説明した上で①特定最低賃金の設定②建設業でのキャリアアップシステムを参考にした労務管理の導入③営業区域制の復活―などを提案した。

記事全文は電子版から。

エクスポランカ数量回復で今期は増収増益を 川中子取締役が説明 SGHD決算会見

川中子取締役

 SGホールディングスは4月30日、東京都中央区のTKPガーデンシティPREMIUM京橋での対面とウェブ併用で決算会見を開き、川中子勝浩取締役経営企画担当らが2024年3月期通期連結決算の内容を説明。25年3月期にロジスティクス事業の取扱数量増加を図ることで、増収増益を目指す考えを示した。

 24年3月期は、デリバリー事業において運賃交渉などで宅配便の平均単価が前期比5円増の648円となった反面、取扱個数は3700万個減の13億7300万個にとどまり、TMSも感染症関連需要の剥落で67億円減の1130億円となったこともあって、売上高は前期比188億円減の1兆285億円に。利益面では取扱量減に伴う外注費減などがあったものの、従業員の給与や委託費の引き上げなどの費用増加も発生し、182億円減の815億円となった。

 ロジスティクス事業では、主力のエクスポランカで取扱量の減少と運賃の底ばい状況が重なり、売上高は951億円減の2197億円、営業利益は240億円減で48億円の赤字に転じた。

 全体では売上高が1176億円減の1兆3169億円、営業利益が460億円減の892億円で、減収減益となっている。

記事全文は電子版から。

今週掲載トピック一覧

  • ☆春の叙勲・褒賞、国交省関係の受章者は282人

  • ☆改正トラック法などで17項目の付帯決議、官民一体で労働環境改善などに向けた取り組みを推進
    ☆NXHD、DXを活用した家族信託サービス提供のファミトラ社に出資
    ☆ヤマトHD、東南アジア~欧州間でトラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスの提供開始
    ☆セイノーHD、西濃運輸の特積み輸送効率化とロジスティクス事業のさらなる推進に向け中部圏内の拠点強化
    ☆鴻池運輸とトランコム、トラックと鉄道を組み合わせた独自サービス「トレインクロスドックサービス」の提供開始
    ☆SGLとエピソテック、SGL久喜菖蒲営業所で共同開発しているAR(拡張現実)を活用した物流業務支援システムの実証実験行う
    ☆日通NECロジスティクス、衛星等の輸送サービス提供に向け宇宙開発事業展開のデジタルブラストとのパートナーシップを強化
    ☆国交省物流・自動車局自動車情報課の谷合課長が就任会見、自動車保有関係手続きの効率化と利便性の向上に取り組む方針を表明
    ☆国交省、リターナブル物流容器(RTI)の利用促進で荷主企業向けの手引き書改定
    ☆NXHD、モロッコのラシャッド・ブフラル特命全権大使が来訪し古江専務らと意見交換
    ☆NX南アジア・オセアニア、13・14日の両日に「インドネシア物流事情」をテーマにウェビナー
    ☆鴻池運輸が長野県安曇野市でサントリー天然水の専用保管・配送拠点「安曇野営業所第2倉庫」の竣工式開催、無人フォーク導入で同社初のフロア全体無人化も
    ☆キリンビール、2024年問題への対応で総額10億円を投資し新自動ラックなどを導入
    ☆SGムービング、東京都国立市が行っているプラスチック資源の自主回収テストに協力企業として参加
    ☆西濃運輸、多様な人材の自己実現を後押しするため4月から約560人の管理職を対象に評価・人事制度を刷新
    ☆西濃運輸、生産性向上で間接人員の作業時間を年間6万4千時間削減し約450人を直接人員にシフト
    ☆佐川急便、ユーグレナと共同で次世代バイオ燃料「サステオ」を活用し4トン超のCO2排出量を削減
    ☆SBSリコーロジスティクス、大阪府八尾市に関西エリアではグループ初のEC物流拠点を11月にオープン
    ☆全ト協調査、2023年に発生した営業用トラックによる死亡事故件数は東京都が19件で最多
    ☆国交省社整審・交政審両計画部会が合同会議、2025年度に最終年度を迎える「社会資本整備重点計画」の見直しに向けた議論開始
    ☆NX中国とNX汽車物流、従業員ら69人が参加し中国広東省広州市で植樹活動を実施
    ☆SBSフレック、神奈川県厚木市に低温物流のマザーデポ「厚木物流センター」を9月開設へ
    ☆物流各社の2024年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼貨物自動車運送事業法と物流効率化法の改正法案が参議院で可決され、成立した。衆参両院での審議を取材していて、その質疑の内容などから、トラックドライバーの置かれている過酷ともいえる状況にため息が漏れるとともに、あらためて頭が下がる思いがした。
    ▼改正法が成立したからと言って、すぐに事態が好転するものと期待はできないが、一歩前進したことに間違いはない。
    ▼今後、法律や付帯決議の内容に沿って細かなルールが定められ、企業間の取引から現場に至る物流の各階層にまで法の趣旨や理念が落とし込まれていくことで、本来あるべき物流の姿が形作られていくさまを、しっかりと見て伝えていきたい。

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