2024年を課題解決「元年」に 業界内だけではない社会問題と認識を インタビュー
神奈川県トラック協会・吉田 修一会長
――政府の2024年問題に対応する各種施策をどう評価しますか。
一言でいえばありがたい話です。今までわれわれトラック運送業界に国がこうした形で目を向けてくれたことはあまりなかったのではないか。悪しき商慣習の見直しなど業界の待遇改善を後押しする内容になっています。
特に今回は国土交通省だけではなく、厚生労働省や経済産業省、農林水産業、さらには公正取引委員会など関係省庁が横断的に取り組んでいるところを高く評価しています。
この24年問題はトラック運送業界だけの問題ではなく、物が届かなくなるということは本来、社会問題なわけです。ところが現在も世間では業界内の問題としてしか扱われていない。大変だ大変だと騒いでいるが、実際にはスーパーに物が並んでいるし、新鮮な魚も野菜も届いていて、コンビニに物が無くなっているということもない。実態としてまだ社会問題にはなってはいません。国はこの辺りを早めに察知して、社会問題になる前に何とかしようとしているのが今の段階だと思います。
――政府は標準的な運賃の引き上げ等で10%前後の賃上げが期待できるとしています。
ここで問題なのが標準的な運賃の実効性です。標準的な運賃の引き上げに加え、荷役作業や下請け手数料などの加算により、計算上は10%程度上昇するでしょう。神奈川ト協の会員の標準的な運賃の届け出率は約90%に達していますが、標準的な運賃を収受できているわけではありません。標準的な運賃がもらえていない状況の中でプラス10%と言われても、実態的に実質運賃がそこまで上がるのか、というのが非常に大きな問題だと思っています。
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