物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2024年3月11日付 2971号

車両なし利用運送事業者の協会加入認めぬルールへ 第204回理事会を開催 全ト協

斉藤国交大臣、坂本会長

 全日本トラック協会は7日、東京都港区の第一ホテル東京で第204回理事会を開き、物流革新に向けた政策パッケージに基づく2024年問題への対応など9本の最重点事項を盛り込んだ2024年度事業計画書案や予算書案などを承認。理事会で坂本克己会長は、多重下請け構造の是正に向け、車両を持たない利用運送事業者(いわゆる水屋)の協会加入を認めないルール作りなどを行う方針を明らかにした。

 理事会の冒頭、斉藤鉄夫国土交通大臣が、能登半島地震被災地域への緊急物資輸送・保管・仕分などに対するトラック協会関係者の支援に感謝の言葉を述べるとともに、今国会に提出された貨物自動車運送事業法・物流効率化法の改正法案成立などを通じて、ドライバーの賃上げ実現などに向け全力で取り組む姿勢を強調した。

記事全文は電子版から。

AIと量子技術活用に強み スタートアップ「グルーヴノーツ」の株式取得 NXHD

 NIPPON EXPRESSホールディングスは5日、NXグローバルイノベーション投資事業有限責任組合の案件として、AIと量子技術の活用に強みを持つスタートアップ企業・グルーヴノーツの株式を取得し、資本業務提携契約を締結した。

 グルーヴノーツ社は、AIや量子コンピュータなどの最先端テクノロジーを活用し、企業の抱える課題に対して最適解を導くクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を提供しており、量子コンピュータをよりシンプルに使いやすくすることで企業の業務に取り入れることを可能にし、データ処理・分析を手軽に実現し、業務効率化を図ることができる。

 今回の株式を取得でNXグループ内に蓄積されたさまざまなデータから、各状況に応じた最適解を導き出し、国内外の物流現場の改善・DX化を推進していく。

 また、物流のリソース「人」「車両」「倉庫」の継続的な最適配置を行うことや、好事例をグローバルに共有することで、より効率的で効果的なサービスを提供する。取り組み内容は次のとおり。

 ①人員最適配置=物量の波動を解析・予測し、各個人のスキル・生産性・休暇希望等の事情を考慮の上、生産性の最大化を実現する最適シフト作成の仕組みについて、運用を開始。今後は運用継続によりNXグループ内での活用拡大を図る。
 ②車両運用の最適化=車両の種類、集荷・配達ルート、荷物の積載要件等を計算し、現場ごとに手配を行っている車両運用の最適化を実現するため実証を行うことでCO2削減に取り組む。
 ③倉庫保管の最適化=商品特性に応じた倉庫レイアウトの最適化などを検討。
 ④新たな付加価値の創造=顧客の生産計画および需要予測を考慮した最適な輸送モードの選択などへの活用を検討。これらの取り組みを通じて集積されたデータに基づき、新たな機能、サービスの共同開発・展開を検討。

今週掲載トピック一覧

  • ☆センコーGHD、シンガポールのIT企業「Infolog」の株式65%を取得しグループ化
    ☆国交省の鶴田物流・自動車局長、多重下請け構造の是正は「実運送体制管理簿を通じた見える化から取り組む」と表明
    ☆「第9回日中韓物流大臣会合」が中国・天津市で6年ぶりに対面開催、日本からは上原国土交通審議官らが出席
    ☆国交省、トラック事業者による自家用自動車の通年活用巡りパブリックコメントを27日まで募集
    ☆通運連盟、2023年度「鉄道コンテナお試し輸送キャンペーン」の申請実績(速報値)は要件変更で減少に
    ☆全ト協の「多重下請け構造のあり方検討会」、トラック業界全体で2次下請けまでに制限することなどを提言
    ☆国交省と経産省が高度物流人材シンポジウムを開催、500人以上が参加し荷主の割合が4割強と過去最高に
    ☆国交・環境・経産省、EVトラック導入費用等を補助する2023年度補正予算による「商用車の電動化促進事業」の公募開始
    ☆NXHD、3Dプリント義足事業をフィリピンなどで展開するインスタリム社に出資
    ☆YSD、クレジットカード会社7社との合同検討会で不正利用に関わる業務支援の内容をまとめ公表
    ☆埼玉県、トラック運送事業者を対象とした燃料価格高騰支援金の申請受け付けを開始
    ☆JR貨物、「2023年度コンテナ輸送品質向上キャンペーン報告会」を開催
    ☆F―LINE、加工食品メーカー6社と共同で中部・関西~九州間の船舶定期輸送を開始
    ☆エリアリンクがメディア説明会、鈴木貴佳社長が主力のストレージ事業について「2029年に倍増の20万室目指す」と表明
    ☆NX総研の企業物流短期動向調査、2023年10~12月実績および24年1~3月見通しともにマイナス10で横ばい見込む
    ☆国交省、2023年度補正予算による「物流施設におけるDX推進実証事業」の補助事業者の公募開始
    ☆千葉ト協、千葉県自動車大学校で「車輪脱落防止および日常点検実施要領講習会」を開催
    ☆千葉適正化実施機関が評議委員会を開催、巡回指導目標などを盛り込んだ2024年度事業計画を承認

今週のユソー編集室

  • ▼先日、とある会合で出席者がこぼしていた。「荷主から2024年問題対応として、店舗配送の減便とコストダウンを要求され、賃金が減少するドライバーが複数人退社した」。
    ▼時間外労働の上限規制適用が目前に迫る一方、残業代に依存する賃金体系の変更が進んでいるようには感じられない。24年問題への対応が離職者増加の引き金となってしまう懸念が、徐々に高まっている。
    ▼全産業平均との賃金・労働時間格差が拡大している中、適正運賃収受のアピールは重要だが、賃金体系の変更も急務と言える。標準的な運賃の認可制度化などを求める声もあるが、まずは自助努力を重ねている姿を、アピールする必要がある。

戻る