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2024年2月26日付 2969号

自動物流道路の構築に向け検討会設置 10年で実現目指す 国交省

初会合の模様

 国土交通省は、「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づいて16日の関係閣僚会議で決定された「2030年度に向けた政府の中長期計画」に盛り込まれている「自動物流道路の10年での実現」に向け、学識経験者や全日本トラック協会をはじめとする関係団体・高速道路会社の担当者らからなる「自動物流道路に関する検討会」を設置。21日に東京都千代田区の中央合同庁舎で初会合を開き、労働力不足が深刻化する物流の現状や海外での自動物流道路の類似事例に関する検討状況などについて報告するとともに、新たな物流システムの必要性や、夏の中間取りまとめに向けた議論の方向性について確認した。

 自動物流道路については、昨年10月の社会資本整備審議会国土幹線道路部会の中間取りまとめで、「道路空間をフル活用したクリーンエネルギーによる自動物流道路の構築に向けた検討を進めていく必要がある」との指摘がなされたほか、今月16日の関係閣僚会議で決定された「2030年度に向けた政府の中長期計画」で、「24年夏ごろに想定ルート選定を含む中間取りまとめを行い、10年での実現を目指し具体化に向けて検討する」との方針が示された。

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飲料初の中距離帯定期輸送 百済貨物ターミナル駅で開始式 JR貨物、ネスレなど4社

(左から)柏井社長、犬飼社長、深谷社長、永田社長

 JR貨物、全国通運、日本運輸倉庫、ネスレ日本の4社は21日、大阪市東住吉区のJR貨物百済貨物ターミナル駅で、中距離帯での定期貨物鉄道輸送開始式を開催した。ネスレ島田工場(静岡県島田市)から大阪府・和歌山県向けのペットボトル飲料の輸送について、JR貨物静岡貨物駅(静岡市)↓百済タ間の約330キロメートルを鉄道モーダルシフトしたもの。輸送は2月から開始しており、食料・飲料業界が中距離帯で定期貨物鉄道輸送を行うのは初のケースとなる。

 島田工場から静岡貨物まで、緊締車を用いた12フィートコンテナによる集荷と、一般トラックによる持ち込み・駅上屋での12フィートコンテナ積替を行い、百済タまで貨物鉄道で輸送。百済タでは倉庫屋内1階に側線とホームを整備した日本運輸倉庫関西支店で、コンテナからパレタイズドされた荷物を取り卸し保管、大阪府と和歌山県の各納品先まで一般トラックで輸送する流れ。

 輸送量は1日当たり200トンで、ネスレの2024年の貨物鉄道輸送量は23年比約4倍に拡大する。ネスレでは年間約4千台の10トントラックによる輸送をモーダルシフトすることで、CO2排出量を年間約900トン削減できると見込む。

 輸送開始に当たって日本運輸倉庫は、百済タ構内の側線倉庫を拡張、一度に取り卸しできる12フィートコンテナの数を20個から30個へ1.5倍拡大したほか、ネスレ用の保管スペースとしてパレット約7千枚、約5千平方メートルを確保した。

 開始式にはJR貨物の犬飼新社長、全国通運の永田浩一社長、日本運輸倉庫の柏井省吾社長、ネスレの深谷龍彦社長らが出席。

 深谷社長は「今回の輸送が実現できて心からうれしく思う。関係者の尽力に感謝したい」と謝辞を述べ、犬飼社長は「輸送を実現するにあたって、かなりの調整が必要だった。ネスレのグローバルなサステナビリティに関するコミットの一助になればと思う」と語り、安定輸送に向けた意気込みを示した。

 永田社長は11年から始まったネスレとのさまざまな先進的な取り組みが、今回の中距離帯定期貨物鉄道輸送につながっていることを指摘。柏井社長はネスレの輸送に関する安全な取り扱いに全力を尽くすと表明し、今後も全国に4ヵ所ある側線倉庫を活用した取り組みを進めていく意向を示した。

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今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(1)各社の戦略
     ・日本通運
     ・アート引越センター
     ・福山通運
     ・トナミ運輸
     ・サカイ引越センター
     ・全日本トラック協会

  • ☆岸田総理、物流業界との意見交換会でトラックドライバーの賃金について「10%の引き上げ期待」と表明
    ☆政府が2024年問題に対応するための30年度に向けた中長期計画を策定、トラック積載率を16%以上増やすなどの目標盛り込む
    ☆NXHD、新経営計画における「事業の成長戦略」はグローバル市場での事業成長の加速と日本事業の再構築の2本柱
    ☆SBSHD、千葉県野田市に延べ床面積16万平方メートル超の「野田瀬戸物流センターA棟」を竣工
    ☆三八五労組が第65回年次大会、ベア5千円超の春闘要求などを含む2024年運動方針を決定
    ☆NXHD、人財確保強化に向け「スキマバイトサービス」提供のタイミーの株式取得
    ☆日本通運が九州電力グループ会社とパートナーシップ協定、川内発電所跡地での物流事業で連携
    ☆SGL、5年ぶりとなる「第11回フォークリフト運転技能コンテスト」を開催
    ☆埼玉ト協と高速安協が合同表彰式を開催、安全運転優秀事業所の595チームなどを表彰
    ☆SBSフレック、愛知県一宮市に同社中部地区最大規模の冷蔵向け物流センターを開設
    ☆センコーが8月に大阪府高槻市に「高槻PDセンター」開設、関西ハブ拠点の増強図る
    ☆NXタイロジスティクス、EVトラック初導入しCO2排出量削減へ
    ☆NX総研の2023・24年度の経済と貨物輸送見通し、JRコンテナと営業用自動車は24年度プラスに反転と予測

今週のユソー編集室

  • ▼先週開かれた政府と物流業界、荷主団体の意見交換会では、岸田文雄総理大臣が、政策パッケージ関連の施策の効果により、24年度末に10%前後の賃上げが期待できる旨発言した。
    ▼今春闘では、運輸労連が6%の賃上げ要求を掲げているが、それでも組織内の一部から「高い」との意見が出たことを考えると、“夢のような”数字ではある。
    ▼だが、他産業との賃金格差拡大が懸念される足元の状況を見れば、10%の賃上げは決して荒唐無稽な話ではない。政府の強い危機感を追い風にして、価格転嫁率で最下位の業種という汚名を返上したい。最後のチャンスを最大のチャンスに変えられるよう、新年度に臨みたい。

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