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2023年10月30日付 2954号

飛脚宅配便運賃など平均7%程度値上げ 来年4月1日から 佐川急便

 佐川急便は来年4月1日から、飛脚宅配便などの届出運賃を平均5~7%程度値上げする。持続可能な物流インフラの維持と品質の向上が目的。

 対象は、飛脚宅配便(飛脚クール便含む)、飛脚特定信書便、飛脚国際宅配便で、運賃改定率は飛脚宅配便が平均7%程度、飛脚特定信書便が平均5%程度、飛脚クール便の付加料金(140サイズ・30キログラムのみ)が220円の値上げ、国際宅配便が平均6%程度=左表参照。

 同社は今年4月、飛脚宅配便(関東~関西間)を平均9%程度値上げしており、物流の2024年問題に対応することを目的として、パートナー企業との取引単価の見直しや燃料補助金の支給、従業員の処遇改善などを実施してきた。

 一方で、2年連続の値上げとなる原因については「現在においても◎エネルギーや施設・車両等の価格高騰と労働コストの上昇◎30年の輸送力不足を見据えた従業員とパートナー企業の労働環境改善◎顧客ニーズに対応したサービス品質の維持・向上◎省人化や業務効率化に向けた施設とDXへの設備投資―など、継続的な課題や大きな環境変化が生じており、長期的で継続的な対応が求められている」ためと説明。

 飛脚宅配便(関東~関西)における24年4月以降の運賃と23年4月以前の運賃を比較すると、平均の値上げ率は16%程度となっている。

 同社では、今後も経済状況や市場の変化を考慮し、適時運賃などの見直しを予定しているとしている。

鉄道モーダルシフト拡大に向け現状や課題を討議 福岡市で第5回通運事業フォーラム 通運連盟 

 全国通運連盟は25日、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で第5回通運事業フォーラムを開催し、鉄道モーダルシフト拡大に向けた取り組みの現状や、今後必要となる施策などに関するパネルディスカッションを行った。会員事業者間の連携・協働化を促進することで、通運事業の生産性向上と荷主事業者への提案力強化を図ることを狙いに、例年開催しているもの。本年度もオンラインを併用して行っている。

 冒頭あいさつで渡邉健二会長は、2024年問題に対する政府の一連の動きなどに触れながら「鉄道コンテナ輸送への要請が、今後急速に高まってくる。国土交通省が示すモーダルシフト拡大に向けた取り組みに、われわれ鉄道利用運送(通運)事業者も遅れることことなくしっかり対応し、鉄道貨物輸送の拡大に努力していく」と力を込めた。

 フォーラムではまず、国交省物流・自動車局の長井総和官房審議官(物流・自動車)が登壇し「物流2024年問題に関する最近の取り組み状況」をテーマに講演。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、通運連盟の松本年弘理事長が進行役を務め、パネリストとして長井官房審議官、JR貨物の篠部武嗣取締役常務執行役員経営統括本部長、湯浅コンサルティングの芝田稔子コンサルタントが出席し、行政、貨物鉄道・通運、荷主からみた鉄道モーダルシフトの課題や推進策などについて語った。

記事全文は電子版から。

今週掲載トピック一覧

  • ☆2024年問題への対応(13)『エアークローゼット』
     再配達率の低下へ 『循環型物流』の仕組みを構築

  • ☆国交省の標準的な運賃の見直しに向けた検討会、新たな運賃表巡り6%程度アップの素案を提示
    ☆SBSHD、来年2月から「EC物流お任せくん」とフューチャーアーキテクトの在庫情報共有システムの連携開始へ
    ☆全ト協第55回全国ドライバーコンテスト、内閣総理大臣賞は西濃運輸が2連覇果たす
    ☆西濃運輸、神奈川県愛川町に危険物の取り扱い可能な「厚木物流倉庫」を開設
    ☆社整審国幹部会、海外事例参考に今後10年で自動物流道路の実現目指す方針固める
    ☆岸田総理、新しい資本主義実現会議で省人・省力化投資の抜本的強化に向けての支援方針を表明
    ☆国交省、加工食品分野の物流標準化で日本即席食品工業協会などからヒアリング
    ☆日本郵便と佐川急便、佐川急便の不在時持ち戻り荷物を郵便局で受け取れるサービスの提供始める
    ☆佐川急便が東京都江東区に「東京中継センター」新設、2026年2月の稼働を予定
    ☆佐川急便、福岡県粕屋町と町民サービス向上などで「包括連携に関する協定」を締結
    ☆SGHDのグループ会社傘下の「EFL Global社」がイギリスに新倉庫開設
    ☆NXHD、CVCファンドの第2号案件として資源循環型ビジネス展開の「ecommit」に出資
    ☆日冷倉協の土屋理事長が運総研セミナーで講演、2035年度までに必要ドライバー数は15~25万人増加
    ☆2022年国内港湾のコンテナ取扱量、外貿と内貿の合計は0・2%増で2年連続の増加
    ☆「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」が開幕、過去最高の475社が出展
    ☆全ト協の寺岡副会長、社整審国幹部会で高速道路料金や休憩施設などについて要望
    ☆第5回通運事業フォーラム、懇親会で通運連盟の渡邉会長「10年後見据え、鉄道貨物輸送の価値再考を」
    ☆物流連が第23回物流懇談会、ANAの外山専務が講演しANAの国際貨物戦略を紹介
    ☆NXHD、温度ロガーデータの可視化などデジタルフォワーディングサービスの会員専用機能を拡充
    ☆NXアイルランド、自社倉庫内で医薬品の一時保管などに関するGDP認証取得
    ☆安田倉庫、東京都江東区の東雲営業所に「ラピュタ自動フォークリフト」を導入
    ☆「TuSimple JAPAN」、東京~名古屋間でレベル4相当の自動運転トラックの実証実験に成功
    ☆物流業界の2024年3月期第2四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼24日に開かれた社整審国幹部会では、高速道路料金の値下げなどを訴える全ト協に対して、委員から「適正運賃収受に力を入れるべきではないか」などの厳しい声が上がった。
    ▼委員の説は誠にごもっともなのだが、中企庁調査で価格転嫁状況が全27業種中最下位という、トラック運送事業の置かれている立場を考えれば、机上の空論という以外に言葉が見つからない。
    ▼全ト協関係者が指摘するように、2024年問題に対応するために、今以上の高速道路利用が求められていることは間違いない。委員側の主張も一理ある中で、物流を持続可能なものとするために、粘り強い取り組みを進めていく必要がある。

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