山陽線不通時のバックアップでトラック代替輸送 JR貨物と新たな輸送スキーム 日本通運
日本通運は5日、JR貨物と協力し、豪雨災害が頻発している山陽線区間のバックアップ輸送体制として、広島県大竹市に中継拠点「NX大竹」(日本通運広島支店大竹営業課)を設定し、岡山貨物ターミナル駅から北九州エリアの各駅をトラックで代替輸送する、新たな輸送スキームを構築したと発表した。
中国地方では2018年の西日本豪雨や21年の秋雨前線停滞による大雨災害、本年7月に発生した豪雨災害など、人々の生命・暮らしに甚大な被害をもたらす大規模な災害が頻発し、鉄道輸送においても、本州と九州を結ぶ山陽線が長期間にわたり遮断されたことから、その対策が急がれている。
新たなスキームの特徴は次のとおり。
◎広島県大竹市に中継拠点を設置することで、岡山県と北九州エリア間の山陽線・鹿児島線をカバーし、災害による鉄道不通が発生しても、速やかなバックアップ輸送が可能◎岡山貨物ターミナル駅と北九州エリアの3駅(福岡・鳥栖・北九州の各貨物ターミナル駅)から出発したコンテナ専用トラックがNX大竹でそれぞれのコンテナを載せ替え、輸送◎トラックの日帰り輸送が可能となり「物流の2024年問題」に対応◎ドライバーの宿泊手配やトラックの駐車スペースの確保などが不要なため、バックアップ輸送の初動を迅速化。
同社では、本年7月の豪雨災害時における山陽線の不通(7月8日から20日までの期間、厚狭駅から小野田駅間)において、初めてバックアップ輸送スキームを用いて、7月12日から21日までの間に、鉄道コンテナ74個を輸送している。
今後、岡山県から北九州エリアの区間に続いて、関東から関西の区間においても、中継拠点を設定したバックアップ輸送スキームの構築を計画している。
両社は、地球環境の保護と持続可能な物流の推進を共通理念として、鉄道輸送におけるバックアップ体制を強化し、顧客のサプライチェーンの維持と安定に貢献していくとしている。