コア領域に経営資源集中 日本郵便と協業進め生活利便性向上も
インタビュー ヤマト運輸(株)・長尾裕社長
――日本郵便との協業の経緯と目的は。
企業経営で大事なことは、経営資源を最大限有効活用することです。2021年4月にヤマト運輸へグループ7社の経営資源を結集し、ワンヤマト体制を構築したことも、同じ考え方に基づいています。
今回の日本郵便との協業は、両社のコアとなる領域に、それぞれの経営資源を集中させる取り組みだと捉えています。当社のコア領域は、宅急便など箱モノを中心とした2トン車のネットワークにあります。一方で日本郵便のコア領域は、投函サービスを中心とした二輪車や軽自動車のネットワークということになるでしょう。
当社も長年投函サービスに経営資源を投じてきましたが、やはり運用する上でかなりのリソースが必要であり、コア領域に注力すべき時期にきていると判断しました。「ネコポス」はEC需要の増大などを背景に取扱数量が拡大していますが、郵便物の取扱数量は減少傾向にあります。投函サービスをユニバーサルサービスとして維持し続けるためにも、必要な協業と判断しました。
日本郵便とは、20年10月に締結した基本合意に基づき、21年2月から10道県で「クロネコDM便」の配達業務を委託していました。昨年末あらためて協議を開始し、合意に至りました。
今後2年程度の時間をかけて、「ネコポス」も含め日本郵便のネットワークを活用して輸配送していきます。投函サービス用の拠点に投函荷物を集約、そこで信書でないことを確認した上で、日本郵便の引受地域区分局まで持ち込む運用になる予定です。
日本郵便と手を組むことによって、例えば郵便ポストを活用した新サービスの検討など、よりお客さまの利便性向上につなげることで、結果として荷物が増えれば、両社にとってメリットは大きいと思います。
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