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2023年7月31日付 2943号

コア領域に経営資源集中 日本郵便と協業進め生活利便性向上も
インタビュー ヤマト運輸(株)・長尾裕社長

 ――日本郵便との協業の経緯と目的は。

 企業経営で大事なことは、経営資源を最大限有効活用することです。2021年4月にヤマト運輸へグループ7社の経営資源を結集し、ワンヤマト体制を構築したことも、同じ考え方に基づいています。

 今回の日本郵便との協業は、両社のコアとなる領域に、それぞれの経営資源を集中させる取り組みだと捉えています。当社のコア領域は、宅急便など箱モノを中心とした2トン車のネットワークにあります。一方で日本郵便のコア領域は、投函サービスを中心とした二輪車や軽自動車のネットワークということになるでしょう。

 当社も長年投函サービスに経営資源を投じてきましたが、やはり運用する上でかなりのリソースが必要であり、コア領域に注力すべき時期にきていると判断しました。「ネコポス」はEC需要の増大などを背景に取扱数量が拡大していますが、郵便物の取扱数量は減少傾向にあります。投函サービスをユニバーサルサービスとして維持し続けるためにも、必要な協業と判断しました。

 日本郵便とは、20年10月に締結した基本合意に基づき、21年2月から10道県で「クロネコDM便」の配達業務を委託していました。昨年末あらためて協議を開始し、合意に至りました。

 今後2年程度の時間をかけて、「ネコポス」も含め日本郵便のネットワークを活用して輸配送していきます。投函サービス用の拠点に投函荷物を集約、そこで信書でないことを確認した上で、日本郵便の引受地域区分局まで持ち込む運用になる予定です。

 日本郵便と手を組むことによって、例えば郵便ポストを活用した新サービスの検討など、よりお客さまの利便性向上につなげることで、結果として荷物が増えれば、両社にとってメリットは大きいと思います。

記事全文は電子版から

見積もりとトラッキングをIT・デジタル化 国際輸送のDX化加速 NXHD

 NIPPON EXPRESSホールディングスは27日、国際輸送のオンラインでの見積もりとトラッキング可能なデジタルフォワーディングサービス「e―NX Quote」「e―NX Visibility」を開始した。

 運賃見積もりは、メールや電話などでの問い合わせに時間がかかることが多かったが、「e―NX Quote」は、オンライン上で数量、出発地・到着地、商品などの情報を入力するだけで、即時に運賃見積もりを提示する。

 国際海上輸送のコンテナ貸切(FCL)貨物とコンテナ混載(LCL)貨物に対応し、出発地を欧州、東アジアの各港、到着地を米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニア、日本の各港間のレーンを対象として開始した。

 言語は英語、日本語、中国語、スペイン語に対応している。

 今後、対象レーンの拡大や国際航空輸送の見積もりにも範囲を広げ、さらなる機能拡充を図っていく予定。

 一方、これまでの国際輸送のトラッキングは、各輸送単位となっており、商流全体の輸送状況を把握することが難しいという課題があったが、「e―NX Visibility」では、海上・航空輸送のトラッキングシステムを統合し、幅広いユーザーに対応するデザインとした。

 さらに、本年10月には会員専用機能をリリースする予定で、より高度なトラッキングや出荷状況のダッシュボード画面表示などの管理機能に加えて、国際輸送のCO2排出量計算ツール(NX―Green Calculator)用のデータ出力機能やイレギュラー情報の通知、温度ロガーデータの可視化などの機能を拡充予定。

 また、受発注単位でのトラッキングにも対応するため、既存の機能にオーダーマネジメントの仕組みを追加し、より幅広いニーズに対応できるようになった。これにより、発注から配達完了までのサプライチェーン全体を可視化し、顧客のサプライチェーン・プロセスを最適化する。

 提供機能は次のとおり。
 【一般公開機能】(1)発注から配達までの輸送状況の可視化(2)遅延などのイレギュラーを早期に発見するアラート機能。
 【会員専用機能(10月開始予定)】(1)高度な検索・通知設定による追跡(2)受発注管理の自動化と、サプライヤーへの出荷可否確認(3)最新の出荷状況のダッシュボード画面表示(4)サプライチェーン品質分析におけるKPIを活用したサプライヤー評価、物流効率化支援(5)輸送データレポート提供。

 NXグループはIT・デジタル技術を駆使することで国際輸送業務のDX化を加速し、グローバルビジネス展開を支援する最適な物流ソリューションの開発に取り組み、世界中の顧客に新たな価値を提供していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • 夏季第2特集号
    ☆インタビュー―ヤマト運輸(株)・長尾裕社長
    ☆臨海鉄道特集『鉄道事業の将来見据え、発コンテナの増送へ~神奈川臨海鉄道』

  • ☆ヤマトHD、ヤマト・スタッフ・サプライの発行済み株式51%を人材大手ワールドHDグループに売却
    ☆JR貨物など7社がスーパーURコンテナでラウンドマッチ輸送、埼玉~岡山間を往復輸送
    ☆ヤマト運輸がサツドラHDとパートナーシップ協定を締結、効率的なネットワーク維持の解決策に
    ☆ロジスティード、安全運行管理ソリューション「SSCV―Safety」にデジタル労務管理機能を追加
    ☆トナミHDがウインローダーを連結子会社化、協業進め生産性の向上図る
    ☆第一貨物が第62回運転技能競技大会、48人の選手が参加し運転技術など競う
    ☆JR貨物とコマツ、2024年度中の導入に向けコンテナ用フォークリフトの共同開発契約を締結
    ☆JR貨物と通運連盟が「鉄道コンテナ利用キャンペーン2023」、コンテナ輸送の認知度向上と利用促進に向け各種イベントに出展
    ☆全国通運など3社、商船三井の協力を得て港湾施設の見学会を実施
    ☆2023年度Gマーク受理件数は過去最高の9761事業所、新規申請は1261事業所に
    ☆NLJが相模原センターでプレスセミナー、全高4.1メートルのダブル連結トラックなどを披露

今週のユソー編集室

  • ▼九州でも梅雨が明け、全国で本格的な夏に入った。物流現場をはじめ、猛暑の中での業務を強いられる仕事は数多い。
    ▼厚生労働省は、「職場における熱中症の予防について」の通達の中で、事業場で講じるべき対策を示している。
    ▼自社の事業場であれば取り組みを進めるのは、各企業の務めだ。一方で、取引先事業場内で猛暑下にある従業員の安全を守るのは難しい。
    ▼荷主都合によるトラックの長時間の荷待ちは、適正取引を阻むだけでなく、夏場にはドライバーの健康にもかかわる問題行為だ。創設された「トラックGメン」には荷待ち解消につながる活躍を期待したい。そのためには、確かな情報の提供が重要になる。

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