トラックの標準的な運賃 期限延長の検討も 持続可能な物流検討会が中間取りまとめ案
国土交通省・農林水産省・経済産業省は17日、対面・オンライン併用で第5回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を開き、関係事業者からヒアリングを行うとともに、事務局が提示した中間取りまとめ案について意見交換した。
中間案は物流政策の方向性として「物流事業者・荷主企業・消費者が『三方良し』となる社会を目指す」として、最終取りまとめに向けては「KPIを含めたイメージを示す」と明記。焦点となっている着荷主企業の物流改善への取り組みについては、物流サービスに応じて価格を変動させる『メニュープライシング』など、物流コストの見える化を促進する施策を検討すべきとした。また、物流プロセスの課題の一つに「ドライバーの賃金水準の向上はまだ道半ばの状況となっている」ことを挙げ、標準的な運賃制度の延長など所要の対応を検討する必要があるとしている。
中間案は根本敏則座長一任のもと一部修正の上、今月中に最終版として公表する。第6回の検討会は2月17日に開く。
中間案は労働時間規制等による物流への影響を分析した上で①物流の危機的状況に対する荷主企業や消費者の理解の醸成が不十分②物流プロセス③物流標準化・効率化―を課題として挙げた。その上で、総需要輸送を抑制して効率的な輸送を実現するためには「発荷主企業、物流事業者、着荷主企業が連携・協働しつつ、それぞれの事業において、待機時間・荷役時間等の状況を把握し、改善を図るための取り組みを実施する必要がある」と指摘。事業規模や貨物特性といった事情を勘案しつつ「既存の制度を参考に、それぞれの事業者に対して、計画的な物流改善を促す措置について検討すべきである」との考えを示した。
現行制度には着荷主企業の物流改善を主目的にしたものは存在しないが、中間案は「特にサプライチェーン全体の最適化にあたっては、物流需要の拠点である着荷主企業の協力が非常に重要である」と強調している。着荷主企業は「物流サービスの程度に関わらず、発荷主企業に対して同一の商品販売価格を支払う」ため、繁忙期を避けた発注や発注の大ロット化、パレチゼーションなどの「物流負荷軽減に資する取り組みを行うインセンティブが働かない状態となっている」ことを問題点として挙げた。
中間案はこうした現状を踏まえ、着荷主企業に物流改善への取り組みを促すには『メニュープライシング』など「商取引における物流コスト可視化を促進する施策を検討する必要がある」との考えを示している。
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