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2022年12月5日付 2913号

標準的な運賃など延長求め活動展開 来年度事業の柱に 全ト協

理事会の模様

 全日本トラック協会は1日、東京都港区の第一ホテル東京で第198回理事会を開き、2023年度事業計画の骨子案などについて審議。23年度は、24年3月末で期限を迎える改正貨物自動車運送事業法の荷主対策の深度化と標準的な運賃の延長を最重点項目の第一に掲げ、実現に向けた取り組みを進める方針を固めた。また、労働力不足対策では、外国人労働力の確保に向けた検討について優先順位を上げて取り組んでいくこととし、すでに国土交通省に水面下で相談を行っていることが明らかになった。

 冒頭あいさつで坂本会長は、国の財政が厳しい中、22年度第2次補正予算で高速料金の大口・多頻度割引最大割引率50%の1年間延長や燃料高騰対策の継続などが盛り込まれたのは、全国の会員が声を上げ続けてきた結果、トラック運送業界の役割や窮状を国会議員や政府が理解しているからであるとし、会員のこれまでの取り組みに感謝の意を示した。

 また、12月中に公布される見込みの改善基準告示の改正に関連して、新たな告示の遵守には長時間の荷待ちや料金を伴わない付帯作業をはじめとする荷主との商慣行見直しが不可欠であると指摘。長時間労働の改善に後ろ向きな荷主については、「厚生労働省に鉄砲を撃ってもらう(労働基準監督署が荷主に改善要請を行う)ことになっている。どういう荷主が悪いか遠慮なく申告してほしい」と述べるとともに、標準的な運賃の実現に向け「荷主に体当たりで向かってほしい」と、交渉に踏み出せずにいる会員を鼓舞した。

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非化石転換の目安となる判断基準案を審議 小型トラックは保有総数の10%に 国交省

 国土交通省は11月30日、東京都千代田区の中央合同庁舎3号館とオンラインの併用で、交通政策審議会交通体系分科会環境部会の第3回「グリーン社会小委員会―輸送事業者判断基準検討―」を開催し、輸送事業者において非化石エネルギーへの転換に向けた取り組みを実施する際の目安となるべき判断基準案を検討した。

 会合ではまず、事務局が本年7~8月に省エネ法上の特定輸送事業者(トラックの場合保有車両数200台超)534社に対して行った、非化石エネルギーの2021年度使用実績などのアンケート結果を公表。トラック運送事業者は対象351社中77社が回答を寄せ、原油換算の21年度エネルギー使用実績で、非化石燃料の使用割合は1%にとどまることが明らかとなった。77社中非化石エネルギーへの転換に向けて自主的な計画を策定している企業は17社で、本年度内を含め今後策定予定が30社、策定予定なしは30社となっている。国への期待については、長距離用大型電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)トラックの実用化・量産化や、充電・充填インフラ設備の整備、バイオ燃料の低価格化、補助金の充実などのほか、会社規模に差があり一律の目標を設定すべきではないとの意見も見られた。

 これらを踏まえ事務局は判断基準の素案を説明。改正省エネ法の規定により記載すべき事項として①輸送に際し消費されるエネルギー量に占める非化石エネルギーの割合が増加する輸送の選択に関する事項②事業者の判断の基準となるべき事項=◎非化石エネルギーへの転換の目標◎達成するために計画的に取り組むべき措置―を挙げ、それぞれ表のとおり掲げた。 

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今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(49) 『コスト上昇分の運賃への転嫁率(その1)』

  • ☆国交省・堀内自動車局長が定例会見、貨物自動車運送事業法の荷主対策震度化で元請けトラック事業者に過積載の改善要請発出
    ☆SBSHDがグループドライバーコンテスト開催、3年ぶり5回目
    ☆運輸総合研究所が物流分野のドローン社会実装のセミナー開催、コスト削減や安全性確保に向けて段階的に制度整備へ
    ☆大和ハウス工業が公開データを活用したスマートロジスティクスのコンテスト開催へ、日立物流が特別協力し「SSCV―Safety」のデータ利用
    ☆エコモ財団、グリーン経営認証永年登録事業者で20年継続表彰実施
    ☆エコモ財団等が2022年度エコドライブ活動コンクールの表彰式開催、国交大臣賞受賞の磐城通運が活動発表行う
    ☆国交省、ASV等の導入補助で申請受付期間を延長
    ☆国交省がホワイト物流セミナー、コネクトエリア浜松は月間950台の利用に
    ☆東ト協運輸安全委、ドライバー・コンテストの1日開催を見直し含め検討
    ☆千葉ト協、安全標語と絵画コンクールの各賞受賞児童を表彰
    ☆JILS、12月21日に持続可能な物流を考える無料ウェビナー開催へ
    ☆サカイ引越センター、三重県と包括協定を締結
    ☆福山通運の小丸社長がリトアニア訪問、シモニーテ首相らと会談
    ☆物流連が第24回物流環境大賞の募集開始、来年3月まで募集

今週のユソー編集室

  • ▼韓国最大の労働団体である民主労総全国公共運輸社会サービス労組の貨物連帯本部が、11月24日から無期限ストライキに突入した。
    ▼貨物連帯のストライキは本年6月にも行われており、経済活動に大きなダメージが発生している。彼らの主張は適正運賃を保証する「安全運賃制」の恒久化や、一部制限条項の撤廃だという。
    ▼民主労総は韓国でも強硬派として知られており、今回のストライキを韓国民がどの程度受け入れているのかはわからない。日本に与える影響もそれほど大きくはないだろう。ただ、標準的な運賃の動向に関心が集まる日本のトラック運輸産業の現状を考えると、やはり無関心ではいられない。

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