貨物専用機の運航で路線・便数など発表 運航会社の変更も ヤマトHD、JAL
ヤマトホールディングスと日本航空(JAL)は22日、この1月に発表した両社共同による貨物専用機の運航について、路線や便数などを公表するとともに、当初ジェットスター・ジャパンとしていた運航会社をスプリング・ジャパンに変更するなど、プロジェクトの進捗(しんちょく)状況を発表した。
ヤマト運輸は2024年問題などを背景として、特に長距離トラックドライバーの不足が懸念される中、ドライバーにとって負担の大きい長距離輸送を鉄道や船舶・航空機にモーダルシフトする計画としており、貨物専用機の運航はその一環となる。同社ではそのほか、災害など緊急時の輸送チャネル確保等による持続的な物流ネットワークの構築なども目的に掲げている。
両社は本年1月、プロジェクトの内容について、次のとおり発表していた。
①ヤマトグループが機体をリース導入し、JALグループのジェットスター・ジャパンが運航②導入機材はエアバス「A321ceo P2F」型機で中古旅客機3機を改修③最大搭載重量は1機当たり28トンで、現状の車両積載量から判断して10トン車5~6台分の搭載量④対象貨物は宅急便を想定⑤搭載コンテナはメインデッキにAAYコンテナ14台、ロワーデッキにAKHコンテナ10台⑥運航路線は羽田・成田から新千歳・北九州・那覇。
今回発表した具体的な運航路線・便数は次の4路線で、1日当たり21便、24時間運航としており、一部では東京↓沖縄↓北九州↓東京の三角運航も行う。24年4月の3機稼働時を想定したもので、関係当局の許可を前提としている。
◎東京(日中は成田、深夜は羽田)⇔北九州、4・5往復、9便
◎東京(日中は成田、深夜は羽田)⇔札幌(新千歳)、5往復、10便
◎東京(成田)→沖縄(那覇)、0・5往復、1便
◎沖縄(那覇)→北九州、0・5往復、1便
機材については、導入予定の3機のうちすでに2機は受領済みとなっており、残る1機は23年2月に受領の予定。受領済みの2機はスペインとフランスに保管している。旅客機から貨物機への改修は、シンガポールで23年3月から順次開始する。改修作業はエアバス機の貨物機改修を専門的に行っている独EFW社と契約した。
運航会社については、JALの連結子会社であるスプリング・ジャパンに変更した。この理由についてJALでは、スプリング・ジャパン社が旅客機6機を保有し、中国からのインバウンドをメインターゲットとして事業を展開しているが、コロナ禍の影響などもあり今後の動向が不透明なことから、貨物専用機の運航を新たな事業の柱とするためと説明。現状ではエアバス機は保有していないが、グループ内で円滑な意思疎通を図りながら、運航・整備両面で問題なく対応できる見込みとしている。
そのほか、就航予定の各空港で貨物専用機の運航に必要となる地上車両などの機材、上屋スペースの確保などの施設関連の整備を進めており、今後運航乗務員や貨物のハンドリング要員などについて、新規採用を進めていく予定とした。