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2022年11月21日付 2911号

7~9月の業界景況感は4~6月に比べ補助金などで改善傾向示す 全ト協

 全日本トラック協会は15日、2022年7~9月期の景況感(第119回速報)を公表。業界の景況感は、燃料高騰に対する「燃料油価格激変緩和補助金」や「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」などにより損益状況が改善したことからマイナス36.6となり、前回より15.5ポイント改善した。

 実働率は、マイナス15.9と前回調査に比べ15.3ポイント改善。実車率はマイナス15.2で11.6ポイント改善。採用動向はマイナス10.1で2.4ポイント上昇し、雇用動向(労働力の不足感)は46.8で29・3ポイント低下したことから不足感は低下した。

 所定外労働時間は、マイナス19.2で8.8ポイント増加、貨物の再委託(下請け運送会社への委託割合)は、マイナス7.0で6.3ポイント増加した。

 一般貨物の輸送数量はマイナス7.3で5.4ポイント悪化、運賃・料金の水準はマイナス26.8で2.2ポイント悪化、売上高はマイナス7.6で4.5ポイント悪化した。営業利益はマイナス26.8と2.2ポイント悪化した。

 宅配貨物の輸送数量は10.0で1.7ポイント改善。運賃・料金の水準はマイナス25.0で9.7ポイント悪化したが、売上高はマイナス22.5で2.5ポイント改善。営業利益はマイナス13.8で5.5ポイント悪化した。

 宅配以外の特積み貨物の輸送数量は7.3で1.3ポイント改善。運賃・料金の水準はマイナス6.4で7.6ポイント悪化したが、売上高は8.2で3.4ポイント改善。営業利益は5.5で6.4ポイント悪化したものの、プラス圏を維持した。

 今後の見通しは、実働率がマイナス11.3で4.6ポイント改善、実車率はマイナス11.6で3.6ポイント改善する見込み。採用動向はマイナス9.1で1.0ポイント上昇、雇用動向は41.9と4.9ポイント低下し、労働力の不足感は低下すると見込んでいる。

 一般貨物の今後の見通しは、輸送数量がマイナス6.7で0.6ポイント改善、運賃・料金の水準はマイナス22.9で3.9ポイント改善し、売上高は13.1で20.7ポイント改善、営業利益はマイナス22.0で4.8ポイント改善する見込み。

 宅配貨物の今後の見通しは、輸送数量が20.0で10.0ポイント改善、運賃・料金の水準はマイナス18.8で6.2ポイント改善し、売上高は10.0で32.5ポイント改善、営業利益は1.3で15.1ポイント改善する見込み。

さらなる効率化進めROE5%の達成目指す セイノーHD田口社長が意欲

 セイノーホールディングスの田口義隆社長は、18日にオンラインで開いた2023年3月期第2四半期決算説明会で、同社が掲げる「オープンパブリックプラットフォーム」(O.P.P)による同業他社との協業を通じた効率化や、環境問題への対応を進めていく姿勢をあらためて強調するとともに、さらなる生産性向上などによってROE(自己資本利益率)5%の目標達成に意欲を見せた。

 田口社長は説明会で、運送業界はいわゆる「2024年問題」を抱えていることに加え、コロナ禍によってtoC主流に変化した物流の構造変化への対応を迫られていると指摘。環境問題への対応も不可逆的であるとの考えを示し、O.P.Pで業界内を効率化することで各社のコストを抑制するとともに、走行距離短縮などによりCO2排出量削減にもつながるとした。

記事全文は電子版から

今週掲載トピック一覧

  • ☆列島の外に目を向けると 『NX国際物流上海ヘルスケア支店』

  • ☆NXHDが23年1月1日付人事発表、齋藤社長はHDに専念へ
    ☆NXHDと日本通運が23年1月1日付で組織改正、ITデジタルソリューション本部新設へ
    ☆NXHDが23年1月1日付でグループ事業を再編、NX不動産の事業をNX商事に承継へ
    ☆ヤマト運輸がフリマ商品等の発送を商業施設等で可能にするサービス開始、マルイなど70店舗でスタート
    ☆センコーが新会社ゼロブランズ設立、ファッション商品の廃棄ゼロへプラットフォーム始動
    ☆JR貨物・犬飼社長が定例会見で22年度下期の展望語る、貨物鉄道の強み前面に狙いを絞った営業展開へ
    ☆JR貨物が決算会見、運輸収入は前年増で鉄道ロジスティクス事業は実質横ばいに
    ☆押入れ産業がサカイ引越センターと保管事業で業務提携、ワンストップで提供へ
    ☆SGフィルダー、物流業界主体の人材紹介サイト「キャリチャレ」開設
    ☆国交省がドローン物流ビジネスモデル検討会開く、レベル4飛行見据えガイドライン改定へ
    ☆経産省・NEDOが12月にセミナー、自動配送ロボットを活用した新サービスの紹介など
    ☆国交省が車両動態管理システム等導入補助の第4次公募開始、12月2日まで
    ☆帝国データが物価高倒産動向調査を発表、運輸業は51件で最多に
    ☆東京都が燃料高騰緊急対策事業の説明会を開催、申請は12月から受け付け開始
    ☆物流各社の第2四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼11月8日の夜、NHKの番組クローズアップ現代で「“送料無料”の陰でトラックドライバーの悲鳴」が放映された。
    ▼番組ではあるドライバーに密着し、荷主に高速道路料金を負担してもらえず一般道を長時間走っている様子や、契約外の荷卸作業を“サービス”で行っている様子、挙句の果てにタコグラフのチャート紙を抜き取る“改ざん”の実態まで、赤裸々に描かれていた。
    ▼こうした内容を一般向けに放映するのは、極めて意義深いことだと思う。一方で、改善に向けて懸命に努力している事業者の様子も広めてもらいたい。過酷な実態だけが広まり、若者の足が業界からますます遠のくことのないように。

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