インタビュー NIPPON EXPRESS ホールディングス(株)執行役員 大辻智氏 高評価のソリューションと提案力でハイファッション物流さらなる強化へ
――アパレル産業の実績と目標値を。
ファストファッションなども含め、21年度実績は日本が155億円、海外が787億円です。23年度を最終年度とする現経営計画では日本200億円、海外800億円の売上高を目標に設定しています。
――アパレル産業のうち、ご担当のハイファッション業界の動向は。
いわゆる高級ブランドを指すわけですが、ハイファッションの定義そのものが明確に定まっていないこともあり、対象をどのように設定するかで統計データが大きく異なるものの、市場規模は堅調に伸びていくと言われています。以前は横ばいで推移していく業界と見られていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大によって志向やライフスタイルが変わり高級品への購買意欲が高まっており、ある調査機関ではハイファッション業界は年率3.7%で伸長していくと予測しています。
――ハイファッションを扱う物流の市場規模は。
こちらも調査機関によって差はありますが、あるシンクタンクの調べでは20年の売上高は2500億米ドル市場と推計されています。
――ハイファッション物流を開始したイタリアでのM&A戦略等について。
当社は13年に、イタリアで高級ファッションブランドを中心としたアパレル関連のフォワーディング事業を展開するフランコ・ヴァーゴを買収し、18年には同じく高級ファッションブランドを主要顧客とし、ファッション、ライフスタイル関連の倉庫保管・配送サービスを中心とした事業を、イタリアをはじめ欧州や米国において展開するトラコンフの買収を行いました。
フランコ・ヴァーゴはフォワーディング、トラコンフはロジスティクス、倉庫、域内配送の機能を有していました。
当時、私は欧州日通(現・NX欧州)に出向していて、両社のロジスティクス、倉庫、フォワーディングの機能を生かし、その行き先であるアジアにおいて日本通運とアジア各現地法人とをつなげることで、ハイファッション向けのサービスを強化するという戦略のもと、両案件のM&Aに携わりました。
また、人的なネットワークも重要な要素で、この業界は、「はじめまして」では入口にさえ入ることができない敷居の高さがあり、両社に仲間になってもらい、突破口を開いてもらおうと考えたのです。
20年には、旧イタリア日通とフランコ・ヴァーゴ、トラコンフの3社を経営統合し、新生イタリア日通(現・NXイタリア)を発足させ、ハイファッション物流を本格的に事業展開する上で、NXグループの要としています。
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