物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2022年9月26日付 2904号

インタビュー (一社)運転従事者脳MRI健診支援機構事務局長 蒲原正弘氏 運転者の脳疾患予防へ MRI・MRA検査の全国的な理解浸透を

 ――機構発足の経緯は。

 2011年11月に愛知県瀬戸市で小学1年生ら40人を乗せたバスが崖下に転落し、運転手が亡くなりました。運転手はくも膜下出血であったことから、水町クリニック院長は職業運転者の健康管理意識に疑念を抱き、羽田雄一郎国土交通大臣(当時)と会談し、運転従事者が一般健康診断しか受けていないという現状を確認した上で、生活習慣病や先天的脳血管障害を起因とする脳疾患、特に未破裂動脈瘤(りゅう)が突発的な事故の原因となるのではないかという問題を提起したことが始まりです。そして14年8月、一般社団法人運転従事者脳MRI健診支援機構を設立しました。

 ――事業内容は。

 事業用自動車の運転中における、脳血管疾患による悲惨な交通事故防止を目的に、創設以来、国土交通省と連携してドライバーへの脳MRI健診受診を進めております。そのほか、業務部の野口一郎部長が中心となって、自動車事故対策機構(NASVA)や各トラック協会、バス協会、ハイヤー・タクシー協会、海事協会と連携し、脳健診をはじめとして睡眠時無呼吸症候群や視野狭窄(きょうさく)などをテーマとしたセミナーの講師を引き受けております。セミナーの出席や、運転者に脳健診を受診させることがGマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)の加点にもつながる仕組みになっています。

 15年には、われわれの活動に賛同をいただき「運転従事者の健康と安全を守るための脳MRI健診推進超党派議員連盟」が発足されました。16年に起きた軽井沢スキーバス転落事故では、その後開催された議員連盟緊急役員会において当機構の小川彰理事(現、岩手医科大学理事長)がくも膜下出血による健康起因事故を防止するためにはMRI・MRA検査のみが有効であることを説明したことで、17年の「道路運送法及び貨物自動車運送事業法」の一部改正につながるものとなりました。

記事全文は電子版から。

秩父市 物流事業者5社と連携し共配のプレサービス開始へ

 秩父市生活交通・物流融合推進協議会(会長=小野田弘士早稲田大学教授)は27日から3日間、大手物流事業者5社と連携し、埼玉県秩父市の大滝地域で共同配送のプレサービスを実施する。

 ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便と、協力会社の西濃運輸、福山通運が参画し、大滝地域宛ての荷物を配達する取り組み。サイズは3辺合計200センチメートル・重さ30キログラムまでで、保冷・代金引換商品は対象外。今回の運営方法と各社の役割は次のとおり。

 ①佐川急便、西濃運輸、福山通運は、大滝地域宛ての荷物を「ヤマト運輸影森営業所」に持ち込む②各社の荷物を積み込んだヤマト運輸のトラックが「荒川郵便局」に立ち寄り、日本郵便の荷物を積み込む③大滝地域宛 ての荷物を積み込んだヤマト運輸が、受取人の自宅まで荷物を配達する。

 プレサービスで得られた成果や課題を踏まえ、2023年度以降の本格運用に向けた検討を進める方針で、物流業界の課題である「運送・配送業務の効率化・平準化」を解決し、秩父市の宅配需要を満たすことで地域と物流事業者双方に利益をもたらす新たな「秩父モデル」の構築を推進するとしている。

 さらに今後の展望として、ラストワンマイルの配送を地元の物流事業者が担うことで、「物流機能」と「高齢者を支援する地域の見守り共助機能」を兼ね備えた新しい物流モデルの構築とその実装を目指すとともに、ゼンリンが開発する「位置情報ビッグデータを管理するデータ基盤」と、「街の活動状況を可視化するダッシュボードシステム」を用いて、共同配送の運行管理をシステム化し、全国への展開を目指す。

今週掲載トピック一覧

  • ☆インタビュー-運転従事者脳MRI健診支援機構事務局長・蒲原正弘氏
    ☆ウォッチ(136) 『中国の新エネルギー車による自動運転幹線物流の取り組み事例を見る』
    ☆列島の外に目を向けると 『JR貨物バンコク駐在員事務所』

  • ☆全NX商事労働組合が第42回定期全国大会を開催、社名変更受け組合名を変更
    ☆日本通運がパソナ、サークレイスと業務提携し海外駐在員管理支援サービス開始、ワンストップで提供
    ☆社整審道路分科会物流小委員会、今秋にも通達発出しダブル連結トラックの通行可能区間を5千キロメートル超に拡充
    ☆LEVOがドローン物流などの補助事業で公募開始
    ☆ヤマト運輸がキユーピー直販サイト向け流通スキームを構築
    ☆埼玉ト協が交通安全大会を開催、『目指せ!事故撲滅』

今週のユソー編集室

  • ▼北海道では最低気温が10度を下回る日も増え、そろそろ雪の季節に向けてタイヤ交換の算段をしているトラック事業者も多いだろう。
    ▼ここ数年、大型車による車輪脱落事故件数は高止まりしており、全日本トラック協会はタイヤ交換作業の手順と方法に関するリーフレットと動画を作成、15日から協会ホームページで公開している。
    ▼ハブ面の点検やディスク・ホイールの念入りな清掃、適正トルクでの締め付けなど、どれも「当たり前」にして重要な作業が示されており、走行後の増し締めも必ず実施するよう求めている。
    ▼車輪の脱落事故を1件でも減らすため、冬入り前にもう一度、作業の「当たり前」を確認したい。

戻る