インタビュー (一社)運転従事者脳MRI健診支援機構事務局長 蒲原正弘氏 運転者の脳疾患予防へ MRI・MRA検査の全国的な理解浸透を
――機構発足の経緯は。
2011年11月に愛知県瀬戸市で小学1年生ら40人を乗せたバスが崖下に転落し、運転手が亡くなりました。運転手はくも膜下出血であったことから、水町クリニック院長は職業運転者の健康管理意識に疑念を抱き、羽田雄一郎国土交通大臣(当時)と会談し、運転従事者が一般健康診断しか受けていないという現状を確認した上で、生活習慣病や先天的脳血管障害を起因とする脳疾患、特に未破裂動脈瘤(りゅう)が突発的な事故の原因となるのではないかという問題を提起したことが始まりです。そして14年8月、一般社団法人運転従事者脳MRI健診支援機構を設立しました。
――事業内容は。
事業用自動車の運転中における、脳血管疾患による悲惨な交通事故防止を目的に、創設以来、国土交通省と連携してドライバーへの脳MRI健診受診を進めております。そのほか、業務部の野口一郎部長が中心となって、自動車事故対策機構(NASVA)や各トラック協会、バス協会、ハイヤー・タクシー協会、海事協会と連携し、脳健診をはじめとして睡眠時無呼吸症候群や視野狭窄(きょうさく)などをテーマとしたセミナーの講師を引き受けております。セミナーの出席や、運転者に脳健診を受診させることがGマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)の加点にもつながる仕組みになっています。
15年には、われわれの活動に賛同をいただき「運転従事者の健康と安全を守るための脳MRI健診推進超党派議員連盟」が発足されました。16年に起きた軽井沢スキーバス転落事故では、その後開催された議員連盟緊急役員会において当機構の小川彰理事(現、岩手医科大学理事長)がくも膜下出血による健康起因事故を防止するためにはMRI・MRA検査のみが有効であることを説明したことで、17年の「道路運送法及び貨物自動車運送事業法」の一部改正につながるものとなりました。
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