改善基準告示改正に向けた報告書まとまる トラック作業部会
労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会(藤村博之部会長)は7日、東京都千代田区の厚生労働省で第10回会合を開き、1年間の拘束時間を現行より216時間短い原則3300時間とすることなどを柱とする改善基準告示改正に向けた報告書を取りまとめた。約1年4ヵ月10回に及ぶ同作業部会での検討は、ようやく取りまとめに至ったが、新たな告示の荷主への周知や実効性ある指導・監督など、トラック運送事業者が告示を遵守できる環境づくりをいかに進めていくかが、働き方改革を実現する上で重要なカギとなる。
作業部会ではこれまで、使用者側委員が荷主との商慣行などを考慮し現行の運行実態を踏まえた基準を求めてきたが、労働者側委員は自動車運転者の脳・心臓疾患による労働災害発生の実態を踏まえ、運転者の命と健康が守られる基準を求めてきており、議論は平行線をたどってきた。
報告書では、こうした労使の意見を反映し、「年間の総拘束時間が3300時間(現行3516時間)かつ1ヵ月の拘束時間が284時間(現行293時間)を超えないものとする」としながら、「労使協定により年間の拘束時間が3400時間を超えない範囲で、1ヵ月の拘束時間を310時間(現行320時間)まで延長できる」とのただし書きを付している。
労働者側委員は、1ヵ月の拘束時間について現行の原則である293時間を超える延長は認められないとの意見を繰り返し示してきたが、使用者側委員の意見を反映し、現行より10時間の短縮にとどまった。
1日の拘束時間については13時間を超えないことを原則とし、延長する場合は限度を15時間(現行16時間)としているが、例外として運転者の1週間の運行がすべて長距離貨物運送(1運行の走行距離が450キロメートル以上)で、かつ1運行の休息期間が住所地以外の場所である場合、当該1週間について2回に限って16時間まで延長できるとの例外を新たに設定している。
また、1日の拘束時間が14時間を超える回数の目安を通達で「1週間2回以内」として示すことも付している。