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2022年9月12日付 2902号

改善基準告示改正に向けた報告書まとまる トラック作業部会

 労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会(藤村博之部会長)は7日、東京都千代田区の厚生労働省で第10回会合を開き、1年間の拘束時間を現行より216時間短い原則3300時間とすることなどを柱とする改善基準告示改正に向けた報告書を取りまとめた。約1年4ヵ月10回に及ぶ同作業部会での検討は、ようやく取りまとめに至ったが、新たな告示の荷主への周知や実効性ある指導・監督など、トラック運送事業者が告示を遵守できる環境づくりをいかに進めていくかが、働き方改革を実現する上で重要なカギとなる。

 作業部会ではこれまで、使用者側委員が荷主との商慣行などを考慮し現行の運行実態を踏まえた基準を求めてきたが、労働者側委員は自動車運転者の脳・心臓疾患による労働災害発生の実態を踏まえ、運転者の命と健康が守られる基準を求めてきており、議論は平行線をたどってきた。

 報告書では、こうした労使の意見を反映し、「年間の総拘束時間が3300時間(現行3516時間)かつ1ヵ月の拘束時間が284時間(現行293時間)を超えないものとする」としながら、「労使協定により年間の拘束時間が3400時間を超えない範囲で、1ヵ月の拘束時間を310時間(現行320時間)まで延長できる」とのただし書きを付している。

 労働者側委員は、1ヵ月の拘束時間について現行の原則である293時間を超える延長は認められないとの意見を繰り返し示してきたが、使用者側委員の意見を反映し、現行より10時間の短縮にとどまった。

 1日の拘束時間については13時間を超えないことを原則とし、延長する場合は限度を15時間(現行16時間)としているが、例外として運転者の1週間の運行がすべて長距離貨物運送(1運行の走行距離が450キロメートル以上)で、かつ1運行の休息期間が住所地以外の場所である場合、当該1週間について2回に限って16時間まで延長できるとの例外を新たに設定している。

 また、1日の拘束時間が14時間を超える回数の目安を通達で「1週間2回以内」として示すことも付している。

東京九州フェリー利用し幹線共同輸送を開始 佐川急便・日本郵便

 佐川急便(本村正秀社長)、日本郵便(衣川和秀社長)、東京九州フェリー(小笠原朗社長)の3社は8日、関東~九州間で船舶を利用した幹線共同輸送を開始したと発表した。

 佐川急便はトラックを活用した宅配便輸送におけるCO2排出量の削減や、長時間運行に起因するドライバーの労働負担の削減を目的に、2021年7月から関東~九州間のトラック長距離幹線輸送の一部を、東京九州フェリーの横須賀~新門司航路に切り替えている。本年8月1日から日本郵便もこの事業に参画し幹線輸送を共同化することで、佐川急便と日本郵便のCO2排出量の年間205.6トン(約59%)削減と、トラックドライバー運転時間の年間6204時間(約90.7%)削減を目指していく。8月1日付で国土交通省から物流総合効率化法の対象に認定されている。

 運用スキームは次のとおり。

 ①佐川急便が関東近郊で集荷した九州向け宅配便荷物を、東京都江東区の佐川急便・Xフロンティアでセミトレーラーに積み込み午後4時45分に出発、東京都江東区の日本郵便・新東京郵便局に立ち寄る(距離1キロメートル、年間輸送量1853トン)。

 ②日本郵便・新東京郵便局で、日本郵便が関東近郊で引き受けた九州向け郵便物などをセミトレーラーに積み合わせ5時半に出発、横須賀港へ輸送する(距離72キロメートル、年間輸送量2850トン)。

 ③横須賀港でシャシーのみ11時発のフェリーに積載し、横須賀港から新門司港まで海上輸送(距離978キロメートル、年間輸送量2850トン)。

 ④翌日午後9時に新門司港に到着した後、福岡市の日本郵便・新福岡郵便局に11時半に立ち寄り、郵便物などを荷降する(距離71キロメートル、年間輸送量2850トン)。

 ⑤福岡県粕屋町の佐川急便・福岡センターまで輸送、翌々日午前零時に到着し宅配便荷物を荷降する(距離4キロメートル、年間輸送量1853トン)。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・国際物流総合展2022
     インタビュー-国際物流総合展2022事務局長・北條英氏
     仕分・ピッキングシステム出展社紹介
      村田機械
      寺岡精工
      ラピュタロボティクス
      ブリヂストン
      ギークプラス
      Mujin
    ☆経済と物流の表裏分析(45)『7~9月の「荷動き指数」は下振れ必死』

  • ☆ヤマト運輸、多様性尊重する会社の実現に向けて独自のユニバーサルマナー検定をミナイロと共同開発
    ☆福山通運が日本郵便と共同輸送開始、EC荷物配送で提携
    ☆JR貨物がグループ社長会議、犬飼社長は総合物流企業への取り組みが着実に成果を挙げているとの認識示す
    ☆アート引越センターが引越技術コンテストを3年ぶりに開催
    ☆ヤマト運輸がスマホ決済サービス「にゃんPay」開始、宅急便が割引運賃に
    ☆水嶋国土交通審議官が就任会見、物流の海外展開がわが国の地位向上に寄与
    ☆鶴田国交省交流審が就任会見、物流政策の自動車局移管は物流と公共交通それぞれの強化が目的
    ☆物流連がインターンシップ開催、学生約330人が参加
    ☆国際物流総合展2022、主催者企画展示や関連団体情報発信ステージも

今週のユソー編集室

  • ▼13~16日の4日間、東京ビッグサイトで国際物流総合展2022が過去最大の規模で開催され、最先端の技術はもちろん、情報システムや各種サービスなどのソフトについても幅広い展示が行われる。
    ▼物流業界で深刻化する労働力不足対策のみならず、低炭素化や供給コスト適正化などにもつながる自動化・省人化の機器・システム・サービスは、日々急速な進化を続けており、幅広い分野で進むDXを物流の世界で実現している。
    ▼「これまで自動化の遅れていた物流業界だからこそ、DXによる改善の余地が大きい」との指摘をかみしめながら、国際物流総合展を通じて、これからの物流のあるべき姿を学び考えたい。

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