インタビュー―北海商科大学大学院商学研究科教授・相浦宣徳氏
物流ネットワークの維持へ、北海道~本州間の幹線輸送で貨物鉄道は最後の砦
――北海道・道外間 の物流面の課題は。
近い将来予期される有珠山の噴火などの災害対応、労働力不足を背景とした道内外のトラック輸送力の低下、海上輸送に関する人材不足や環境対応の問題、青函共用走行と並行在来線の存廃などが挙げられます。
――まずトラック輸送力の低下は。
北海道でも年を追うごとにドライバー不足が顕著になっています。例えば道内の35~39歳の大型運転免許の保有者は、2016~21年にかけて減る一方になっており、今後もその傾向は続いていくことが予想されます。
周知のとおり24年になると自動車運転者についても罰則付きの時間外労働時間年間960時間が適用されるほか、現在見直しが進んでいる改善基準告示により、拘束時間の短縮と休息期間の延長が行われる見通しです。鉄道利用運送(通運)事業者の緊締車両の運行も、今までは5回転できていたものが、4回転にせざるを得ないという試算も出ています。当然の話ですが、人材不足と1人当たりのドライバーの対応力低下が重なると、輸送力は大きく低下します。1運行当たりの輸送距離が長く、季節波動による労働時間集中型の道物流では、昨今の気象災害の激甚化などとも併せ、他の地域より万全な対応が求められます。
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