国交省・経産省、フィジカルインターネット実現への道筋示す
経済産業省と国土交通省は9日、ウェブ会議形式で第5回フィジカルインターネット(PI)実現会議を開催し、2040年のPI実現に至るまでの分野ごとの詳細な道筋や方向性を示したPIロードマップ案について審議した。
PIロードマップ案は①なぜPIが必要なのか②PIのコンセプト、歴史、海外動向③PIが実現する社会のイメージ④PI実現に向けたロードマップ⑤パフォーマンス―などで構成。
①では、積替を前提として輸送の途中にハブを設け、受け渡しする単位(貨物の規格)を統一し、物流リソースを共有化してモノのやりとりをしようとするのがPIの基本的な考え方であると説明した上で、PIは「コンテナ」「ハブ」「プロトコル」の三つの基本的な要素が存在することなどを解説。
「コンテナ」は海上・鉄道で使用される大型のものではなく、パレット・通い箱に代表される小さな輸送ユニットを指すことや、「プロトコル」は、貨物をやり取りするための運用上の取り決めであり「ロジスティクスウェブ」「カプセル」「シッピング」「ルーティング」「ネットワーク」「リンク」「物理」の各層(いずれも案として例示)に分けて規約を定めることが望ましいことなどを盛り込んでいる。
③では、PIが実現すると、物流に関する「効率性」「強靭性」「良質な雇用の確保」「ユニバーサル・サービス化」が実現されると指摘。
効率性では、調達~生産~物流~販売の各機能のデータを連携させ、同期化することで、最適なサプライチェーンマネジメントが可能になるほか、消費者情報や需要予測を起点に製造拠点の配置を含めて最適化する「デマンドウェブ」を形成すれば、「売れないモノは作らない、運ばない」ことが可能になり、廃棄ロスを無くすことができるとしている。
④では、PI実現のゴールイメージを基にした「輸送機器」「物流拠点」「垂直統合」「水平連携」「物流・商流データプラットフォーム」「ガバナンス」の各分野について、現状、準備期(~25年度)、離陸期(26~30年度)、加速期(31~35年度)、完成期(36~40年度)の各フェーズで想定される企業・業界・社会での動きや、技術開発の状況などを解説している。
輸送機器については、小型配送ロボットやドローン宅配、トラック自動運転の社会実装を進めるとともに、引き続き鉄道・海運モーダルシフトにも取り組むべきと説明。
垂直統合については、「業務プロセスが標準化されていない」「物流事業者の作業負荷を大きくする商取引慣行が存在している」「パレチゼーション等ユニットロードシステムが構築されていない」「物流に関するコストが可視化されていない」などの問題が山積している現状に対して、デジタル化やその前提となる標準化を進めるとともに、パレチゼーションの徹底によるユニットロードシステムの確立や具体的アクションプランの策定・実行が必要であるとしている。
物流・商流データプラットフォームについては、SIPスマート物流サービスなどのプラットフォームが26年度以降、相互に連携することで、物流現場の業務が高度化し、中小事業者を含む幅広い事業者が参画できてシームレスにデータ連携できる物流が実現するとの見通しを示している。