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2022年1月17日付 2870号

運転者の拘束時間など20年度に比べ減少に 労政審専門委が告示見直しに向けた会合開催

 労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(藤村博之委員長)は14日、東京都港区の三田共用会議所で第7回会合を開き、トラックドライバーの改善基準告示見直しに向けて2020年度に引き続いて実施した21年度の労働時間等の実態調査結果を報告するとともに、バス、タクシー・ハイヤーの各作業部会での議論を踏まえた告示見直しの追加案などについて審議した。

 実態調査は、バス、タクシー・ハイヤーについては20年度に実施した調査結果を、告示見直しに向けた議論のたたき台として活用してきたが、トラックについては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う物流への影響を考慮して、21年度も引き続き実施。20年度の2倍となる1410事業所8460人を対象に調査を行い、427事業所(回答率30.3%)、1712人(20.2%)から回答を得た。

 1年間の拘束時間については、「3300時間以上」との回答の割合が21.7%で20年度調査より7.6ポイント減少。

 繁忙期の休日労働の回数についても「1回以上」が34.5%で13.7ポイント減少、「3回以上」も14.5%で16.5ポイント減少している。

 このうち、20年度に回答のあった257社1542人に行った追跡調査では、1年間の拘束時間が3300時間以上の事業者の割合は21.2%で5.5ポイント減少、繁忙期の休日労働の回数も「1回以上」が33.7%で15.3ポイント減少、「3回以上」も17.2%で12.7ポイント減少するなど、全体的に年間の拘束・労働時間が減少している。

 併せて実施された運転者の疲労度の医学的な調査の結果については、長距離トラックでは1運行の拘束時間が長くなると疲労が強まることや、ルート配送では業務間の休息時間の長さと急性疲労には負の関係が見られることなどが報告された。

 こうした結果を踏まえ、21日にはトラック作業部会を開催し、告示見直しに向けた本格的な議論をスタートさせる。

記事全文は電子版から。

物流業界の東証新市場区分は約半数がプライムを選択

 東京証券取引所(山道裕己社長)は11日、今年4月4日から開始する新市場区分の選択結果を公表。東証に上場し陸運業、倉庫・運輸関連業に分類される企業で、物流を主な事業とする69社のうち、プライム市場を選択した企業は、49.3%の34社に上ることが分かった。

 東証は現在、1部、2部、マザース、ジャスダックの四つの区分を設けているが、各市場のコンセプトが不明確なことや、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが十分にできていないといった課題があるため、4月から新たにプライム、スタンダード、グロースの三つの市場区分とし、課題解消を図るとしている。

 新区分では株式の流動性、ガバナンス、経営成績・財政状態などで上場基準を設け、プライム、スタンダード、グロースの順で、基準を高く設定。一例として流動性では、プライムが株主800人以上、流通株式2万単位以上、時価総額100億円以上などと設定しているのに対し、スタンダードでは株主400人以上、流通株式2千単位以上、時価総額10億円以上に、グロースでは株主150人以上、流通株式千単位以上、時価総額5億円以上としている。

 11日に発表された各社のうち、陸運業、倉庫・運輸関連業に分類される企業で物流を主な事業とする69社の選択の内訳は、プライムとスタンダードがともに34社で、グロースが1社となった。現在1部に上場している45社でみると、プライムが75.6%の34社、スタンダードが24,4%の11社となっている。

 69社のうち売上高規模上位20位の中では、キユーソー流通システムのみがスタンダードを選択。NIPPON

 EXPRESS HD、ヤマトHD、SGHD、日立物流、近鉄エクスプレス、セイノーHD、センコーグループHD、山九、鴻池運輸、福山通運、上組、SBSHD、三井倉庫HD、三菱倉庫、住友倉庫、ニッコンHD、日新、トランコム、トナミHDの19社は、いずれもプライム市場を選択した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各界年頭あいさつ
    ☆経済と物流の表裏分析(29)『製品価格の値上げは物流コスト上昇のせいか』

  • ☆斉藤国交大臣が新春インタビュー、中小企業の物流DX推進へ後押しする姿勢示す
    ☆JP楽天ロジが都心部高層マンション屋上に完全自動飛行で配送、ドローン実証実験
    ☆岸田内閣が価格転嫁円滑化に向けた施策パッケージ決定、標準的な運賃の導入促進など盛り込む
    ☆トナミ運輸が濃飛倉庫運輸と名古屋の施設の賃貸借契約を締結し協業開始
    ☆JR貨物真貝社長が長期ビジョンに盛り込んだ社会に対して行う物流生産性向上などの取り組み加速化を強調
    ☆国交省、機器による遠隔点呼7月から実施可能
    ☆全ト協・日貨協連、12月のWebKITは求車登録が前年同月比3割増
    ☆セイノーHDが新年互礼会開く、2022年のスローガン「新成」の意味胸に刻む
    ☆センコーが三菱商事のレンタル・EC商品の返却物流を受託
    ☆アートが新テレビCM「ミライ」編放送、次世代オンライン見積もりなどアピール
    ☆JR貨物が新年互礼会を開催、感染対策で2部制に

今週のユソー編集室

  • ▼予想された新型コロナウイルスの「第6波」が急速に広がりつつある。
    ▼感染の波が来るたびに、宅配をはじめとする物流の重要性が叫ばれるが、2868号1面で報じたように、一部の消費者による「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が、配達員をはじめとするエッセンシャルワーカーを悩ませている。
    ▼感染のリスクと闘いながら荷物を届けた先で心無い仕打ちを受けるのでは、あまりにもやりきれない。
    ▼ただでさえ人手不足の進む物流業界にあって、カスハラを契機に離職する人が増えれば、すでに社会インフラとなった観のあるEC宅配すら崩壊しかねないということを、全ての消費者は知る必要がある。

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