改善基準告示の見直しで事務局が見直し案示す バス・タクシーは休息11時間軸に 労政審専門委
自動車運転者の改善基準告示見直しに向けた検討を進めている労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(藤村博之委員長)は10月29日、東京都港区の三田共用会議所で第6回会合を開き、タクシーとバスに関して現行8時間となっている休息期間を「原則11時間」とすることなどを盛り込んだ見直し案を提示した。トラックについては、本年度も実態調査を継続しているため、見直し案は示されなかったが、休息期間については、タクシー・バスと同様に、「原則11時間」を軸に検討が進められるものとみられる。
第6回会合では、これまでの各モード別作業部会での検討状況などが報告され、タクシー・バスについては、議論や調査結果を踏まえ作成された見直しの事務局案が示された。
事務局案では、1ヵ月の拘束時間についてタクシーが288時間(現行299時間)、バスが年3300時間を超えない範囲で281時間(現行は4週平均の1週の拘束時間65時間)。休息期間については、タクシーが「原則11時間(週3回まで9時間)、バスが「原則11時間としつつ、これによらない場合の上限時間、回数等について別途設ける」とされた。
こうした報告に対して、労働者側委員の世永正伸委員(運輸労連副委員長)は、「トラックについても、拘束時間を年間3300時間以内(現行は労使協定締結により3516時間)、1ヵ月275時間以内にすべき」と提案。貫正和委員(交通労連トラック部会事務局長)も、休息期間が現行の8時間では睡眠不足となり、連合の定めるインターバル時間とも合致する11時間とすることが望ましいとの認識を示した。
また、貫委員は、日勤と長距離のドライバーでは勤務形態や休息の質に違いがあることから、それぞれに基準を設けることが必要であるとした。
使用者側委員の馬渡雅敏委員(全日本トラック協会副会長)は、トラックは荷主都合により、運転時間や拘束時間が左右される面が大きいため、荷種ごとの基準策定を求めるとともに、荷主に対して厚生労働省が過労運転防止につながる指導などを行うことを求めた。