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2021年10月18日付 2860号

「PRE―EVトラック」の公道走行実証実験の出発式 サニックス・第一貨物ほか

テープカットの模様

 山形市に本社を置き、車両整備や車体製作など総合自動車サービス業を展開するサニックス(佐藤啓社長)は12日、第一貨物(米田総一郎社長)などと共同して、山形市内にある第一貨物の新・山形支店で、「PRE―EVトラック」の公道走行実証実験の出発式を開催した。

 「PRE―EVトラック」は、小型の発電機を搭載し、発電機から小型電池に充電した電力でモーターを回転させて走行する電動トラック。最大の特長は、車載コンピューターが発電機のオン・オフを制御する「計画発電蓄電制御技術(SGCCS)」を採用した点で、地形や車両の現在位置など各種情報を元に、現在地から目的地までの移動に必要な電力をコンピューターが計算し、現在の電池残量から不足する電力を算出した上で、適切な区間で発電・蓄電し、目的地に到着した時点で希望の電池残量とする技術。発電機はガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルのほか、今後開発される水素エンジンなどの使用も可能となっており、外部からの充電を可能とすることで、完全EV化も実現できる。

 車両に搭載する発電機と蓄電池の極小化を図り、車両の積載能力と航続距離の維持、災害時の外部への給電などを可能とし、政府目標である2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、実用化が困難と見られている大型車のEV化を目指していく。

 サニックスは第一貨物、山形大学、エーシーテクノロジーズとコンソーシアムを組成。環境省の委託・補助事業として開発を進めてきたもの。実験はディーゼルエンジン発電機を搭載したいすゞ「フォワード」の改造車両で行い、山形県内や山形~宮城県間を走行することで、寒暖差や高低差の激しい道路状況など、さまざまなデータを収集するとともに、「SGCCS」の検証や電池搭載方法などを検討していく。来年度以降はコンソーシアムの拡大や小型・中型・大型トラック向けプラットフォームの検討を進め、2023年度ごろの事業化フェーズ移行を目標とする。

 12日の出発式には、佐藤社長、米田社長のほか、山形県の吉村美栄子知事や国土交通省・環境省関係者らが出席。佐藤社長は「『SGCCS』は電動トラックのプラットフォームになる可能性を秘めた技術。事業化に向けた課題はあるが、情熱を持った行動で仲間を増やし、前進していきたい」と抱負を述べた。

 米田社長は「バッテリーの極小化により、実用的なトラックのEV化が可能になると大いに期待している。トラックのEV化によるCO2の削減と、(災害時の外部給電による)トラックの防災機能向上も実現されるよう祈念している」と述べ、吉村知事は「今回の取り組みは、地域産業の振興に大きく寄与するものと期待している。県としても役割を果たしていきたい」とエールを送った。

国内最適輸送モード一括検索「ワンストップ・ナビ」開始 日通

 日本通運(齋藤充社長)は14日、国内の最適輸送モード一括検索サービス「ワンストップ・ナビ」を開始した。

 パソコンやスマートフォン、タブレット端末から発着地・個数・重量を入力するだけで利用可能な輸送モードを瞬時に比較・検討できるサービス。

 「CO2排出量を減らしたい」「荷物をとにかく早く送りたい」「コストがかからない輸送手段を知りたい」「どんな輸送モードがあるのか」などのニーズに対し、総合物流事業者としての強みを生かし運賃やリードタイム、CO2排出量などさまざまな視点で自社のネットワーク輸送網を駆使して最適な輸送モードを提案する。

 特にCO2排出量については、輸送ごとに異なる集配距離を地図データと連携して距離を計算し正確なCO2排出量を算出する。この仕組みは物流業界で初めて第三者機関(SGSジャパン)による検証を受けており、算出されたCO2排出量データは行政などへの公的な手続きに利用可能。

 今後導入が想定されるカーボンプライシングなどに備えるため、CO2の「見える化」を実現し、顧客のCO2削減に向けた取り組みをサポートする。

 同社ウェブサイト(https://www.nittsu.co.jp/logistics_solution/it/onestop-navi/)で利用でき無料。会員登録すると料金確認ができるようになる。

 輸送モード検索は、輸送条件に合致する同社輸送商品を検索し、指定比較条件により並び替えして表示される。輸送商品は◎自動車輸送=アロー便、貸切輸送◎国内航空輸送=EXハイスピード便◎鉄道輸送=6フィート2トン・12フィート5トン・31リート10トンコンテナ◎国内海上輸送=12フィート5トンコンテナ、13メートルトレーラー、20フィート16トンコンテナ◎Sea&Rail=12フィート5トンコンテナ―。

 今後の展開として、ワンストップ・ナビを顧客・案件ごとにカスタマイズしたツール「エコトランス・ナビ」を準備中で、顧客の輸送実績データをもとに、現行の輸送とエコ輸送のCO2排出量を比較し、コスト削減とCO2削減を組み合わせた営業提案を推進していく計画。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(125) 『中国内陸への「加工貿易産業」移転推進の動向』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省総合政策局・髙田公生物流政策課長

  • ☆SBSHDが1トンクラスEVトラックを国内で初めて導入、ラストワンマイル物流に
    ☆サカイ引越センターが断水中の和歌山市への飲料水の輸送に協力、トラック4台分
    ☆SBSリコーロジがモノフルの幹線ネットワーク可視化システム「積載ナビ」の開発に協力し運用開始
    ☆運輸労連難波委員長が運輸問題研究集会であいさつ、ウィズコロナ時代の日本社会の課題指摘
    ☆全ト協が2年ぶりに全国トラックドライバーコンテスト、23~25日に開催
    ☆日通が羽田空港内の国際貨物拠点をリニューアルし上屋スペースを約2倍に拡張
    ☆ヤマト労連が定期大会開き「ワンヤマト体制」への移行で組織内の理解深める活動を要請
    ☆トナミ運輸が富山ト協の絵画コンクール受賞作のラッピングトラック運行開始
    ☆京神倉庫が大阪市箕面市に3温度帯対応施設開設、BCPにも配慮
    ☆カンダHDがダッシュ21活動発表会開催、時代に合わせ進化
    ☆SBS東芝ロジが独自開発の検品台で画像を一括読み取り、生産性2倍に
    ☆運輸労連大手組合の要求出そろう、21秋闘がスタート
    ☆東ト協環境局が「AIによる配送計画の最適化」技術の実証事業スタート、グリーン・エコおプロジェクトのDX
    ☆アートがコロナ禍の引越に関する意識実態調査、トレンドは「家賃が高くても広い部屋、通勤時間の短さ」
    ☆国交省がオンラインで第1回「ホワイト物流推進運動セミナー」開催、大王製紙などが事例紹介
    ☆建交労首都圏が「トラックの日」行動、健康チェックも実施

今週のユソー編集室

  • ▼新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、物流業界の各種会合・イベントも、実開催されるケースが増えてきているようだ。
    ▼この10月から11月にかけて、全日本トラック協会のトラックドライバー・コンテスト、全国通運連盟の通運事業フォーラム、日本倉庫協会の物流フォーラムなどの実開催が予定されている。いずれも昨年は、中止か動画配信による開催だった。
    ▼コロナ禍におけるオンラインの普及は、対面の必要性と重要性を再認識させる副作用も生んだ。ウィズコロナ時代に突入しようとする今、感染拡大防止に最大限配慮しつつ、この1年半余り得られなかったものを、少しずつ取り戻したい。

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