ロボット点呼実験は大きな問題起きず、実験は第2次期間に移行 国交省の運行管理高度化検討会
国土交通省は9月28日、ウェブ会議形式で「運行管理高度化検討会」の2021年度第2回会合を開き、9月1日に開始した自動点呼(ロボット点呼)の実証実験に関する実施状況などについて報告。9月1~20日に行った1万2322回の乗務後ロボット点呼では、準備段階で通信トラブルなどが発生したものの、点呼執行時に大きな問題は発生せず、順調な滑り出しをみせている。
ロボット点呼の実証実験は、9月を第1次期間として運行管理者立ち会いの下、バス5事業者7営業所、タクシー4事業者10営業所、トラック10事業者13営業所で乗務後点呼を実施。準備段階でサーバーにアクセスできない通信トラブルにより代替機に交換するなどのトラブルが2件発生したが、点呼が執行できないような大きなトラブルは発生していない。
また、実施状況ヒアリングでは、顔認証やアルコールチェック時の位置確認がうまくいかず再検査が多発しているとの意見が7件出ており、メーカーが立ち位置に関するサンプル図をマニュアルに記載することで対応している。
また、動作が遅く、多くの運転者の帰庫が集中する時間帯では対応できないとの指摘もあった。
10月以降は第2次期間として、運行管理者が立ち会わずに点呼を行うが、ヒアリングでは「機器の異常・運行上のトラブル発生時やアルコールが検知された場合に運行管理者による対応が必要」「点呼簿に記載する運行管理者名を誰にするか」「運行で発生した問題点をニュアンスを含めて伝えることが困難」「定型化されない伝達事項を運転者に伝える必要がある」などの指摘・懸念が抽出された。
これらの課題に対しては、点呼時の運行管理者の立ち合いは不要ではあるが営業所への出勤を必須とすることや、運行管理者による伝達など対面での補強許容、点呼状況の抜き打ちチェックなどを行う。
検討会では今後、2次期間の実証実験を行いながら、点呼機器の認定制度や性能要件などの検討を進め、年度内にも取りまとめを行う。
検討会のもう一つの柱である遠隔点呼(IT点呼)の対象拡大に向けた検討については、4月から7事業者による実証実験を行っており、第2回会合では8月までの結果を踏まえた中間報告が行われた。
その結果、ヒヤリハット評価については、急制動、急ハンドル、などの回数が対面点呼とほぼ同様の傾向を示した。
ヒアリング調査では、「人件費削減につながっている」「点呼結果を電子データで管理することで、効率的かつ確実に保存できる」などの意見が挙がった一方で、「モニター越しの確認では不安が残る」「機器の運用コストが課題」などの懸念も示された。
10月以降は、5事業者を加えた第2弾の実験を展開し、機器要件などの検討に向けた課題抽出などを上積みしていく。