貨客混載の全面解禁で効率的輸送実現へ 21年度規制改革要望 経団連
日本経済団体連合会(十倉雅和会長)は14日、「2021年度規制改革要望~DXと規制改革の循環を確立する」を公表、「貨客混載輸送の全面解禁」を要望事項に盛り込んでいる。
持続可能な成長を実現していくためにはDXの加速が不可欠であり、DXと規制改革の好循環を確立することが重要とした上で①with/postコロナの積み残し②DX等による社会課題解決―を中心に規制・制度改革要望75項目を取りまとめたもので、新規の要望となる「DX等による社会課題の解決」の中で、貨客混載輸送の全面解禁を求めている。
要望内容は次のとおり。
新型コロナウイルスの影響でEコマースの利用が急増する中、宅配事業者の人手不足や長時間労働、運送車両の増加に伴うCO2排出量増加等の問題が懸念されている。
他方、交通機関においては、人口減少や外出抑制等による利用者減少によって経営が悪化し、住民のニーズに応じたサービス提供の維持が困難となっているケースがある。
これらを解決する方法として、旅客運送事業者、貨物運送事業者が従来の縦割りを超えて協業し、旅客と貨物の掛け合わせによってより効率的な輸送を実現する「貨客混載輸送」が期待されている。
しかし、現在は過疎地域等の限定的な区域でのみ解禁されており、原則は禁止となっている。20年度にタクシーによる食料・飲料の運送が容認されたものの、「旅客及び貨物の同時運送(混載)を行わないこと」が求められている。
物流の逼迫や交通機関が抱える課題は過疎地域に限った話ではなく、国土交通省の指定自治体以外の地域や都市部においても貨客混載輸送による解決は有効である。特に高齢化に伴い、買い物等でのスムーズな移動に支障のある住民が増加すると、宅配サービス・交通機関双方の充実はますます重要な課題となる。
そこで、貨客混載輸送を全国的に解禁すべきである。これにより、物流面ではラストワンマイル輸送における多様かつ柔軟な手段の利用、交通面では新たな事業展開による経営の維持・拡大を期待できる。