22年度予算概算要求で大幅な増額を要求 物流の自動化など後押し 国交省
国土交通省は26日、2022年度予算概算要求・税制要望の内容を公表。物流関係では、21年度を初年度とする総合物流施策大綱に盛り込まれた物流標準化や過疎地での持続可能なラストワンマイル配送を実現するため、関連予算の拡充要望を行うとともに、見直しを迎える倉庫税制について特定流通業務施設の要件に物流DX関連機器を追加するなど、物流の自動化・省人化を後押しする内容となっている。
国土交通省の概算要求一般会計は6兆9349億円で21年度予算に対し18%の増額要求。①三大都市圏環状道路等の整備推進②トラック輸送と空港・港湾等の主要な物流拠点との接続強化③ダブル連結トラックによる省人化―をはじめとする効率的な物流ネットワークの強化では4369億円(21年度予算比22%増)、国際コンテナ戦略港湾等の機能強化では625億円(20%増)など、物流関連の社会資本整備も20%以上の増額要求となっている。
公共交通・物流政策審議官部門では、物流生産性向上で73%増の1億2800万円を要求し、物流DXや標準化の促進を加速させる。このうち、継続事業となるモーダルシフト等推進事業費等補助金の計画策定経費補助では、省人化・自動化機器の導入を計画に位置付けた場合には補助額を引き上げ、中小企業が協議会の主体である場合には、さらに補助額を引き上げる。
計画策定経費の上限は20年度200万円だったが、最大で1千万円(要求ベース)まで引き上げられる可能性がある。
運行経費補助についても、省人化・自動化機器を導入する場合には補助率を上乗せする。さらに、過疎地での共同輸配送や貨客混載などの取り組みについても運行経費補助の対象に加える。
新規では、EC拡大に伴う倉庫需要増加に対応するため、「倉庫内遊休スペースの効率的利用の推進」として1500万円を要求し、伝票・パレットの標準化と連携した倉庫内スペースの規格標準化に向けた調査・実験を行い、ガイドライン作成・周知を通じて、倉庫業者による遊休スペースの効率的利用を促進する。
国際物流では、日中韓物流大臣会合の合意事項に基づき、RORO船を活用した調査や「かご車」を利用したリターナブル輸送に関する実証などを行うことなどを盛り込んだ「アジアを中心とした質の高い物流システムの構築・国際標準化の推進」として92%増の3千万円を要求。このほか、シベリア鉄道の貨物輸送促進に向けた実証実験などを行う「パイロット輸送や政策対話による物流産業の海外展開支援」で22億4800万円の内数(21年度は18億5900万円の内数)を要求している。
5ヵ年計画の最終年度となるSIPスマート物流サービスは、280億円の内数を要求し、日用消費財、ドラッグストア・コンビニエンスストア、医薬品医療機器、地域物流の4分野を対象にしたプロトタイプ基盤の構築・高度化と社会実装に向けた検討などを行う。
エネルギー対策特別会計(エネ特)では、「過疎地等における無人航空機を活用した物流の実用化」と「自立型ゼロエネルギー倉庫モデルの導入支援」で14億9千万円の内数(21年度は8億円の内数)、新技術を用いたサプライチェーン全体の輸送効率化推進で62億円の内数(21年度も62億円の内数)、「冷凍冷蔵倉庫への省エネ型自然冷媒機器の導入支援で73億円の内数(21年度も73億円の内数)を他省庁との連携で要求している。
税制改正では、倉庫税制の2年間延長を要望するとともに、特定流通業務施設の要件に無人フォークリフトや無人搬送機、ピッキングロボットをはじめとする物流DX関連機器を追加。これまで要件とされていたトラックバース予約システムに加え、物流DX関連機器の導入が要件となる。要件を満たし物流効率化法の認定計画に基づき取得した事業用資産について、「所得税・法人税の割増償却5年間10%」「固定資産税・都市計画計画税の課税標準5年間2分の1」「附属機械設備に係る固定資産税の課税標準を5年間4分の3」の特例措置の対象とする。