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2021年8月23日付 2852号

モーダルシフト等推進事業費補助金で無人搬送車も認定 幅広い取り組み支援へ国交省

 国土交通省は13日、2021年度モーダルシフト等推進事業費補助金の認定・交付決定案件を公表。合計22件の認定・交付決定案件には、鉄道・船舶へのモーダルシフトのほか、中継輸送やバスによる貨客混載、バッテリー式重量物無人搬送車の導入など、幅広い類型が対象となっており、荷主・物流事業者をはじめとする関係者の労働生産性の改善やカーボンニュートラル推進などに向けた取り組みを後押しする。

 同事業は、物流効率化法に基づく総合効率化計画の策定やモーダルシフトなどを実施する際の経費の一部を補助するもので、22件の交付決定合計額は約4300万円。

 計画策定経費補助(今後、物効法の計画認定を目指す案件への補助)については10件が採択されており、内訳は鉄道へのモーダルシフト2件、船舶へのモーダルシフト3件、輸送網の集約化1件、共同輸配送2件、その他3件(複数にまたがる事業があるため、合計件数とは異なる。運行経費補助についても同じ)。

 このうち、丸吉ロジ・中央鋼材・興和総合研究所で構成される「中央鋼材・丸吉ロジ物流効率化推進協議会」が実施を予定する輸送網の集約化では、千葉県から宮城県へ3経路個別でトラック運行している鋼材・鉄鋼材加工品の輸送について、千葉県内で集約して幹線輸送クロスドッキングを実施するとともに、集約地の倉庫にバッテリー式重量物無人搬送車を導入する=左表参照。

 運行経費補助(物効法の計画認定を受けた事業への補助)の内訳は、鉄道へのモーダルシフト5件、船舶へのモーダルシフト6件、輸送網の集約化2件、共同輸配送1件。

 このうち、西濃運輸・九州西濃運輸・JR貨物により構成される「STG―JR貨物モーダルシフト推進協議会」が実施しているブロックトレインを利用した鉄道へのモーダルシフトでは、中部~九州間の10トントラック22往復分の貨物輸送を、31フィート鉄道コンテナに置き換えることで、年間のCO2排出量を5835トン、ドライバーの運転時間を10万490時間削減する。ドライバーの運転時間については、トラック輸送時の85.3%削減となっており、省力化効果が大きい。

上士幌町などとドローンの社会実装等で包括連携協定を締結 セイノーHD

調印式の模様

 北海道の上士幌町、セイノーホールディングス(田口義隆社長)、電通(五十嵐博社長)、エアロネクスト(田路圭輔CEO)の4者は11日、内閣府の「2021年度SDGs未来都市」に選定された上士幌町が掲げる「持続可能な未来のまちづくり」の実現に向けた包括連携協定を締結。国内のドローン産業活性化に必要となる常時飛行可能な環境の確保が課題となっている中、上士幌町でさまざまな取り組みを行うことができるフィールドを作ることで、ドローン産業発展に寄与することなどを目指す。

 上士幌町は、昨年12月に行われた第4回ジャパンSDGsアワードで、推進副本部長(内閣官房長官)賞受賞に続き、SDGs達成に向けた優れた取り組みを提案した自治体として、内閣府の21年度「SDGs未来都市」に選定された。

 また、「自治体SDGsモデル事業」にも選ばれ「持続可能な未来のまちづくり」を推進している。

 町の持続的な発展には、主力産業である観光のさらなる磨き上げや、カーボンニュートラルと利便性が両立した域内の移動・物流など、住みやすい環境づくりと住民サービスの維持などが課題になっている。

 上士幌町、セイノーHD、電通、エアロネクストは、観光地域商社karchをはじめとした町の事業者と連携しながら、次世代高度技術の積極的な活用とパートナー連携を拡大することで、住みやすく、魅力的な街づくりに取り組む。

 連携協定の概要は次のとおり。

 ①農業・観光・産業・経済の振興に関すること②持続可能な地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関すること③カーボンニュートラルと利便性が両立した持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくりに関すること④地域防災への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項に関すること―など。

 具体的な取り組みについては、「次世代高度技術活用における個宅へのドローン配送実証の実施」「セイノーHDとエアロネクストが推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流“SkyHub”の社会実装に向けた検討」「その他、カーボンニュートラル、SDGsに資する取り組みの検討と実施」などとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流総合効率化法の認定一覧(2020年8月~21年7月)

  • ☆ヤマトHD決算会見、EAZY実績1億個超でほぼ想定どおり
    ☆全ト協が4~6月期の景況感を公表、前回より18.4ポイント改善も今後は悪化の見通し
    ☆国交省が20年度の宅配便取扱実績が前年度比12%増で過去最高と発表
    ☆モノフルと日通・NPロジ、輸送業界における情報システム連携について共同研究開始
    ☆SBSHD鎌田社長が決算会見、大型M&Aの実施は3年程度の間隔必要
    ☆SGリアルティが東大阪市に物流施設竣工、一次エネルギー消費量実質ゼロ達成
    ☆センコーが小売事業者等3社で再生可能エネルギー活用最大化に向けたスキーム構築へ
    ☆国交省がシベリア鉄道による貨物輸送の利用促進に向け日~露・欧間でのリーファーコンテナによる実証実験参加の公募開始
    ☆日通、関西警送支店の飯倉さんがパラリンピック「シッティングバレー日本代表」として出場
    ☆NTTロジスコが千葉物流センターに化粧品物流専用の「千葉物流センター危険物倉庫」を着工

今週のユソー編集室

  • ▼今年もまた、豪雨や熱波など異常気象が世界中を襲っている。先ごろ発表された国連の気候変動に関する報告書では、世界の平均気温は従来の想定よりも早いペースで上昇しているとして、早期の対策の必要性を訴えた。
    ▼日本では、この5月に改正地球温暖化対策推進法が成立し、再生可能エネルギーの利用促進などにより、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す姿勢を明確化した。
    ▼日本全体のCO2排出量の約7%(営業用のみなら約4%)を占める貨物自動車も、対策の強化と早期化が求められていることは変わらない。トラック運送事業者が効果的な取り組みを進められるような施策の展開を望む。

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