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2021年5月17日付 2839号

新中計(21~23年度)発表 DXと積極的M&Aで売上高1600億円など目指す トナミHD

 トナミホールディングス(綿貫勝介社長)は12日、2021~23年度の3年間を期間とする新・中期経営計画を発表した。「TONAMI NEW PLAN 2023」をコーポレートスローガンに、DXや積極的M&Aで、最終年度の売上高1600億円などを目指していく。併せて将来的に売上高2千億円、営業利益100億円を達成し、特積み系総合物流事業者トップ3の地位を確立するビジョンも掲げた。

 重点戦略は①輸送サービスと物流サービスの連携強化・新規流通センター開発、M&Aや事業再編による事業の成長②TDX(トナミ・デジタルトランスフォーメーション)による業務効率向上と物流・輸送高度化③多様な人材を採用確保、事業形態や地域特性に応じた人事制度構築④自己資本比率向上と安定した資本政策⑤経営品質(CSR・BCP)と成長性(ESG)評価や社会的認知度向上―の5項目。

 ①では21年9月にグループの京神倉庫が大阪府箕面市に倉庫を開設するほか、21年秋にはトナミ運輸が埼玉県春日部市に流通センターを新設する。

 ②では、すでに荷物送り状等のペーパーレス化による貨物照会への回答迅速化等に取り組んでおり、今後もTDXによって業務効率化とサービス向上を並立的に進めていく。

 期間中の投資は、特積み新店所、情報システム、車両代替等で200億円を計画した。

 最終年度の目標数値は左上表のとおり。

 同日記者会見した綿貫社長は「新中計では売上高1600億円の目標を掲げているが、これまで受け身だったM&Aに積極的に取り組み、投資も行うことで、達成は可能だと思っている」と述べるとともに、今後はコロナ禍でも引き合いの強い3PL業務について、提案営業ができる人材育成に力を入れていく考えを示した。

 第一貨物との連携では、隣接施設の共有化など、即効性の高い案件を検討していく方針とした。

ラストワンマイルのサービス強化に注力 決算会見で抱負 田口セイノーHD社長

 セイノーホールディングスの田口義隆社長は、13日にウェブ形式で開催した2021年3月期決算会見で、6期ぶりの減収となったことを報告するとともに、22年3月期はECへの対応をはじめとするトランスフォーメーションを進め、落ち込んだ物量や利益の回復に努める姿勢を強調した。

 田口社長は減収の要因として、ECの拡大による流通形態の変容を挙げた上で、「われわれのできるトランスフォーメーションで(取り扱い物量減少の流れを)変えていきたい」と述べ、ラストワンマイルでのサービス拡充などに注力していく考えを示した。

 具体的には①ココネットによるお買い物弱者への配送サービス②セブン―イレブン向け子会社による配達サービス③ギグワーカーを活用した置き配サービス―を進めるとし、ココネットについては現在千程度となっている拠点数を、全国カバーが可能となる2172拠点に近づける。

 こうした拠点増強の流れに、4月から開始したギグワーカーによる置き配を組み合わせ、低コストできめ細やかな配送サービスを展開していく。

 田口社長は会見の最後に、「減収減益となったが、現場の頑張りがあって踏みとどまることができている」と、グループ従業員の努力に感謝の意を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(14)『緊急事態宣言の影響(その2)』
    ☆四文字 『自家用の台頭「新規競争」』
    ☆ウォッチ(120) 『中国の物流プラットフォーム企業の展開を考察』

  • ☆日本郵便が2020年度荷物の引受個数を発表、ゆうパック初の10億個超えに
    ☆日通総研短観3月調査、国内向け4~6月の出荷見通しは2年半ぶりプラスに
    ☆社整審・交政審計画部会、次期社会資本整備重点計画と交通政策基本計画は今月中に閣議決定へ
    ☆国交省が2021年度モーダルシフト等推進事業の募集を開始、非接触・非体面型機器上乗せ支援
    ☆トナミHDの綿貫社長が決算会見で従業員に謝意示す、コロナ禍も一定の成果
    ☆澁澤倉庫が中期経営計画と長期ビジョンを発表
    ☆運輸労連が自転車や中食デリバリーの危険走行に関するアンケート結果まとめる、取り締まり強化求める声多く
    ☆センコーがウェブ配送提供会社とマッチング事業開始
    ☆近鉄エクスプレスの鳥居社長が会見、2021年度3月期売上高・営業利益などいずれも過去最高
    ☆日通が日系企業初となる中国でのGDP認証取得
    ☆全ト協・日貨協連、WebKIT成約運賃指数は4月として4年ぶり120下回る
    ☆国交省ほか、海上コンテナ不足で情報共有会合開く
    ☆センコーが岐阜羽島PDセンター開設、県内初の大型物流拠点
    ☆日通が2020年度の鉄道コンテナと内航海上輸送サービスの取り扱い実績発表、鉄道コンテナ・内航ともに減少
    ☆全ト協が青年経営者等による先進的な事業取り組みを顕彰へ、6月1日~10月31日に募集
    ☆各社の21年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼新型コロナウイルスの感染拡大が変異株の台頭により、新たな局面を迎えている。
    ▼欧米などに遅れをとってきたワクチンの接種が、日本でもようやくスタートしたが、各種の変異株に対するワクチンの効果については未知の部分が多い。
    ▼こうした状況に対し、東京オリンピック・パラリンピックの開催可否については、いまだ不透明な状況が続いており、大会の直接の関係者だけでなく、交通や流通の影響を受ける物流をはじめとする周辺関係者をやきもきさせている。
    ▼開催により、外出自粛など、これまで国民が払ってきた犠牲と努力が水泡に帰すことの無いよう、政治には的確かつ冷静な判断が求められている。

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