九州新幹線で貨客混載輸送に向けた実証実験を公開、GW明け事業化へ 佐川急便 JR九州
佐川急便(本村正秀社長)とJR九州(青柳俊彦社長)は2月24日、九州新幹線を活用した貨客混載事業実施に向けた実証実験を報道公開した。新幹線車両の未使用となっている車内販売用の部屋を活用して、福岡~鹿児島間の宅配荷物を貨客混載輸送するもの。
実験は鹿児島中央正午発・博多午後1時37分着の「さくら402号」と、博多1時13分発・鹿児島中央2時49分着の「さくら411号」を利用して、作業上の課題などを抽出する目的で実施。
鹿児島発では、朝採れ野菜を、指宿市の農作物集荷場から約70キロメートル離れた鹿児島中央までトラック輸送し、博多まで混載輸送した後、トラックに積み込むまでを、福岡発では空の段ボール箱を荷物に見立て、博多の荷物搬入口でトラックから取り降ろし、鹿児島中央まで混載輸送した後、佐川急便の鹿児島営業所へトラック輸送するまでを行った。
新幹線車両への積卸はJR九州商事が担当し、混載輸送時には荷物を積載した部屋を施錠する。
両社は今回の実験結果を踏まえ、今後具体的な料金設定や列車の選定、需要開拓を進めた上で、本年ゴールデンウィーク明けの事業化を目指していくとしている。
実験後の会見に出席した佐川急便の萩原健二営業部商品企画課長は、事業の目的について①九州エリアの地産地消拡大②福岡~鹿児島間の当日配送網確立③緊急出荷商品の納品時間短縮④生鮮食品の輸送時間短縮⑤長時間運転の抑止やCO2削減―などと説明。
これまで鹿児島~福岡間のトラック輸送で4時間程度かかっていたものが、1時間半程度まで短縮されることから、特に生鮮品の輸送などでニーズが期待できる点を強調するとともに、少量荷物の急送ニーズにもスムーズな対応が可能になると語った。
JR九州の加藤邦忠営業部営業課長は、新型コロナウイルス以前から検討を進めてきたことを説明した上で「コロナ禍で乗客も減少しており、新たな事業の柱にしたい」と期待感を示した。