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2021年1月11日付 2823号

新春インタビュー 物流DX・標準化強力に推進、赤羽国土交通大臣が抱負

インタビューに応じる赤羽国交大臣

 赤羽一嘉国土交通大臣は、交通運輸記者会の新春インタビューに応じ、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向けた意気込みなどについて語った。

 インタビューの発言要旨は次のとおり。

――次期総合物流施策大綱の主要論点である物流DX・標準化への意気込みについて。

 新型コロナウイルス感染症の拡大下にあっても物流は、国民生活や経済活動を支える不可欠なサービスとしてその機能を維持してきた。物流を支える皆さんは、まさにエッセンシャルワーカーであり、あらためて敬意と感謝を申し上げる。

 このように、物流は国民生活や経済成長を支える重要な社会インフラだが、トラックドライバーをはじめとする担い手の不足や、新型コロナ感染症の拡大等により、物流を取り巻く環境は厳しさを増している。

 他方、感染症の拡大を受けて、非接触・非対面への物流への転換という観点から、輸配送や庫内作業用のロボットの活用への期待も高まっているところであり、コロナ禍を契機として、DXをはじめとした、物流の効率化・高度化の重要性があらためて認識された。

 また、物流DXの前提ともなるパレットや商品規格等の標準化についても、加工食品をはじめとするさまざまな分野で具体的な取り組みが進みつつある。

 こうした中、わが国の物流のあらゆる局面で、時機を逸せず集中的に物流産業におけるDXと標準化を推進していくことが重要だ。

 このため、国交省では、20年度第3次補正予算案と21年度当初予算案で①物流効率化の取り組みと合わせて自動化機器等を導入する場合やサプライチェーン全体の自動化・機械化を推進するため荷主等と連携した取り組みを実施する場合の補助制度創設②サプライチェーン全体の最適化を図り、物流分野の人手不足と低生産性の課題を解決することを目指し、物流・商流データ基盤の構築に引き続き取り組む―など、物流DX・標準化を社会実装していくための所要の措置を講じることとしている。

 国交省としては、本年春ごろに策定を予定している次期総合物流施策大綱の内容も踏まえつつ、関係省庁や荷主・物流事業者等の民間事業者等と連携しながら、物流DX・標準化を強力に推進する。

――ポストコロナ時代を見据えた新たな自動車政策とは。

 自動車は社会経済活動に不可欠かつ人々の生活にとって最も身近な移動手段。国交省としては、ウィズコロナ、そしてポストコロナの時代を見据えて、自動車行政をめぐるさまざまな課題に取り組みたいと考えている。

 コロナ禍においてもトラックをはじめとした自動車運送の分野では、事業の継続が求められており、そこに携わる人が、社会や経済を支えるエッセンシャルサービスであることがあらためて認識された。

 国交省では、こうした事業者が、感染防止を図りつつ、その事業を継続することができるよう、生産性向上の取り組みや体制の強化の支援に努めたい。

 食事はデリバリーや出前を活用するといった「新しい生活様式」の浸透に伴い、国交省では、タクシーが有償で食料・飲料を運送できるように措置しており、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の新しいビジネスモデルの展開を捉え、その後押しができるようしっかりと取り組みたい。

処方薬の即時配送サービスARUU(アルー)提供開始、服薬指導後最短2時間  セイノーHD

 セイノーホールディングス(田口義隆社長)は12月26日、グループ会社を通じて、処方薬の"即時"配送サービスを開始したと発表した。ラストワンマイル関連グループ会社で配送を担うハーティストが、日本全国で食料品の即時配送サービスを提供しており、2019年から開始した「スパイダーデリバリー」では、ラストワンマイルでの狭域圏で複数のオーダーを一括で受注して"即時"に配送するサービスを展開していることから、処方薬即配でも、この枠組みを活用する。

 スパイダーデリバリーは、その地域内のさまざまな依頼を集約し、最も効率的なハーティストへの業務指示と配送ルートを選択する。

 コロナ禍で配送需要が拡大している医薬品の配送については、20年6月から北海道札幌市、小樽市一部エリアで薬局運営を手掛けるミライシアホールディングと処方薬の"即時"配送サービス実証実験を行ったところ、患者・薬局双方から高い評価が得られたことから、「ARUU(アルー)」として同サービスを全国で提供開始したもの。

 ARUUは薬剤師による服薬指導後最短2時間で処方薬を届けることができ、ハーティストが担当することで、早くて安心できる配送を実現。患者のメリットとして、薬局での待ち時間解消、人との接触リスクの低減、移動コストや労力の解消が実現できる。

 薬局のメリットとしては、自社スタッフでの配送における労力・コストの削減、患者へのアプローチ方法の拡張、ハーティストを通じたきめ細かな見守りができるようになり、これまで以上に地域の「かかりつけ薬局」として貢献する。

 1月には、神戸市内のI&H、東京23区内のミナカラの薬局でサービス開始を予定しており、今後も各種調剤薬局・ドラッグストアとの連携を深め早期の全国展開を目指すとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各界年頭あいさつ
    ☆経済と物流の表裏分析(6)『今年の景気は物量は(その1)』

  • ☆日通が刈谷北物流センターを6日から営業開始、自動車産業向け拠点
    ☆全ト協・日貨協連、12月のWebKIT成約運賃指数は16ヵ月連続で前年同月割れ
    ☆センコーがアパテックジャパンと提携、バーチャル試着システムや商品の撮影・配送などファッション物流の付加価値向上へ
    ☆日通商事、中国現法の武漢倉儲が武漢商貿に社名変更
    ☆JR貨物3月13日実施のダイヤ改正内容発表、積合せ貨物専用列車3往復を新設へ
    ☆日通総研が21年度国内貨物総輸送量を1.7%増の4年ぶりプラスと予測
    ☆オリコンの21年引越満足度調査、サカイ引越センターが顧客満足度総合1位
    ☆警察庁が20年の交通事故死者数は戦後最少を更新と発表、初の3千人以下に
    ☆サカイ引越センター、単身引越ウェブ見積もりサービス「まりモ」をスタート
    ☆SBSHDが東洋運輸倉庫の連結子会社化を決議、東京臨海部強化へ
    ☆日通、引越リモート見積もりキャンペーン

今週のユソー編集室

  • ▼新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首都圏の1都3県に再び緊急事態宣言が発令された。昨年からの第3波の勢いを見ると、遅きに失した観が否めないが、落ち着いて対応に努めたい。
    ▼長引くコロナ禍にあって物流は、テレワークや外出自粛により増加した「巣ごもり需要」を黙々と支えてきた。そして今、これまでを上回る感染拡大の状況を迎え、求められる役割はさらに増すと見込まれるが、生身の人間が主役の物流というサービスは、どこまで対応できるのか。
    ▼サービスが当たり前のものになるほど、人は感謝の気持ちを忘れがちだ。エッセンシャルワーカーという言葉の「都合良い解釈」が進まないことを願う。

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