標準的な運賃の周知・浸透に注力、第188回理事会開く 全ト協
全日本トラック協会(坂本克己会長)は3日、東京都港区の第一ホテル東京で第188回理事会を開き、高速道路料金の大口・多頻度割引実質50%実現や重要物流道路追加指定に関する要望活動の展開などを盛り込んだ2021年度事業計画骨子案を承認。理事会後には、坂本会長らが自民党トラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)と公明党トラック議員懇話会(北側一雄会長)を訪問し、21年度予算・税制改正などに関する要望を行った。
理事会の冒頭に来賓あいさつした国土交通省の秡川直也自動車局長は、4月に告示されたトラックの標準的な運賃について、届け出が10月中旬の時点で1%弱にとどまっていることを報告。「標準的な運賃の告示で、“みんながうまくいく”と思いがちだが、まずは自社の経営分析を行った上で標準的な運賃で示されている数値との違いを認識し、荷主との交渉を行ってから届け出てほしい」と述べ、荷主も新型コロナウイルスの影響などで苦しい状況にあるが、しっかりと時間を確保して必要なステップを踏むことが重要であるとの考えを示した。
秡川局長に続いてあいさつした坂本会長は標準的な運賃について、荷主4万社超に周知用資料を12月中旬にも配布予定であることや日本経済新聞に意見広告を掲載する計画であることを説明。全ト協が荷主や社会に対して標準的な運賃の周知を進めるので、会員は「届け出という行為」をしっかり行うよう求めた。また、標準的な運賃と同様に改正事業法に盛り込まれている規制の適正化や事業者が厳守すべき事項の明確化に関する対応については、「進んでいないとの声が挙がっている」とし、地方運輸局・支局による取り組み強化に期待感を示した。
さらに、新型コロナや自然災害への対応を含め、トラック輸送の確実な遂行には高速道路をはじめとした道路網の整備や、使いやすい料金制度が必要であるとの考えを強調。国土交通省は、道路整備が物流に果たす役割の重要性を見据えているが、予算確保に関して財務省のさらなる理解が必要であるとして、各地方の自治体などと足並みをそろえ、必要な予算の確保に努めていくとした。
議事では、21年度事業計画骨子案の承認のほか、宮崎トラックステーションの用地売却案などについて承認。報告では、国交省自動車局の伊地知英己貨物課長が改正事業法施行1年の状況について、撤退事業者の再参入が大幅に減少し規制の適正化の効果が表れているとの認識を示す一方、標準的な運賃の届け出が少ないのでトラック協会と連携して浸透に努めるとした。
理事会後の自民党議連、公明党懇話会への訪問では①新型コロナにかかる各種支援措置の継続等②高速道路料金等の引き下げ③道路整備の推進④自動車関係諸税の軽減・中小企業投資促進税制の延長⑤働き方改革実現のための諸対策の推進―を柱とする最重点要望事項について、説明・要望を行った。