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2020年11月30日付 2818号

高速料金の割引制度、物流視点で見直しを 第45回会合開く  社整審道路分科会国幹道路部会

 社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会(朝倉康夫部会長)は27日、東京都千代田区の国土交通省で第45回会合を開き、高速道路会社などからヒアリングを実施。高速道路会社の担当者は、新型コロナウイルスにより高速道路利用が減る中、今後はメンテナンス費用の増加が見込まれていることなどから、建設費の償還を予定通り行うには割引制度の見直しが必要であることなどを説明した。これに対し委員からは、「エッセンシャル事業である物流視点での見直しが必要」などの意見が挙がった。

 ヒアリングでは、中日本高速、首都高速、東京商工会議所の担当者が高速道路の利用動向や高速道路料金制度への要望などについて説明。東日本・中日本・西日本の高速道路3社の料金収入は5月に前年比4割減となり、9月には1割減まで回復したが、今後の感染状況などにより減少に転じる可能性がある。

 こうした中、中型車以上では、深夜割引適用を目的とした本線料金所やサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)での滞留が見られ、今後は「滞留を防ぐような対策を実施するとともに、割引適用条件見直しに向けた検討が必要」としている。

 大口・多頻度割引については、「契約者単位割引は新型コロナなど外的要因に左右され、契約者にとって不安定な割引であるため、より利用額に応じた割引となるよう検討が必要」と指摘。一方「マイレージ割引は幅広く利用されており、利用する機会の多い車の負担軽減に一定程度寄与しているため、継続を基本としつつ社会的課題を解決するような取り組みとの連動等活用を検討」としている。さらに、「今後の料金制度の見直しに当たっては、影響を受ける利用者の行動変容を分析する評価方法の検討が必要」としている。

 こうした説明に対し委員から、「高速道路を昼間に走っても、料金所を通過する時点で深夜割引適用時間であれば割引となる制度は見直すべき」などの意見が出る一方、「新型コロナで物流の役割が高まっており、トラック協会関係者などから話を聞いた上で、“物流視点”での制度見直しを行うべき」などの意見もあった。

 東京商工会議所の担当者は、コロナ禍での物流について、大型車の交通量は前年比1~2割減にとどまっており、エッセンシャル事業として国民生活と産業活動を支えていると強調。今後も、働き方改革や生産性向上に向けた環境整備が必要であると述べるとともに、物流事業者から労働基準法の深夜時間帯に合わせ、深夜割引適用時間帯拡大の要望が寄せられていることを紹介した。

 また、SA・PAで滞留しているトラックがジャストインタイムを進める荷主のバックヤードとして活用されている実態について触れ、コスト削減などを行った上で、高速道路料金が引き上げられた場合には、荷主に対して料金転嫁を行う必要があるとした。

EC商品を受け取りやすく約千店舗で導入へ、幅広い業種が参加  ヤマトHD・ヤマト運輸

荷物の受け渡し場面

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)とヤマト運輸(栗栖利蔵社長)は25日、英Doddle Parcel Services(ティム・ロビンソン社長)の「Click&Collectシステム」を利用したEC商品の新たな受け取りサービスについて、約千店舗で提供を開始した。

 EC利用者は、システム導入済みの店舗での受け取りを選択すると、手持ちのモバイルフォンにeメールで送られてくる2次元コードを店舗で提示するだけで、スムーズに荷物を受け取ることができるなど、より身近な生活動線上の店舗で受け取りが可能になり、店舗側は受取人にクーポン等を付与することで“ついで買い”の効果も期待できる。

 店舗の募集は8月から行っており、サービス開始段階では百貨店やファッション専門店、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターなど全国で約千店が参加。年末に向けて2~3千店まで拡大する見込み。対象のECサイトも当初は「ZOZO TOWN」など数件にとどまっているが、今後拡大していく予定。

 25日には東京都千代田区の有楽町マルイでマスコミ向け撮影会が行われ、ヤマト運輸EC事業部の齊藤泰裕部長は「EC利用者が荷物の配達を待つのではなく、自分の生活の動きの中で、自然に受け取っていただく形に変えていきたい」とサービス開始の目的を説明。同席したマルイグループのムービングの森澤誠士事業企画課担当課長は、グループが独自に行っている店舗受け取りサービスが支持を得ているとした上で、今回の応募の理由について◎利用者利便性の向上◎再配達削減による社会課題解決◎来店者増加による入居店舗の拡販効果―の3点を挙げた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・日通ロジスティクスエンジニアリング戦略室
     インタビュー―日本通運ロジスティクスエンジニアリング戦略室長・髙橋啓氏
     メーカーとの協働の取り組み
      豊田自動織機「Rinova AGF」
      トピー工業「リモート積収クローラー」
    ☆経済と物流の表裏分析(3)『スガノミクスの行方は(その3)』
    ☆四文字『高速と大量「ワンマン」』

  • ☆エコモ財団がエコドライブシンポジウム開催、大賞の西濃運輸など表彰
    ☆日通が独自開発の医薬品専用車両第1次計画の52台配備
    ☆運輸労連、新型コロナに関連して議員懇と立民党へ3回目の要請行動
    ☆セイノーHDの田口社長が決算会見、18・19年タリフの適用率は9月時点で前年同期比15ポイント増の54%に
    ☆ヤマトHD、独企業開発の電動自転車を使用し千葉県市川市で集配の実証実験
    ☆日通、医薬品のGDP認証取得施設を世界30拠点に拡充へ
    ☆南アジア・オセアニア日通がトラックと海上輸送を組み合わせたBCP対応の輸送サービス発売
    ☆西濃運輸、茨城県の新拠点龍ケ崎支店の地鎮祭
    ☆日本パレットプールが児童虐待防止のオレンジリボン運動に参画、ecoバッグを配布
    ☆内閣府が次期交通安全基本計画の中間案でパブコメ募集
    ☆東ト協と同北支部が東京都の防災訓練に参加

今週のユソー編集室

  • ▼あすから師走。新型コロナウイルス流行の「第3波」の中で迎える12月は、いわゆる「巣ごもり需要」が加わり、宅配事業者を中心に例年以上の繁忙が予想される。
    ▼10日からは国土交通省による「年末年始の輸送等に関する安全総点検」が来年1月10日まで実施されるが、今シーズンは安全管理やテロ防止などに加えて新型コロナ感染拡大ガイドラインの遵守が盛り込まれている。
    ▼感染者数が増える中、これまで以上の役割が期待されている物流を止めることは許されないが、「人」で成り立っている物流の現場では、感染者の発生を見込んだオペレーションを想定しておくことも、重要なリスクマネジメントの一つだろう。

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