高速料金の割引制度、物流視点で見直しを 第45回会合開く 社整審道路分科会国幹道路部会
社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会(朝倉康夫部会長)は27日、東京都千代田区の国土交通省で第45回会合を開き、高速道路会社などからヒアリングを実施。高速道路会社の担当者は、新型コロナウイルスにより高速道路利用が減る中、今後はメンテナンス費用の増加が見込まれていることなどから、建設費の償還を予定通り行うには割引制度の見直しが必要であることなどを説明した。これに対し委員からは、「エッセンシャル事業である物流視点での見直しが必要」などの意見が挙がった。
ヒアリングでは、中日本高速、首都高速、東京商工会議所の担当者が高速道路の利用動向や高速道路料金制度への要望などについて説明。東日本・中日本・西日本の高速道路3社の料金収入は5月に前年比4割減となり、9月には1割減まで回復したが、今後の感染状況などにより減少に転じる可能性がある。
こうした中、中型車以上では、深夜割引適用を目的とした本線料金所やサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)での滞留が見られ、今後は「滞留を防ぐような対策を実施するとともに、割引適用条件見直しに向けた検討が必要」としている。
大口・多頻度割引については、「契約者単位割引は新型コロナなど外的要因に左右され、契約者にとって不安定な割引であるため、より利用額に応じた割引となるよう検討が必要」と指摘。一方「マイレージ割引は幅広く利用されており、利用する機会の多い車の負担軽減に一定程度寄与しているため、継続を基本としつつ社会的課題を解決するような取り組みとの連動等活用を検討」としている。さらに、「今後の料金制度の見直しに当たっては、影響を受ける利用者の行動変容を分析する評価方法の検討が必要」としている。
こうした説明に対し委員から、「高速道路を昼間に走っても、料金所を通過する時点で深夜割引適用時間であれば割引となる制度は見直すべき」などの意見が出る一方、「新型コロナで物流の役割が高まっており、トラック協会関係者などから話を聞いた上で、“物流視点”での制度見直しを行うべき」などの意見もあった。
東京商工会議所の担当者は、コロナ禍での物流について、大型車の交通量は前年比1~2割減にとどまっており、エッセンシャル事業として国民生活と産業活動を支えていると強調。今後も、働き方改革や生産性向上に向けた環境整備が必要であると述べるとともに、物流事業者から労働基準法の深夜時間帯に合わせ、深夜割引適用時間帯拡大の要望が寄せられていることを紹介した。
また、SA・PAで滞留しているトラックがジャストインタイムを進める荷主のバックヤードとして活用されている実態について触れ、コスト削減などを行った上で、高速道路料金が引き上げられた場合には、荷主に対して料金転嫁を行う必要があるとした。