物流のデジタル化などを加速度的に促進、次期大綱骨子案示す 国交省
国土交通省は6日、東京都港区の赤坂インターシティコンファレンスで第5回「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」を開き、次期総合物流大綱の策定に向けた提言の骨子案について審議した。
骨子案では冒頭、新型コロナウイルスにより物の動きが活発化したことで物流の社会インフラとしての重要性が高まっており、国民生活での存在感も飛躍的に高まることが予想されると指摘。劇的な社会的変化は、これまで遅れていた物流のデジタル化や構造変化を加速度的に促進させる誘因となる可能性があることから、「この機を逃さず、一気呵成に進める必要がある」としている。
また、「エッセンシャル」という位置づけが再認識された物流の社会的価値を一層浸透させるとともに、SDGs(持続可能な開発目標)も踏まえながら、さまざまな主体を巻き込んで取り組みを進める必要があることから関係省庁が連携して施策の総合的・一体的な推進を図るため新たな大綱の策定が必要であるとしている。
こうした視点を踏まえ①物流DX(デジタルトランスフォーメーション)や物流標準化によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流の実現)②トラックドライバーへの時間外労働規制も見据えた労働力不足対策の加速と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流の実現)③強靭性と持続可能性を確保した物流ネットワークの実現(強くてしなやかな物流の実現)―を次期大綱で見据えるべき物流施策の方向性として整理している。
物流のデジタル化については、手続き書面の電子化徹底やサプライチェーン全体の最適化を見据えたデジタル化のほか、デジタル化を前提とした規制緩和や手続きの特例の検討などを挙げ、物流標準化については標準化のメリットを踏まえた荷主事業者等との連携・商慣行の見直しなどを例に挙げている。
また、SIPをはじめとするデータ連携基盤の整備とメリット・将来像についての共有や「物流MaaS」の推進(トラックデータ連携の仕組みの確立、見える化による輸配送効率化)などを盛り込んでいる。
トラックドライバーの時間外労働の上限規制遵守に向けては、リードタイムの改善や商慣行の見直し、検品レス推進などを例示。また、標準的な運賃の浸透や荷主・元請け事業者への働きかけ強化などを通じて、魅力的な労働環境の整備を進めるべきとしている。
持続可能な物流ネットワークの構築については、自動配送ロボット・自動運転などの非接触・非対面推進やデジタル化に対応した物流インフラの整備などを挙げている。
検討会は12月4日に次回会合を開いて取りまとめの本文案について審議、同22日の最終会合で取りまとめを行う計画。