ロボット点呼の導入する「いいタイミング」、運行管理の高度化へ コロナ対策にも 秡川国交省自動車局長
国土交通省の秡川直也自動車局長は10月28日の定例会見で、2021年度予算概算要求に盛り込まれたAI搭載点呼機器(ロボット点呼)の認定制度構築に向けた実証調査について、予算が認められた場合には運送事業者でのモニター使用を通じてメリットや課題点の抽出などを行う方針であることを明らかにするとともに、「運送事業者の負担となっている点呼業務にIT(ロボット点呼)を入れるいいタイミング。新型コロナウイルス対策としても望ましい」と述べ、ロボット点呼の導入に前向きな姿勢を示した。
秡川局長は、運送事業者の行政処分につながる違反事由では、運行管理や点呼などに関するものが多く、運行管理の厳格な運用が課題になっていると指摘。加えて、事業者にとって運行管理業務の負担が大きいとの声が寄せられていることなどから、「点呼などの効果を高めつつ、業務負担が軽くなるので、ITを使うことは非常に”あり”。デジタル化の流れの中で、前向きに考えるいい機会」とし、ロボット点呼の普及に積極的に取り組む姿勢を強調した。
新型コロナの影響を理由とする事業廃止については、2~9月の間に149件の届け出があり、貸切バスの58件、タクシーの20件に比べ格段に多いが、同期間のコロナ以外の理由を含む事業廃止がトラック1万2091件、貸切バス154件、タクシー70件となっており、トラックは新陳代謝(事業者の参入・退出)が活発であることから、事業廃止全体の件数から比べると、割合としては高くない。
改善基準告示の見直しに向け、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会が実態調査を行うことについては「非常にありがたい」と述べ、調査結果を踏まえた告示の見直しに対応していく姿勢を示すとともに、国交省としてもトラック運送業界の実態を詳細に把握するため、年末から年明けにかけて調査を行うと説明。事業者1252社、ドライバー5029人を対象に行った5年前の前回調査とほぼ同規模で実施するが、調査内容については労政審の専門委が実施する調査の内容と重複する部分が含まれる可能性がある。
調査について秡川局長は、「悪い内容が出てくることも重要。実態把握につながる調査となるよう、正直に答えてほしい」とし、回答内容に基づく処分などは行わないので、リアルな業界実態が浮き彫りとなるよう誠実な回答を求めた。