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2020年10月26日付 2814号

引越市場で協業へ 経営資源とノウハウ活用、運送業務や新事業も今後具体策を検討  ヤマトHD・アートGHD

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)とアートグループホールディングス(寺田千代乃社長)は21日、両社グループが保有する経営資源やノウハウ・サービスを活用し、引越市場の顧客に対するさらなる利便性向上に向けた協業の検討を開始することで合意したと発表した。

 ヤマトHD傘下で引越事業を展開するヤマトホームコンビニエンス(YHC)が、アートGHD傘下で高いブランド力、技術力を持ち引越業界をリードするアートコーポレーションの協力を得ながら、既存サービス価値の向上や新たなサービスの提供について検討を進めるとともに、両社グループが保有する経営資源やノウハウを相互に活用することで、それぞれの顧客にさらなる利便性を提供できる可能性が高いとの共通認識から、協業の検討を開始することで合意したとしている。

 発表した協業の主な内容は次の2点、

 ①引越市場等の運送業務における協力=引越市場等の運送業務において協力し、両社グループそれぞれの顧客の一層の利便性向上の検討。

 ②経営資源の活用による効率化=両社グループの経営資源やノウハウを活用した輸送等の業務効率化の検討。

 このほか、両社グループが有する経営資源を積極的に活用し、引越市場における新たな事業の共創も目指していく。

 一方で、両社は、検討期間や協業する具体的な事業の内容、資本提携の可能性などについて、全て未定としている。

 ヤマトHDグループは、2018年に発覚した法人顧客向けの引越サービスにおけるYHCの不適切請求事案を受け、同年9月から全ての引越サービスの提供を中止。再発防止策を講じて商品を再設計した上で、約1年後の19年9月28日から個人客向けの単身引越サービスについて、提供エリアを限定して再開した。

 本年2月にはサービス名称を「わたしの引越」として、2月、6月、7月と段階的に提供エリアを拡大。9月1日からは、契約法人向けにも提供を開始している。

 反面、家族向け引越サービスについては、現在も提供を中止しており、中止期間が長期にわたっていることから、協力会社によるネットワークの一部が失われていると見られている。このため本年1月に行われたグループ経営構造改革プラン「YAMATO NEXT 100」の発表時の記者会見で、長尾社長は「今のYHCの体制では、家族向け引越の再開は難しい」との見解を示す一方、「家族向け引越は品ぞろえとして必要。早期に要望を受けられる形を示したい」とも語っており、今回の合意は、そうした動きの一環と見られる。

配車・運管業務などデジタル化し提供開始 SSCV―Smart  日立物流

 日立物流(中谷康夫社長)は19日、輸送デジタルプラットフォーム「SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)~スマート安全運行管理システム~」(SSCV)のソリューションである「SSCV―Smart」の提供を1日に開始したと発表した。

 SSCV―Smartは、ドライバー不足や労働環境の整備、煩雑な帳票類の管理といった輸送会社が抱える課題の解決を目的に、これまでアナログの対応が中心だった見積もり・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などをデジタル化し、基本機能としてSaaS(Solution as A service)で提供。また、SSCVを構成するその他二つのソリューション「SSCV―Safety(安全管理)」「SSCV―Vehicle(車両管理)」との連携や、パートナー企業との協創によって、輸送事業者の業務効率化、コンプライアンス強化、コスト削減をサポートするとともに、労務管理、金融サービス、バース予約等への機能拡張や利便性向上を実現し、利用価値を高める。

 協創の第1弾として、富士通交通・道路データサービスが開発・提供する約21 万台の商用車ビッグデータを活用した適正運行ルート策定支援サービス「ToXYZ」と連携、トラックが確実に通行できるルート検索と時間信頼性の高い所用時間見積もりにより適正な余裕時間を設定し、休憩・休息など厚生労働省が示す「自動車運転者の労働時間等の改善の基準(改善基準告示)」の内容に則った運行計画を自動で生成し、運行指示書を発行するサービスを開始した。

「SSCV―Smart」のサービス概念図

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・トラック予約受付システム
     全流協ガイドラインからシステム導入のポイント解説
     各種助成制度の紹介
     各社のシステム紹介
      Hacobu
      エル・スリー・ソリューション
      シーオス
    ☆経済と物流の表裏分析(1)『スガノミクスの行方は?(その1)』
    ☆四文字『効率化求め「大量輸送」』

  • ☆日通が医薬品サプライネットワーク構築の核として新設する国内4拠点のうち九州医薬品センターを竣工
    ☆日通が海運フォワーディング事業の強化を目的に「グローバルNVOCCセンター」(GNC)設立
    ☆NASVAが安全マネジメント開催、次期総合安全プランのテーマなど周知
    ☆国交省が物効法の基本方針の一部改正に向けパブコメ、着荷主連携含む効率化等を追加
    ☆国交省、わが国初のSTS方式でLNG燃料を供給
    ☆日通が「NEX-SPEED超速!アトランタ」発売と発表、日本発米国南東部向け
    ☆ラストワンマイル協組が11月に名古屋で説明会開催、関東・大阪に続き中京圏で新会員募集
    ☆物流連が人材育成・広報委員会開催、インターンシップ継続の重要性確認
    ☆西濃運輸が「労災川柳コンテスト」を初開催し1万4千人応募、最優秀賞は「安全は自分自身が責任者」

今週のユソー編集室

  • ▼鉄道各社の終電繰り上げ・始発繰り下げが話題となっている。
    ▼狙いは、深夜に行われる線路や設備の保守・管理に携わる作業員の「働き方改革」で、新型コロナウイルス感染拡大前から検討が行われていたようだが、テレワークをはじめとする「新しい生活様式」で利用者の減った深夜・早朝時間帯の運行本数削減は、以前より受け入れられやすい環境にあるかもしれない。
    ▼ニュースなどでは、この話題を耳にした利用者の賛否の声を伝えているが、列車の話に限らず、これまでの延長で生活や物事を捉えることは、すでに難しくなっている。
    ▼「困った」と嘆くだけでなく、時代の変化に合わせる知恵と努力が必要だ。

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