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2020年10月5日付 2811号

車両・マテハン能力向上で輸送効率の15%向上、内覧会開催  佐川急便Xフロンティア中継センター

写真上が小物仕分機、写真下が貴重品の投入口。小物仕分機と貴重品用のコンパクトソータは初めての導入で、これまで行ってきた手仕分作業を解消した。

 佐川急便(本村正秀社長)は9月29日、東京都江東区の同グループXフロンティアに入居する、中継センターのメディア向け内覧会を開催した。

 Xフロンティアには佐川急便のほか、佐川グローバルロジスティクス、SGムービングなどが入居し、すでに一部が稼働している。佐川急便の中継センターは7階建ての1・2階(吹き抜け構造で事実上1層)と3・4階(同)に入居、このうち1・2階部分は年末までに本格稼働させ、3・4階部分は来年2月の本格稼働を予定している。

 関東地方の五つの中継センター機能を集約し、関東一円への到着荷物の仕分および東京・千葉・神奈川の発送荷物の仕分を行う。従来施設と比較して車両の処理能力とマテハン機器の処理能力を大幅に向上させ、スピードや品質、波動対応力を強化する。

 これにより、今まで70~80%程度だった幹線運行車の積載効率をほぼ100%にできるほか、輸送効率の15%向上や、五つのセンターの合計人員の約3分の1の人数での稼働など、省人化効果も見込んでいる。

 車両処理能力については、到着60バース、発送が1層120・2層116の合計236バースを確保。屋上にも約250台の駐車スペースを設け、周辺地域の渋滞緩和も図られる。

 マテハン処理能力では、同社初となるクロスベルトソータやコンパクトソータ、小物仕分機を導入。これまで手仕分を行っていた貴重品や壊れ物の自動仕分を実現し、従来型の中継センターと比較して約5倍となる1時間当たり10万個の処理を可能とした。

 到着の荷卸では、これまで車両尾部に対して直角方向に流していたコンベアについて、車両尾部に正対する形に配置し、コンベア下流での荷物の滞留を解消することで、作業時間を最大で半減できるほか、1台に対して上部と下部の二つのコンベアに接続できるようにしたことで、補助要員を不要にするなど省人化効果も実現した。コンベアの入り口ゲートを通過できない荷物については、自動搬送機や自動フォークの利用を検討していく。

 内覧会に出席した西井茂輸送ネットワーク部部長は、車両動線と人員動線を分離するなど安全面に配慮している点や、構内に715台のカメラを設置しコントロールルームで一元管理することで、作業の進捗(しんちょく)状況等を確認しやすくしていることなどを強調した。

「LOHACO」でも「EAZY」を導入、1日出荷分から  ヤマト運輸・アスクル

 ヤマト運輸(栗栖利蔵社長)は1日、同社が提供するEC向け新配送商品「EAZY」について、アスクル(吉岡晃社長)が運営する日用品ショッピングサイト「LOHACO」の同日出荷分荷物から導入を開始した。

 LOHACO(PayPayモール店は今後対応予定)で購入した商品の荷物については、「対面」での受け取りに加え「玄関ドア前」「自宅宅配BOX」「ガスメーターBOX」「物置」「車庫」「自転車のかご」「建物内受付・管理人預け」など、受取人が希望する場所での「置き配」による非対面受け取りが可能となった。受け取り場所は、LOHACOの商品出荷後にヤマト運輸から購入者に送付されるメール内URLで指定が可能で、配達の直前まで何度でも変更できる。「置き配」の場合には、配達完了通知が商品の撮像データとともに受取人のメールアドレスにリアルタイムに配信される。

 ヤマト運輸が6月24日に開始した「EAZY」は、EC利用者・EC事業者・配送事業者の全てをリアルタイムにデジタル情報でつなぐことで、EC利用者の多様な受け取りニーズに徹底的に応えることを目指した配送商品。現在は「Amazon」の東京地区に居住するクロネコメンバーズ会員と、ZOZOが運営するファッション通販サイト「ZOZOTOWN」などに導入されている。一方LOHACOでは、1時間刻みの時間帯指定や深夜早朝配送など独自のサービスを提供しており、新型コロナウイルス対策として感染防止策を講じた配送ニーズが高まっていたことを受け、本年2月から、物流子会社のアスクルロジストが配送する一部エリアで、非対面受け取りのテスト運用を展開。実装が可能となったことから、「EAZY」の導入と併せ、全国での非対面受け取りを可能とした。

 ヤマト運輸では今後、「EAZY」導入事業者の拡大に加え、11月にも英国Doddle社と連携してEC荷物の受け取りが可能な店舗の新規拡大を図るなど、経営構造改革プランで掲げるECエコシステムの構築に向け、新たな付加価値サービスを提供していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(155) 『アベノミクスに対する評価(その2)』
    ☆物流応援歌(31)『テレワーク環境における課題を考える=今後予想される課題=』

  • ☆日通がNEX-TEC伊豆で研修棟を竣工、宿泊・浴室棟に続き
    ☆日立物流がスマート安全運行システム「SSCV」の特許2件を取得
    ☆西濃運輸が最適な輸送モードを提案する「セイノー輸送なびPro」の提供開始
    ☆社整審道路分科会幹線道路部会が幹線道路の近未来像に関する中間まとめ公表、DXの推進早急に
    ☆全ト協が意識調査、トラックはライフラインだと思うが9割に
    ☆日本産業車両協会調査、19年無人搬送車納入実績は過去最高を更新
    ☆国交省の21年度概算要求等、エネ特・税制改正でも物流事業者後押し
    ☆日通が第83回創立記念日で齋藤社長のメッセージを動画配信、変化に柔軟に対応を
    ☆吉岡国交省道路局長が会見で抱負、トラック隊列走行などに取り組む姿勢強調
    ☆全新潟運輸労連が感染防止対策施し定期大会を開催
    ☆第一貨物が東京プロジェクトの一環として新・東京社宅を竣工、採用競争力強化も
    ☆Hacobu・日野自動車、胴体管理システムがコネクティッドトラックに対応
    ☆名鉄運輸が大阪市西淀川区内に名鉄トラックターミナル関西開業、グループ2社も入居
    ☆警察庁が秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況公表、全国死者87人で2人減も高齢の死者2桁増
    ☆メキシコ日通が自動車物流特化の新センターをグアナファトに完成
    ☆JR貨物が本年度10月本社入社式と21年度内定式開催、真貝社長が挑戦と変革呼び掛け

今週のユソー編集室

  • ▼本紙前号1面のインタビュー記事で、日本物流団体連合会の宿谷肇事務局長は、業界団体における対面会合の重要性を指摘した。
    ▼本紙コラム「物流応援歌」を執筆している村上敏夫元物流連事務局長も同様に、企業においてテレワークが進んでいる状況下においても、部門や業務内容によっては「Face to Face」が必要であることを説いている。
    ▼テレワークの業務効率の高さや、ウェブ会議システムが商談に有用なツールだとする意見はよく耳にする。反面、新しく人間関係を築こうとする時、テレワーク型の接触には独特の難しさもあるようだ。新しい生活様式とどう付き合っていくのか、模索は続いている。

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