WebKIT2で標準的な運賃算出、簡易計算機能追加 日貨協連
日本貨物運送協同組合連合会(吉野雅山会長)は16日、求荷求車システム「WebKIT2」で国土交通大臣告示の「標準的な運賃」による運賃額をシミュレートできる簡易計算機能を追加し、提供を開始した。同機能はスマートフォン版も近日中にリリースされる予定で、客先などでも容易に標準的な運賃に基づく運賃額を計算・提示できることから、新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷などで立ち遅れている標準的な運賃の普及が加速するものと期待される。
「WebKIT2」は昨年5月、それまでの「WebKIT」を15年ぶりに刷新する形で提供を開始。スマートフォン専用アプリの提供やマッピング地図からの検索、SNSとの連携など、最新のIT技術を活用したシステムとすることで、「使い勝手」を大幅に向上させ、2018年度末に5259だった会員ID数も20年9月15日には6千を突破するなど、会員から絶大な期待と信頼を集めている。
一方で、米中摩擦や消費増税の影響などで、18年度に210万件だった情報登録件数は19年度160万件まで低下。20年度も新型コロナの影響により8月末時点で34万件程度にとどまっており、19年度を大幅に下回っている。
こうした厳しい事業環境に対し、日貨協連では会員の経営基盤強化や輸送効率向上などを目的に、適正運賃収受を後押しするため標準的な運賃の簡易計算機能を追加するとともに、適正取引推進に向け「WebKIT適正取引ガイドライン」を策定し、不適切行為の明確化を図った。
標準的な運賃の簡易計算機能では、会員ログイン後のページから「標準的な運賃の計算」を選択し、「距離制」「時間制」のいずれかを選んだ上で地域と車種、距離を入力すると、標準的な運賃額が表示される。
スマートフォン版もアンドロイド版・iOS版ともシステムはすでに完成しており、アプリ管理会社の承認が得られ次第リリースする。
「WebKIT適正利用ガイドライン」は、新型コロナによる経済の停滞を背景に、求車件数の減少が発生し、取引秩序の低下が指摘されていることを踏まえ、モラルの低下を招く可能性がある行為に対して運営規程にモラル基準を追加するとともに、規約・規程の適用に関するガイドラインを整備し、不適正な取引の抑制を図る。
ガイドラインは、文書やWebKITサイト内に掲載するほか、システムを利用する担当者が十分に理解できるよう具体的事例に関する動画を制作してWebKIT内のE―learning機能やWeb研修の教材として周知を図る。
また、ガイドラインに基づいて不適切な希望運賃の入力や要件を満たさない情報の登録を制限する機能を来年10月のリリースを目指してシステムの改修を進める。