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2020年8月24日付 2805号

4~6月期の景況感、判断指標が大幅悪化 今後はやや改善の予測  全ト協

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は14日、2020年4~6月期の景況感(第110回速報)を公表した。

 新型コロナウイルスの影響による経済活動停滞により、輸送量や経常損益などが大幅に悪化したため、判断指標はマイナス112・5で1~3月を対象とした前回調査から30.1ポイントの大幅悪化となっている。

 今後の見通しについては、引き続き新型コロナウイルス感染拡大による影響は大きいものの、経済活動が徐々に再開されていることなどからマイナス110.8となり、1.7ポイント改善すると見込んでいる。

 実働率は、マイナス91.4と前回調査に比べ35.3ポイント悪化。実車率もマイナス86.0で34.0ポイント悪化し、輸送効率が低下している。採用状況は、マイナス3.8で1.3ポイント上昇し、雇用状況(労働力の不足感)は19.6で30.9ポイント低下、前回に引き続いて労働力の不足感は弱まっている。

 所定外労働時間は、マイナス65.4で17.2ポイント減少し、貨物の再委託(下請け運送会社への委託割合)は、マイナス63.5で34.8ポイント減少。

 一般貨物の輸送数量はマイナス116.9で53.8ポイント悪化、運賃・料金の水準はマイナス40.8で36.4ポイント悪化している。売上高は、マイナス114.8で57.2ポイント悪化、営業利益もマイナス104.2で40.2ポイント悪化している。

 宅配貨物の輸送数量は、新型コロナの感染拡大防止で消費者のライフスタイルが変化し通販需要が拡大したことなどから、78.1で156.7ポイントの大幅改善。

 運賃・料金の水準は12.5で1.8ポイント悪化したものの、売上高は68.8で133.1ポイント改善し、営業利益も71.9で136.2ポイント改善した。

 宅配以外の特積み貨物の輸送数量はマイナス173.9で38.2ポイント悪化、運賃・料金の水準はマイナス95.7で99.3ポイント悪化した。売上高は、マイナス173.9で52.5ポイント悪化、営業利益はマイナス196.6で52.5ポイント悪化した。

 今後の見通しは、実働率がマイナス86.4で5.0ポイント改善、実車率はマイナス82.1で3.9ポイント改善すると予測。

 採用状況はマイナス10.5で6.7ポイント悪化、雇用状況は29.7で10.1ポイント上昇し、労働力の不足感は強まると見込んでいる。

 一般貨物では、輸送数量がマイナス109.5で7.4ポイント改善するものの、運賃・料金水準はマイナス44.4で、3.6ポイント悪化することを受け、営業利益はマイナス107.7で3.5ポイント悪化すると見込んでいる。

英Doddle社と提携し新たな受け取りサービス、店舗の募集開始  ヤマトHDヤマト運輸

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)とヤマト運輸(栗栖利蔵社長)は17日、英国・ロンドンに本拠を置き、世界中の大手EC事業者や物流企業にデジタル化された受け取り・返品システムを提供するDoddle Parcel Services(ティム・ロビンソン代表)と提携し、11月から新たなEC商品受け取りサービスを開始すると発表。同日、新たにEC荷物の受け取り拠点となるドラッグストアやスーパーマーケットなどの募集を開始した。

 ドラッグストアやスーパーなどの店舗は、Doddle社の「Click&Collectシステム」を導入すると、専用端末で受取人の2次元コードを読み取るだけでスムーズに荷物を受け渡せるようになるほか、受取人にクーポン等を付与することも可能となっており、”ついで買い”の効果も期待できる。

 サービスは専用端末を設置するだけで提供可能で、登録料・更新料・端末端末費用は不要。既存の取扱店も申し込みを行える。システムには荷物の保管場所を管理する機能が含まれており、店舗側は保管場所を確保する必要がある。一方でECの利用者は、商品の注文時にこのシステムを導入しているドラッグストアやスーパーでの受け取りを選択すると、手持ちのモバイルフォンにeメールで送られてくる2次元コードを店舗で提示するだけで、スムーズに荷物を受け取ることができるなど、これまで以上に自身の生活スタイルに合わせた荷物の受け取りが可能になる。

 ヤマト運輸は、この6月からスタートさせた「EAZY」導入事業者と、新たな受け取りサービスを利用する特定EC事業者の受け取り拠点として参画する店舗の募集を開始しており、ドラッグストアやスーパーマーケット、クリーニング店、一般商店など、初年度に数千店舗の取り扱い開始を見込んでいる。

 来年3月にはEC商品の返品も行えるようにするなど、機能を拡張していく予定。

 今回の連携について両社の代表は次のようにコメントしている。「Doddle社が持つ、ECのラストワンマイル領域における最先端デジタルテクノロジーを活用することで、日本のお客さまに、今後全く新しい受け取り体験を提供できると考えている(ヤマトHD、長尾社長)」「今後日本国内でヤマトHDとの充実したパートナーシップを長期にわたり確立していくことにコミットしている。私たちは、日本市場において、eコマースおよびフルフィルメントのテクノロジーが大きく成長していくポテンシャルがあるものと考えている(ロイド・ドーフマンDoddle社会長)」。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流総合効率化法の認定一覧(2019年7月30日~20年7月31日)
    ☆日中ビジネスワンポイント(202) 『屋台経済』
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会港支部・鈴木隆志支部長

  • ☆SGHDが10月に子会社3社を合併、ITと各種機能統合
    ☆福山通運が新運賃の適用開始、ドライバーの処遇改善等に注力
    ☆セイノーHD・フェリシモ、「幹線+ギグワーク」でローコストキャリア宅配を実現
    ☆YAWが高機能整備工場スーパーワークスを本年度中に4ヵ所で営業開始へ、全国29拠点に拡大
    ☆交政審、国交省に物流網の冗長性確保など港湾防災減災対策で提言
    ☆国交省が「モーダルシフト等推進事業費補助金」について13件を認定・交付決定
    ☆セイノーHDがtoC市場の拡大と構造的変化に対応するため「ラストワンマイル推進室」を新設
    ☆JR貨物の真貝社長が会見、本年度の通期見通しは経常黒字確保の見込み
    ☆丸運桑原社長が中計内容を動画で説明、飛躍への準備として積極的な投資行う
    ☆三井倉庫ロジが上新電機と共同で「物流センター開設プロジェクト」設置し物流改革に着手
    ☆SBSフレックが日ノ丸急送株式の取得で四国エリアの事業拡大へ、3温度帯中心に
    ☆センコーGHDがケミカルタンカー「吉祥」を就航、日本マリンが新造
    ☆全ト協の「トラックの日」ポスターデザインコンテスト、グランプリに清水さんの作品を選出

今週のユソー編集室

  • ▼先月30日に開催された加工食品分野における外装サイズ標準化協議会で、物流規格の標準化に向けた議論が本格的にスタートした。
    ▼会合であいさつした国土交通省の金井昭彦審議官は「標準化は物流効率化の大前提であり、策定中の総合物流施策大綱の中心的課題の一つ」とその意義を強調し、農林水産省の池山成俊審議官は「協議会で得られた知見を、生鮮食品物流など他の分野にも生かせれば」と期待感を示した。
    ▼これまでも必要性が叫ばれながら、総論賛成各論反対の流れになり、劇的な進展が見られなかった物流規格の標準化。物流崩壊は産業崩壊につながるという危機感を背に、今度こそ大きな成果を上げたい。

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