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2020年8月3日付 2803号

通期見通し公表 減収、営業・経常減益も純利益2桁増を予想  日通

 日本通運(齋藤充社長)は7月31日、2021年3月期第1四半期決算を発表、未定としていた通期業績・配当予想を公表した。

 同日、ウェブ記者会見を行った堀切智副社長は、通期業績について、減収、営業・経常減益、純利益増益とする予想を説明した上で、新型コロナウイルスの影響が長期化する可能性が高い中で、徹底的なコストダウンと医薬品物流などの新たな事業領域への取り組みが経営上の最重要課題と考えていると語った。

 第1四半期に関しては、新型コロナの感染防止に努めるともに、社会インフラとしての責務を果たし、顧客のサプライチェーンの維持を第一に全力を挙げて取り組んできたと振り返った。

 その上で、減収、営業・経常減益も純利益は96億800万円の32.0%増と、大幅増益となった点については、不動産流動化に伴う物流不動産売却、政策保有株式売却などの効果と解説した。また、社会インフラを支えている従業員に対しての慰労と士気向上のため、特別手当19億円を支給したことを明らかにし、グループの今後の発展に必要な支出と判断したと説明した。

 コストダウンへの取り組みでは、取扱数量に応じた適正な車両・人員配置や、社有戦力を最大限活用などにより外注費低減の効果は出ており、今後もさらに取り組みを進めていくとした。

加工食品の外装サイズ標準化へ11月にガイドライン、協議会が初会合開催

協議会の模様

 加工食品メーカーや卸・小売、物流企業・団体の関係者、学識者らで構成される「加工食品分野における外装サイズ標準化協議会」は7月30日、東京都港区の日通ビルで第1回会合を開き、座長に味水佑毅流通経済大学准教授を選出するとともに、11月末にガイドライン策定を目指すことなどを決めた。

 協議会は、今年3月に国土交通省が発出した「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」に基づき設置。メーカーごとに多種多様なサイズが存在し、荷役や輸送、保管効率低下の要因になっていた加工食品の外装サイズの標準化に向けて、課題や解決策を協議した上で、全体最適となるガイドラインを策定することを目的としている。

 味の素、F―LINE、キユーソー流通システム、キユーピー、セブン&アイ・ホールディングス、シジシージャパン、日本加工食品卸協会の関係者らが委員を務め、国交省・農林水産省・経済産業省の関係者がオブザーバーで参加、日通総合研究所と日本包装技術協会が事務局となっている。

 会合ではまず、事務局が物流の現状を踏まえた標準化の必要性や、標準化に向けたこれまでの取り組みなどを説明した上で、標準化を実装する際の注意点として、生産工場から倉庫まではT11パレットなどを中心に運ばれるのに対し、倉庫から小売店舗まではT11パレットより内寸が小さいロールボックスパレットで運ばれることを指摘したほか、積み付けパターンにより段ボール箱に求められる強度が変化すること、個装サイズも店頭の棚割りに適合したサイズが求められるなど、一定のバランスが必要なことなどを説明した。

 これに対し複数の委員から、ロールボックスパレットのサイズはさまざまな種類があることから、まずはT11パレットに重点をおいて標準化を進めるべきとの意見が出た。

 引き続き事務局が、8月中にアンケートとヒアリングを実施し、現状の問題点・課題点を把握した上で、9月上旬に第2回会合を開催してガイドライン作成に向けた課題整理を行い、10月中旬と11月中旬の会合を経て、11月下旬にガイドラインを策定するスケジュール案を披露。

 併せてガイドラインの章立てのイメージとして◎制定の経緯◎背景・目的◎用語の定義◎外装サイズ決定に係る社内での意思決定フロー◎外装サイズの決定に係る社内の調査票ひな形◎外装サイズに関するチェックリスト◎外装サイズの考え方◎外装サイズの決まりごと◎外装サイズの箱形式ごとの留意点―を示した。

 さらに、8月に行うアンケートやヒアリングする内容について、メーカー、卸・小売、物流会社に共通して、外装サイズ標準化への意向・希望やメリット・デメリット、障害・課題などを聞き、メーカーには外装サイズの種類や決め方、部署を横断した調整の有無などを、卸・小売には保管・陳列に望ましい商品サイズと外装サイズ、店舗における陳列棚の企画の有無などを、物流会社には保管・荷役に望ましい商品サイズ・外装サイズなどを聞く考えを示した。

 これについて委員からは「小売もプライベートブランドを展開するなど、メーカーの側面を持っていることに留意して調査を行ってほしい(永田孝司シジシージャパン執行役員)」「ガイドラインの策定後、どのように社会に広めて定着させていくかが大事。最後の会議ではその点も取り上げてほしい(堀尾仁味の素上席理事)」「より多くの情報を得るためF―LINEに出資しているメーカーにも情報提供を呼び掛けたい(吉濵暁F―LINE事業戦略部マネージャー)」「デパレタイザーなど省人化機器の情報も必要(石井浩貴シジシージャパン物流事業部ユニットリーダー)」などの声が上がり、いずれもガイドラインに盛り込んでいくことを確認した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(151) 『新型コロナの感染拡大が駄目押し(その9)』
    ☆物流応援歌(29)『新型コロナウイルス問題を考える=自らの経験からの私見=』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省自動車局・佐橋真人整備課長

  • ☆ヤマトHDの芝﨑副社長が第1四半期決算会見、EC需要対応で宅急便約20億個を予想し効率化で通期も大幅増益を予想
    ☆全日通がウェブで全国大会、春闘は新しい生活様式を踏まえた戦い方で
    ☆日通がAI・IoT技術を活用したショールーム型先端物流施設開設
    ☆日立物流が通期業績予想を公表、売上高3.2%減見込む
    ☆第一貨物が2大旗艦店である東京支店・山形支店の移転新築・統合移転等を柱とする「東京プロジェクト」の内容発表
    ☆国交省がシベリア鉄道を活用した貨物輸送の実証実験公募開始、本年度は1編成を借り上げる「ブロックトレイン」形式
    ☆経産省、大手コンビニ3社の共同輸配送実験を開始
    ☆経産省が物流MaaSの公募について6事業者を選定、トラックデータ連携など
    ☆全ト協が中央近代化基金「激甚災害融資」の公募期間を12月30日まで延長
    ☆SGHDがリモート方式で「ダイバーシティアワード2019」を開催、グランプリを発表
    ☆SGムービングが家電を販売する小売業者と家電4品目の収集運搬事業者を直接マッチングさせるプラットフォームシステムの提供開始
    ☆東ト協環境委、GEP参加事業者総数減少受けウェブ説明会検討
    ☆丸運、無事故・無災害で全拠点回る安全駅伝ゴールに
    ☆東ト協運安委、飲酒運転防止へ各会員に支部長名で文書発出へ
    ☆全ト協、Gマーク申請受理件数が過去最多に
    ☆国交省が19年の国内各港のコンテナ貨物取扱量公表、4年ぶり前年割れ
    ☆日新が法人海外赴任者向けに引越の下見や見積もりなど完全リモートで対応
    ☆安田倉庫がOKIクロステックと医療機器サポートで提携
    ☆閣議決定の骨太方針20で自動配送ロボットの制度設計方針策定へ
    ☆物流各社の21年3月期第1四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない。7月29日には初めて1日の新規感染者数が千人を超え、医療体制も逼迫しつつあるという。物流業界でも感染の報告が増えてきたように感じている。
    ▼一方で、国内の経済情勢も危機的状況に陥っている。特に観光業界の状況は深刻で、5月の延べ宿泊者数は8割超の減少となっており、産業の存続が危ぶまれるほどの惨状だ。
    ▼多くの識者が指摘するように、感染拡大防止と経済活動の両立は、どちらも極めて重要だ。緊急事態宣言の再発出を望む者などいないはずで、大人数の宴会など避けられるリスクは極力避けつつ、経済も回していくよう努めていくしかない。

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