2020年代の物流施策、大綱策定へ検討開始 年度内に閣議決定 経産省・国交省・農水省
経済産業省、国土交通省、農林水産省の3省は、本年度が最終年度となる総合物流施策大綱(2017―20年度)に代わる新たな物流大綱の策定に向けた検討を行うため、「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」を設置。16日に東京都港区の三田共用会議所で初会合を開き、「ウィズコロナ・ポストコロナ社会」に求められる物流の役割や深刻化する労働力不足への対応などを盛り込んだ新たな時代の物流大綱策定に向けた検討を開始した。
冒頭、国土交通省の瓦林康人公共交通・物流政策審議官は、「大綱は政府として示す物流の5ヵ年計画。電子商取引の拡大による貨物の小口・多頻度化でトラックドライバーが不足する中、自動車運転者に対する時間外労働の罰則付き上限規制の適用も24年4月に迫っており、対策は急務だ。加えて、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えた物流の姿について検討を行い、新たな時代の大綱として、しっかりとしたものを策定したい」とあいさつした。検討会は、EC事業者、物流事業者、メーカー、経済団体、労働組合、地方自治体の関係者のほか、学識経験者や有識者、関係省庁の担当官らで構成。座長は、根本敏則敬愛大教授、副座長は矢野裕児流経大教授が務める。
あいさつで根本座長は、現行の物流大綱に基づく施策では、食品流通に関するアクションプラン策定やASEANでのコールドチェーン網構築に向けた規格化など、標準化の取り組みが一定程度進んだが、次の大綱の期間では物流のデジタル化にスピード感を持って取り組むことが重要であるとの考えを強調した。
議事では、物流を取り巻く動向と物流施策の現状について事務局が説明を行った上で、今後検討が必要な重要課題として①ウィズ・ポストコロナ時代の物流に進化するための産学官の当事者の役割②AI・IoT・デジタル化・ロボット・自動運転などの最新技術を活用した業務効率化を通じた生産性向上への対応③物流情報のデジタル化・データ化とそれを可能にする物流の標準化④物流リソースを最大限に活用するための対策⑤災害時などを見据えたハード・ソフトの物流ネットワーク強靭化―が挙げられ、今後、業界団体や構成員からのヒアリングやプレゼンテーションなどを通じて、重要課題に関する現状把握や対応方策などを検討していく。
7~8月に事務局が関係団体へのヒアリングを行い、9・10月に2回ずつ検討会を開いてヒアリング結果を報告するとともに、構成員からのプレゼンテーションと論点整理を行う。
11月の第6回検討会では提言に盛り込む事項を検討、11~12月に開催予定の第7回検討会で提言を取りまとめて、政府が提言を基に大綱を策定。20年度中の閣議決定を目指していく。