「令和2年7月豪雨」 プッシュ輸送実施 支援物資が早期に到着
「令和2年7月豪雨」では、3日からの大雨により、九州~中部をはじめとする広い範囲で河川の氾濫や土砂崩れなどが多発し、住宅の損壊や集落の孤立、住民への避難指示・勧告などが各地で発生した。
こうした状況に対し、政府は5日、「令和2年7月豪雨非常災害対策本部」を設置し、情報収集や被災者支援を展開。安倍晋三総理は、各省横断の「被災者生活・生業再建支援チーム」設置を命じ、被害の迅速な把握や政府一体となった災害応急対策に全力で取り組むことなどを指示した。
支援物資のプッシュ型輸送も早期に開始され、内閣府から国土交通省を通じて、指定公共機関である日本通運、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運に対しプッシュ型緊急物資輸送を要請。段ボールベッド1500台、非接触型体温計100個を内閣府立川基地から、布パーテーション200セットを東京都世田谷区から、送風機300台を福岡市内から、パックご飯(180グラム)1万5024セットを新潟県小千谷市から、それぞれ熊本県益城町のグランメッセ熊本に輸送している(8日正午現在)。また、このほか自家用車両による輸送などで、水(500ミリリットル)2万本が5日にはグランメッセ熊本に到着。このほかの主要な生活必需品についても、7日までにはグランメッセ熊本から市町村への配布が実施されている。
さらに、サカイ引越センターは7日、近畿地方整備局の要請を受け、同局近畿圏臨海防災センター(堺市)から中継所の博多港湾・空港整備事務所に、緊急支援物資輸送(発電機、飲料水、保存食、テント、毛布、コードリール、ブルーシート)を実施したと発表。4日午後2時に近畿圏臨海防災センターを出発し、同日午後11時に博多港湾・空港整備事務所に到着、積替作業の後、5日午前8時半に熊本県八代市に届けられた。
道路や河川、自動車交通などを受け持つ国土交通省も4日に第1回災害対策本部会議を開き、翌5日には第1回非常災害対策本部を開催。
所管施設の被害情報の収集・発表を行うとともに、インフラ関連の専門家「TEC―FORCE」の派遣や、自治体への技術的助言・指導、海上保安庁による救助活動などを進めてきた。
高速道路は、9日午前10時時点で、大分自動車道玖珠IC(インターチェンジ)~湯布院ICをはじめ2路線2区間で被害が出ており、国道では31路線67区間で通行止めなどの措置が取られている。
また国交省では、福岡・熊本・大分・鹿児島・長野・岐阜の各県の一部地域の自動車について、自動車検査証の有効期間が7月4日(熊本県・鹿児島県の一部地域)・6日(福岡県・大分県の一部地域)・8日(長野県・岐阜県の一部地域)~8月3日のものについて、期間を8月4日まで延長するとともに、自賠責保険についても車検(継続検査)を受けるまで継続契約の締結手続きを8月4日まで猶予する特例措置を講じている。
全日本トラック協会では、4日に坂本克己会長を本部長とする「令和2年7月九州豪雨対策本部」を設置して指定公共機関である会員大手5社とともに、緊急物資輸送体制を構築し、プッシュ型輸送を実施している。
九州では、福岡・熊本・長崎・大分・鹿児島の各県に災害対策本部が設置され、各県トラック協会は県との防災協定に基づき、物資輸送体制を確立して対応を進めている。