物流の標準化・規格化、官民連携で推進へ 小野副会長を新任 物流連定時総会
日本物流団体連合会(渡邉健二会長)は6月29日、東京都港区の第一ホテル東京で2020年度定時総会を開催し、19年度決算を原案どおり承認するとともに、総会後の理事会で小野孝則日本倉庫協会会長を副会長に新任した。定時総会は新型コロナウイルス感染防止の観点から規模を縮小して開催し、例年定時総会で行っていた物流環境大賞表彰式や懇親会は中止とした。
冒頭あいさつした渡邉会長は、コロナ禍でも継続して事業に従事する物流事業者や、物流業界に応援メッセージを送っている赤羽一嘉国土交通大臣ら関係者に謝意を示すとともに、今後国内外における荷動きへの悪影響が顕在化する部分も多いとして「大変厳しい状況で、予断を許さない局面にある」と指摘。
物流連の事業に関しては、学生向けに行っているインターンシップや業界研究セミナーが、開始6年目を迎え延べ600人以上が参加していること、外国人材の就労に関する勉強会を立ち上げたことなどに触れる一方、3月以降新型コロナで会議や講演会が中止となっていることも説明。7月以降順次平常に戻しながら、会議や講演会、インターンシップなどの一部をウェブで行っていく考えを示した。
渡邉会長自身が重要な課題としていた物流の標準化・規格化については、19年度に行政が主導し加工食品など一部業界で検討が進められたとし「新型コロナの影響で物量が減ることにより、せっかくの動きを止めてはならない。本年度は、国が新たな物流施策大綱の策定を進めると聞いているが、物流連も適宜意見交換の場を設け、協力連携していきたい」と述べ、官民連携して推進していく考えを示した。
また「標準化を多くの産業に広げるためには、製造・流通・小売り・消費者らと対話・連携することが不可欠であり、それにはまず会員各位の協力が必須」として、業界が一体となって取り組むよう求めた。
議事では19年度事業報告を確認した後、19年度決算、役員選任を承認。総会後に書面開催された理事会で小野副会長を新任し、渡邉会長のほか田村修二・伊東信一郎・栗林宏吉・坂本克己・内藤忠顕・山内雅喜の各副会長、長谷川伸一理事長、宿谷肇事務局長をいずれも再任。代表理事の渡邉会長・田村副会長・長谷川理事長も再任した。
総会後に談話を発表した渡邉会長は、昨年度改定した「物流業のBCP作成ガイドライン」の普及を図るため講演会などを予定していることや、2年前にまとめた「物流業におけるテレワークモデルプラン」について、内容の追加を検討することなどを説明。外国人材の就労では、7月中にも企業会員を対象としたダイバーシティ推進ワーキングチームを立ち上げる考えを示した。本年度の事業計画に盛り込まれている、海外の視察や物流実態調査などについては、状況の変化に対応して適宜見直しを行っていく方針とした。
また、会議や講演会、イベント等でウェブ併用を進めていくとした一方で「業界団体の活動は膝を交えて話すところから、という基本は変わらない。会社や団体を超えて新たな方向性を実行するには、時間をかけて議論することがどうしても必要」とも述べ、引き続き直接対話を重視する姿勢も強調した。