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2020年5月25日付 2794号

ロジ・トランス機能強化で中期経営計画示す 顧客の繁栄後押し  セイノーHD

 セイノーホールディングス(田口義隆社長)は21日、2020年4月~23年3月を期間とする中期経営計画を発表。「特積みのセイノーからロジのセイノーへ」の戦略の下、ロジ・トランス機能のさらなる拡大を進め、23年3月期のロジスティクスでの売上高を20年3月期の36%増となる640億円とする目標を掲げている。

 「Connecting our values ~すべてはお客様の繁栄のために~」をスローガンとする中期経営計画では、生産人口の減少や国内市場の縮小に伴う輸送量減少などの課題に対して、生産者と消費者をミニマムでつなぐサプライチェーンネットワーク構築などにより、顧客の生産性向上につながるスマートサプライチェーンの実現を目指す。実現に向けた重点戦略には①ロジ・トランス機能のさらなる拡大②ファクトリー機能の拡大③輸送グループのロジスティクス拡大④業種業態に特化した取り組み⑤省人化の加速―を柱に据え、グループ企業の多様性活用や機能強化を進めるとともに、「オープン・パブリック・プラットフォーム(OPP)」を通じた共同配送やトラックターミナルを活用したシェアリングなどを加速させる。

 OPPでは、商流と物流を共同プラットフォーム化し、顧客や社会、同業者に新たな価値を提供。オープンで公共性の高いプラットフォームを構築することで、情報共有による物流アセットの高回転化を目指す。

 中計期間中の投資額は1148億3300万円を見込み、このうちOPP構築などの戦略投資には91億円を投じる。

 23年3月期の売上高や利益については、現段階では未定のため、確定後に開示するとしている。

2020年3月期連結業績は方向性確認できた、構造改革を継続  ヤマトHD

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)の芝﨑健一副社長と樫本敦司執行役員は15日、電話会見で2020年3月期連結決算の内容を説明した。

 20年3月期は、宅急便単価が前期比12円増の676円となり、116億円の増収効果が得られたことなどから微増収を確保。費用面では外注費が278億円減少したものの、人件費が273億円増加、その他経費も149億円増加し減益となった。

 芝﨑副社長はこれについて「期首の予想を下回っており、胸を張れる内容ではない」と語る一方、宅急便事業において第4四半期からデータに基づいた需要予測による戦力配置が稼働し一定の成果が見られたことや、宅配ボックスの稼働率向上など集配効率が向上していることなどに触れ「当社がやろうとしている構造改革の方向性が効果を発揮すると確認できた」と述べ、今後も中期経営計画に沿って構造改革を進めていく方針を示した。

 21年3月期については、4月に個人需要の増加が見られたものの、小口法人は弱含みで推移しており、BtoBは世界経済の低迷で大きく影響を受けていると説明。今後の動向が極めて不透明であることから、宅急便個数や単価の予測について未定とした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(147) 『新型コロナの感染拡大が駄目押し(その5)』
    ☆四文字『戦後の復興「車両割当」』
    ☆トラック運送業における働き方改革のヒント(7)
    ☆日中ビジネスワンポイント(199) 『上海「五五購物節」』

  • ☆ヤマトHDが構造改革を継続、20年3月期連結業績は「方向性確認できた」
    ☆交通労連が新型コロナ対策で国交・厚労両大臣へ助成金の創設など要請
    ☆陸災防が新型コロナの影響で全国フォークリフト運転競技大会中止、総代会は来月開催予定
    ☆全ト協が1~3月期の景況感公表、判断指標が大幅悪化
    ☆全ト協・日貨協連が20年度第2次補正予算で自民・公明議連に新型コロナ対策支援を要望
    ☆各社の20年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言は、首都圏の1都3県と北海道を残して解除された。
    ▼目安に照らし合わせての判断だが、解除後の人の動きや経済活動が今後の感染者数の推移に与える影響については十分注視していく必要がある。
    ▼来るべき新型コロナ感染の「第2波、第3波」や、新たな疫病、いつ来るとも知れない自然災害などへの備えを、解除後の緩やかな経済活動の中で行っていくことは困難が伴うが、着実な備えを行わなければ負の積み上げが限界を超え、社会や経済へのダメージは計り知れない。
    ▼これから編成される2020年度第2次補正予算では、思い切った支援策が不可欠だ。

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