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2020年5月18日付 2793号

新型コロナへの対策 感染の予防に向けたガイドライン策定、点呼時の留意点など  全ト協

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は14日、トラック業界における「新型コロナウイルス感染症予防対策ガイドライン(第1版)」を策定した。ガイドラインでは①感染予防対策の体制②健康管理③通勤④運転者に対する点呼⑤運行中⑥感染者が確認された場合の対応―などについて、事業者が講じるべき対策を盛り込んでいる。

 感染予防対策の体制では、経営トップが率先して対策の策定・変更について検討する体制を整えるとともに、国や業界団体などを通じて正確な情報を常時収集するよう求めている。

 健康管理では、従業員に対して、可能な限り朝夕2回の体温測定を行った上で、結果や症状を報告させ、発熱やせきなどの症状がある者は自宅待機とすることとしている。

 通勤については、テレワーク、時差出勤、ローテーション勤務などの勤務形態の検討を通じ、通勤頻度を減らして公共交通機関の混雑緩和を図るほか、自家用車や自転車による通勤も推奨。

 運転者に対する点呼では、適切な距離を保つほか、運行管理者と運転者の間にアクリル板や透明ビニールカーテンを設置することなどを求めている。

 従業員の感染が確認された場合には保健所・医療機関の指示に従うとともに、各地方運輸局などに速やかに連絡することを求めている。また、人権に配慮し、個人名が特定されることのないよう留意することを求めている。さらに感染した従業員が回復後に人権侵害を受けることのないよう、事業所の従業員に指導を行い、円滑な社会復帰ができるよう十分に配慮することも盛り込んでいる。

田口社長がWeb上で決算会見 5期連続で増収達成、当期純利益も増益 次期中計はロジ強化  セイノーHD

 セイノーホールディングスの田口義隆社長は13日、ウェブ上で2020年3月期通期連結決算説明会を行い、5期連続の増収となったことを報告するとともに、20年度を初年度とする新たな中期経営計画を21日に示すことを発表。新たな中期経営計画では、ロジスティクス事業の強化を軸に据え、顧客の繁栄を後押ししていくとの考えを強調した。田口社長は、20年3月期通期連結決算について、売上高は5期連続の増収となる一方、営業利益はコロナウイルス感染拡大の影響などにより11期ぶりの減益となったと説明した上で、東京都内のターミナル売却により、特別利益を計上したことから当期純利益は21.0%の増益を確保したことを報告した。

 21年3月期については、「緊急事態宣言が解除されても、簡単には経済は回復しないと見込んでいる」とし、12月ごろから生産活動が正常化することを前提に、売上高で前期比10.4%減、営業利益で54.8%減、当期純利益で71.2%減を予想しているとした。

 次期業績を「未定」とする企業が多い中、予想を示した理由について田口社長は、「第1四半期が終わった時点で、予想が立つ手掛かりがない。『いつまでもわからない』では、株主にとって不透明なので、今想定できる数字として示した」と述べ、これまでの実績で積み上げてきたデータに基づく幹線輸送のコストコントロールを前提に算出した予想値であることを明らかにした。

 次期中計については、「ロジスティクス事業にかじを切りたい」とし、顧客の抱える人手不足やファイナンス面での課題に対して、「ヤマト・佐川とオープンプラットフォームを活用したワンストップサービスを提供していくことで、顧客の繁栄をサポートしたい」と述べた

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流応援歌(26)『宅配再配達問題の現状と今後(2)=宅配便利用者の意識変革の重要性=』
    ☆ウォッチ(108) 『「越境電子商取引総合試験区」の拡充から中国貿易を考察』

  • ☆SGLがXフロンティア内のECセンター稼働、各工程を大幅自動化し生産性2倍以上に
    ☆運輸労連の春闘妥協状況は中小の健闘目立つ、コロナの影響は限定的に
    ☆日通が鉄道コンテナ・内航の19年度実績発表、いずれも微増に
    ☆トナミHDの20年3月期連結決算、増税による物量の落ち込みや外注費増で減益に
    ☆全ト協・日貨協連が国交省に「新型コロナウイルス感染拡大に伴う高速道路料金の大口・多頻度割引に関する緊急要望書」提出
    ☆SGムービングがXフロンティア内に本社移転・営業開始、ショールーム機能も
    ☆全ト協・日貨協連、4月のWebKIT成約運賃指数は前年比10ポイント減の120、8ヵ月連続前年割れ
    ☆丸運が第3次中期経営計画で基本方針とアクションプラン示す、飛躍への準備期間に
    ☆JR貨物が4月輸送実績を発表し真貝社長がコメント、今後の生産・販売・個人消費の回復に注目
    ☆住友倉庫が長期ビジョンと新中期経営計画を発表
    ☆東ト協海コン部会が19年12月調査結果発表、東京港の車両待機時間削減進む
    ☆各社の20年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼最近よく耳にするようになったのが「エッセンシャルワーカー」なる言葉だ。「社会にとって必要不可欠な業務の従事者」とでも訳せるだろうか。
    ▼その中には物流業務の従事者も含まれる。自粛要請が続く中、感染や収入の不安を抱えながらも、日常的な買い物など何とか生活を維持できていたのは、物流が機能していたからに他ならない。
    ▼ところが、いまだにドライバーがいわれなき中傷を受けたという声が後を絶たない。むしろひどくなっているという話も聞いた。全ての人々に物流は「必要不可欠」と考えてもらうための闘いは、新型コロナウイルスとの闘い同様、粘り強く、あきらめずに取り組む以外にない。

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