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2020年4月20日付 2790号

コロナで緊急要請、マスク供給や情報発信 「物流崩壊」回避へ  運輸労連

申し入れする難波委員長(左)と枝野代表(右)

 運輸労連(難波淳介委員長)は13日、立憲民主党の枝野幸男代表と、同党所属で運輸労連政策推進議員懇談会の赤松広隆会長に対し、新型コロナウィルス感染症に関する緊急要請を行った。

 トラック運輸産業でもマスク不足の影響を受け、ドライバーがマスクを着用していないことを理由に、配送先で荷受を拒否されるケースがあるほか、個人宅での配送時に中傷を受けたり、ドライバーの子どもが学校への登校を拒否されるなどの事例が発生している。このため同労連は、加盟単組へ組合員・職場等の影響に関して調査し、その結果を踏まえ要請したもの。

 要請文では、ドライバーが不安を抱えながら業務に従事しており、退職を考える者も出始めていること、事業者内でクラスターが発生した場合、地域によっては物流が止まる危険性があることなどを指摘。「物流崩壊」で経済・国民生活を破綻させないため、次の3点を要請している。

 ①政府に対するマスク・消毒液等の衛生用品の優先的な供給要請②トラック運輸産業に対する国民の理解と協力を得るための情報発信③トラック運輸産業従事者の感染時の補償・雇用調整助成金のさらなる拡充―。

 このうち③については、トラック運輸産業従事者への感染が疑われる場合は、労働者災害補償保険を適用するよう求めたほか、経済危機が進行し新型コロナ収束後の影響が懸念されることを踏まえ、雇用調整助成金に関してコロナ対策野党連絡協議会が掲げる、10割補償や支給日数限度の延長など、さらなる緩和を求めている。

資産の流動化目的に所有4センターをプロロジスに信託受益権譲渡  日通

 日本通運(齋藤充社長)は16日、同社所有の四つの物流センターの土地・建物を信託し、信託受益権をプロロジス(山田御酒社長)運営の特定目的会社に譲渡する契約を締結したと発表した。

 信託受益権は2021年3月期中に譲渡を予定し、譲渡価格は500億円超を見込む。各拠点は日通が引き続き使用する。現経営計画に掲げた「非連続な成長戦略」の実現に向けて、資産の流動化によるキャッシュの創出・バランスシートのスリム化・資産・資金調達の多様化を進めており、その一環として決定したもの。

 譲渡資産は、川崎市の溝ノ口物流センター(延べ床面積4万9900平方メートル)と、現在建設中の埼玉県久喜市の東日本医薬品センター(同6万5400平方メートル)、大阪府寝屋川市の西日本医薬品センター(同6万3600平方メートル)、北九州市の九州医薬品センター(同1万7300平方メートル)。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(107) 『パンデミック状況下における中国の国際貨物輸送の施策』

  • ☆ヤマト運輸・佐川急便が松本市で共同配送、長野県初の物効法認定事業
    ☆国交省、トラックの標準的運賃について運審「適当」と答申
    ☆日通が奥大山にAGF7台導入、5人相当の作業を自動化
    ☆国交省、宅配の「置き配の現状と実施に向けたポイント」を策定
    ☆東ト協理事会、20年度事業計画に脳MRI健診助成など新規事業盛り込む
    ☆全ト協、19年度の営業用トラック1万台当たりの死亡事故件数が「1.82」と公表し一層の対策必要に
    ☆総合物流推進会議、総合物流施策プログラムに標準的運賃を追加
    ☆国交省がシベリア鉄道での日ロ欧間貨物輸送の結果公表、輸送品質に問題なしだがコスト面に課題も

今週のユソー編集室

  • ▼上欄記事のとおり運輸労連に寄せられた全国の物流現場からの報告に基づく緊急要請の冒頭には「個人宅での配送時に誹謗中傷を受けた」「ドライバーの子供が学校から登校を拒否され入学式・始業式を欠席」など、心の痛む記述が並ぶ。
    ▼新型コロナウイルスに対する不安が恐怖に変わり、その恐怖から逃げるすべを他者への攻撃にすり替えた一部の人々が、ネット上の罵詈雑言を増やしていると聞くが、リアルの、それも暮らしや社会を支えるドライバーに矛先を向けるとは情けない。
    ▼ただでさえ人材流出が課題の産業で、コロナ禍により退職を考える人が増えれば、緊急要請の中で指摘する「物流崩壊」は、すぐに訪れる。

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