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2020年4月13日付 2789号

緊急事態宣言受けて国・協会が対応策 事業者支援や対策本部設置など

 安倍晋三総理大臣は7日に開催した新型コロナウィルス感染症対策本部で、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出した。対象区域は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・兵庫県・福岡県の7都県で、期間は5月6日まで。

 これを受けて赤羽一嘉国土交通大臣は同日、国交省の対策本部で、指定公共機関である運送事業者に対して、貨物の運送を確保するため必要な措置を講ずるよう要請するとともに、緊急物資輸送の要請への迅速に対応するため、関係省庁と連携して体制の確認に万全を期すよう指示した。また、現場の運転従事者の感染防止が最優先とし、引き続き関係団体等にマスクの着用やうがい・手洗い・検温の励行、休みやすい環境整備の徹底を求めていくとした。

 さらに、対象区域の自動車検査証の有効期間伸長を決定。検査証の有効期間が4月8日~5月31日の自動車については、6月1日まで有効期間を伸長するとともに、自動車賠償責任保険についても、継続契約の締結手続きを6月1日を限度に猶予する。

 8日には、総合政策局参事官(物流産業)名で日本倉庫協会・日本冷蔵倉庫協会・全国通運連盟・JAFA・JIFFA・日本内航運送取扱業海運組合・全国トラックターミナル協会の事務局長宛てに、事業継続の要請等を行った。

 緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者として各団体に関係する「物流・運送サービス」の事業が例示として挙げられており、業務の継続のための体制整備や感染拡大防止策の一層の推進を図るよう要請した。

 全日本トラック協会は7日、緊急物資輸送に関する国交省自動車局貨物課長名の要請文書を宣言対象地域のトラック協会長に通知し、坂本克己会長を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置した。

 要請文書では、緊急物資輸送要請への協力などを求めたほか、緊急経済対策の周知も要請。緊急経済対策では事業者の資金繰り・雇用の維持への支援を盛り込んでおり、国交省関連の2020年度補正予算で「ICTを活用した自動車運行管理等の非接触化・リモート化」として、178億円の内数を計上している。

 地方トラック協会では、会員向けに輸送手段確保の要請や、国等の支援制度の周知などを行っている。

 東京都トラック協会は8日、新型インフルエンザ等対策本部や相談窓口を設置した。神奈川県トラック協会も8日に対策本部を設置し、研修会や集団健診を中止。埼玉県トラック協会は9日に契約保養施設を臨時休業とした。千葉県トラック協会は8日に巡回指導と適性診断、各種研修会の中止を発表。大阪府トラック協会と福岡県トラック協会は、各府県の依頼内容や国の支援制度などを周知。兵庫県トラック協会は、農林水産省のガイドラインを元に独自に作成したマニュアル例を公開、従業員に感染者・濃厚接触者が発生した際や事業継続に関する対応策を示している。

感染拡大を防止しながら通常の営業を継続、緊急事態宣言に対する物流各社の対応  

 7日に発出された緊急事態宣言に伴い、物流各社も対応を発表している。

 日本通運は8日、アロー便で対象地域を中心に遅延が予想されると発表、顧客に輸送日数に余裕を持った発送を求めた。

 ヤマト運輸は7日に宅急便の集荷・配達を継続していくと告知、非対面の配達や集配時のマスク着用、施設・車両などへの1日複数回の消毒なども引き続き行うとした。配達状況では、全国から沖縄県向け、中国・四国・九州地域から北海道向けの配達遅延が発生、一部地域で宅急便タイムサービスの荷受停止を行っている。

 佐川急便は8日、2018年から行っていた日曜・祝日等の集荷予約制について、計画的集荷業務による時間短縮を図るため、4月13日~5月6日の期間、平日・土曜まで拡大すると発表。併せて全国から北海道・九州・沖縄向けに輸送している飛脚航空便について、配達が遅れていることも周知している。

 日本郵便は8日、郵便局・ゆうちょ銀行店舗・ATMの対象地域での営業時間を変更すると発表。9日にはEMS郵便物、航空扱い・SAL(エコノミー航空)扱いの小包郵便物・通常郵便物を対象とする国際郵便の一時引受停止・遅延等について更新。2日から一部の国際郵便物の引き受けを一時停止しているが、10日からオーストラリア、スウェーデン、ブラジル等を追加し、対象国・地域は合計160となった。

 西濃運輸は8日、感染拡大に最大限配慮して集荷・配達を継続するとともに、玄関前などの指定場所への配達も実施すると発表。福山通運は8日、全従業員の感染予防策を徹底し、通常通り営業するとした。名鉄運輸は8日、政府・自治体による営業自粛要請がない限り業務を継続すると発表した。久留米運送は8日、感染予防に努めながら通常営業を継続するとしながらも、今後営業所の一時閉鎖や集荷見合わせなどが発生する可能性を示唆した。近鉄エクスプレスは8日、感染拡大の予防措置を講じながら事業を継続すると発表、顧客のサプライチェーンへの影響を最小限に食い止める意向を示した。

 JR貨物は7日「当社は、物流を担う指定公共機関として、利用運送事業者の皆様と協力して引き続き貨物列車の運行を確保し、社会・経済への影響を最小化するとともに、緊急物資の輸送要請を受けた時はそれを最優先するよう努めてまいります」とコメント。社員の感染予防にも努めていくとした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字『トラック輸送「発展段階」』

  • ☆緊急事態宣言、物流各社は感染拡大を防止しながら通常の営業を継続
    ☆国交省、加工食品の物流標準化へアクションプランを公表
    ☆国交省、トラックの担い手へパンフレット・好事例集を策定・公表
    ☆全ト協・日貨協連、3月の求車登録件数は前年同月比40%減

今週のユソー編集室

  • ▼安倍晋三総理大臣は7日、新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言を発出し、同日夜に国民向けの記者会見を行った。
    ▼会見では安倍総理自らが「スーパーを生活必需品で満たすため、昼夜を分かたず、今、この瞬間も物流を守り続けるトラック運転者の皆さんがいる」と語り、社会的インフラの役割を担うトラック運送事業者の使命の重さに触れた。
    ▼トラック運送事業者に限らず、物流業界全体が、現在その使命を全うしようと懸命の努力を重ねている。感染拡大防止を図りながら、関係機関・業界と連携して市民のパニックを防ぎ、新型コロナウィルスとの「戦争」に勝利するよう、力を合わせたい。

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