緊急事態宣言受けて国・協会が対応策 事業者支援や対策本部設置など
安倍晋三総理大臣は7日に開催した新型コロナウィルス感染症対策本部で、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出した。対象区域は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・兵庫県・福岡県の7都県で、期間は5月6日まで。
これを受けて赤羽一嘉国土交通大臣は同日、国交省の対策本部で、指定公共機関である運送事業者に対して、貨物の運送を確保するため必要な措置を講ずるよう要請するとともに、緊急物資輸送の要請への迅速に対応するため、関係省庁と連携して体制の確認に万全を期すよう指示した。また、現場の運転従事者の感染防止が最優先とし、引き続き関係団体等にマスクの着用やうがい・手洗い・検温の励行、休みやすい環境整備の徹底を求めていくとした。
さらに、対象区域の自動車検査証の有効期間伸長を決定。検査証の有効期間が4月8日~5月31日の自動車については、6月1日まで有効期間を伸長するとともに、自動車賠償責任保険についても、継続契約の締結手続きを6月1日を限度に猶予する。
8日には、総合政策局参事官(物流産業)名で日本倉庫協会・日本冷蔵倉庫協会・全国通運連盟・JAFA・JIFFA・日本内航運送取扱業海運組合・全国トラックターミナル協会の事務局長宛てに、事業継続の要請等を行った。
緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者として各団体に関係する「物流・運送サービス」の事業が例示として挙げられており、業務の継続のための体制整備や感染拡大防止策の一層の推進を図るよう要請した。
全日本トラック協会は7日、緊急物資輸送に関する国交省自動車局貨物課長名の要請文書を宣言対象地域のトラック協会長に通知し、坂本克己会長を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置した。
要請文書では、緊急物資輸送要請への協力などを求めたほか、緊急経済対策の周知も要請。緊急経済対策では事業者の資金繰り・雇用の維持への支援を盛り込んでおり、国交省関連の2020年度補正予算で「ICTを活用した自動車運行管理等の非接触化・リモート化」として、178億円の内数を計上している。
地方トラック協会では、会員向けに輸送手段確保の要請や、国等の支援制度の周知などを行っている。
東京都トラック協会は8日、新型インフルエンザ等対策本部や相談窓口を設置した。神奈川県トラック協会も8日に対策本部を設置し、研修会や集団健診を中止。埼玉県トラック協会は9日に契約保養施設を臨時休業とした。千葉県トラック協会は8日に巡回指導と適性診断、各種研修会の中止を発表。大阪府トラック協会と福岡県トラック協会は、各府県の依頼内容や国の支援制度などを周知。兵庫県トラック協会は、農林水産省のガイドラインを元に独自に作成したマニュアル例を公開、従業員に感染者・濃厚接触者が発生した際や事業継続に関する対応策を示している。