荷主・物流企業に新型コロナ感染拡大の物流への影響について緊急アンケート実施、統一マニュアルを求める声 JILS
日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は18日、「新型コロナウイルス感染拡大による物流への影響」について、会員企業を対象に実施した緊急アンケートの結果を公表した。
荷主による入手困難なマスク着用の義務付けや、休校による人員調整、入荷の大幅な遅れと急な出荷対応など、物流現場で生じている課題等が挙げられ、国や行政府に対しては、正確な情報の提供や無期限での貸し付けなど支援の拡充、医療をはじめとする「止めない物流」の明確化などを求める声が寄せられている。
11~13日に荷主・物流企業の会員登録者へウェブ回答方式で調査したもので、有効回答社数は182社。
感染拡大で課題が生じたとの回答は荷主企業で「全社」19%、「一部」38%。具体的事例として「急激な販売増による車両確保、出荷調整業務の発生」「中国からの輸入制限、代替ルート確保」「航空減便に伴うスペース確保難・運賃高騰」「トイレットペーパーパニックに伴う四国発トラックの一時的不足」など。
物流企業は「全社」14%、「一部」43%で、具体的事例として「入手困難なマスク着用の義務付け」「感染者が出た施設へのドライバーの配達拒絶」「航空便運休による代替ルート計画に苦慮」など。
荷主から求められている対応について物流企業は63%が「ある」と回答。具体的事例としては、入場時の検温・マスク着用をはじめ、対応マニュアル・ガイドラインの作成と対応連絡に関するものが多く挙げられ、顧客ごとにマニュアル等が異なることに苦慮しているなどの意見がみられる。
BCP(事業継続計画)の策定状況は、荷主企業では「策定済み」31%、「今回策定」13%、物流企業では「策定済み」16%、「今回策定」24%。
取引先への意見・要望としては、製造業では「マスク着用を義務化する場合、できるだけ支給してほしい」「時間指定の緩和、待機時間の削減、翌々日配送の協力」など。運輸業では「取引先ごとに異なるマニュアルの全国的統一化」「大量受注増商品の出荷制限」など。倉庫業では「変動要素の強い出来高契約の一部を固定的な契約に変更」など。物流子会社では「倉庫・トラック・人材などの業界内でのシェアリングなどの検討」など。
国や行政府等に対しては、製造業では「中小輸送会社・物流事業者に対してのバックアップ政策」「物流業界全体で共通の対応ガイドライン」など。流通業では「防疫以外にも国が介入する一部指令経済的ルール」など。運輸業では「感染者特定から業務再開に至る工程の明確化」「有料道路料金の助成」「燃料の税制改定」「時間指定の枠のルール緩和の推奨」など。倉庫業では「専門家の意見を元にした国としての統一情報・方針と情報源の一本化」など。利用運送・物流管理業では「無期限での貸し付け」「直接・間接的に生じるさまざまなリスクを、物流業者が一方的に負わされないよう企業への指導」「医療にかかわる物流への特別な指示の発令。食品・医薬品・医療機器に限定」など。