標準的運賃の荷主への説明、告示の前でも問題なし 全ト協理事会で見解 国交省自動車局伊地知貨物課長
全日本トラック協会(坂本克己会長)は5日、東京都港区の第一ホテル東京で第184回理事会を開き、2月26日付で運輸審議会に諮問されたトラックの標準的運賃の考え方などについて、国土交通省自動車局の伊地知英己貨物課長から説明を受けた。解説した伊地知課長は、標準的な運賃の告示の時期について、「早ければ4月下旬」との見通しを示した上で、告示の前から荷主に対し、標準的な運賃をベースにした運賃・料金の交渉に向けた説明などを行うことは問題ないとの認識を示した。
冒頭あいさつで坂本会長は、新型コロナウイルスにより国民生活や経済活動に影響が出ている中、地域産業を支えるため輸送に当たっている全国の会員の活動に感謝の言葉を述べた。その上で、運転者の待遇改善には、標準的運賃をいかに業界内や荷主に周知するかが重要であると指摘。併せて、悪質荷主の情報収集に努め適正取引の実現につなげるとともに、協会運営についてもPDCAサイクルを用いることにより資金の有効活用を図っていく姿勢を強調した。
標準的運賃について説明した伊地知課長は、すでに1回目の審議が行われた運輸審議会では、理解を示した委員がいる一方、「高い」との指摘があったことを報告。これまでのバスや鉄道の運賃などに関する審議を例に、「下がることはあっても上がることはないと聞いているので、示した金額を維持できるよう、丁寧に説明をしたい」と述べるとともに、告示と併せ、各社の原価で運賃が計算できるよう、考え方などに関する通達を発出する計画を明らかにした。
「告示された運賃はいつから交渉に使うことができるのか」との質問に対しては、「告示されたその日から適用できるが、運輸審議会での審議で内容が大幅に変わることがなければ、今から荷主に話しておくことは構わない」とし、早めに契約交渉に向けた説明を行うことは可能であるとの見解を示した。